メールマガジン「オルタ」 88号(2011.4.20) 

 
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◎ 放射能という第2の「津波」を考える
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≪特集:東日本大震災≫

苦しい時には笑うんだ。-大震災と放射能の村からの便り-   濱田 幸生

温かいお見舞いの言葉を賜りましてありがとうございました。当地茨城県は、大震災以降も実に70数回もの余震に襲われています。一日に数回もの地震が来ることもあり、その中には震度6,5の激震が含まれています。そして頭上には放射性物質が飛来し、上と下から揺すぶられている毎日です。考えてみればもう被災から1カ月がたとうとしていますが、通常このような被災の後に来る槌音は弱々しく、農家は春の作付けすら決心できないでおります。しかし、これも家族を失い、家を失った東北の皆様から較べればと歯をくいしばって皆明るくやっております。苦しい時には笑うんだが村の合い言葉です。どこまで続く暗雲か、まったく雲の切れ目は見えませんが、がんばっていく所存です。 皆様の支援が心の杖です。あらためてありがとうございました。


濱田幸生様へ  -アメリカから-           武田 尚子

はじめまして。オルタに書かせていただくようになってから、まだ日の浅い武田尚子と申します。アメリカに住んでおります。このたびの災害は本当にたいへんでございました。ご自分の被災状況を詳しく書いてくださったことに感謝しています。それにしても奥様ともども、ご無事でようございました。肩を痛められたようですが、早いご回復をお祈りいたします。 

濱田幸生様へ  -沖縄から-             吉田 健正

「オルタ」に沖縄について書かせていただいている吉田です。この度は、大震災・大津波とそれに伴う交通路破壊、断水、停電、相次ぐ余震、原子炉破壊による放射性物質流出、水・食料・燃料不足……とひどい目に遭いましたね。さらに今後の日常生活復活、とりわけ、放射性物質拡散へのご不安を考えると、心が痛みます。 政府・地方自治体が手を組んで、一日も早く地域住民の生活を立て直し、不安を 解消するよう、祈るばかりです。 


日本社会と手を携えてこの自然災害に打ち勝とう   段 躍 中

今回の大地震で、中国政府と民間は、いち早く支援活動をしているが、本文では主に民間と在日中国人による支援活動を中心に紹介する。今回の震災を通して、日中両国民の絆がより強固になったことと言える。これからは日本の復興のために、中国をはじめ、世界の人々の支援により、必ず実現出来ると信じている。多くの在日中国人は日本に残り、日本人皆さんと一緒に頑張っている。 

「原発のあと」を考える                   船橋 成幸

3月11日の大震災と福島原発の崩壊は、第2次大戦以来の深刻な緊張と脅威を日本国民に強いることになった。3万人に迫る犠牲者の方々、数十万人の被災者の方々には、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたい。 

大震災から学ぶこと。                   横田 克己

地震、津波、原発の三連大災害は、いまだ被害概要さえ把握できない未曾有の事態が引き続いている。私も当日新幹線に8時間閉じ込めたれた小さな被害者の一人だったが、被災地では時がたつにつれて生存生活の仔細にわたり深刻さを増してゆき、回復過程の困難さを想像するにつけわが身の小さきを思い知らされる。 

「福島原発暴発阻止行動プロジエクト」結成へ(転載) 中村 光男

福島第一原子力発電所の現状についてはいまさら説明するまでもありません。しかし確認しておかなければならないことは、次の事実です。1)暴発を防ぐためには、ホースによる散水のような一時的な処置ではなく、 10年の単位の時間安定して作動する冷却設備を設置し、これを故障することなく保守・運転し続けなければならない。 2)この冷却設備の建設・保守・運転は、すでに高度に放射能汚染された環境下で行わざるを得ない。 3)もし、安定した冷却設備を建設・保守・運転できなければ、 3000万人もの人口を抱える首都圏をも含めた広範な汚染が発生する可能性がある。


石郷岡建氏にロシアの動向を聞く              編集部

■【編集部】最近の日露関係は領土問題をめぐってぎくしゃくしていますが、ロシアの外交政策全般に変化があったのか。BRICsのなかでロシア経済はどうなのか。「北方領土」はどう考えるべきかなどについてお伺いしたいと思います。 


地球環境問題へのアプローチ(4)             阿野 貴志

◇【意識の成長】ところが段々と成長してくるとそこに砂場があって校舎があって、もっと成長してくるとこれは何々町で何々県の一部で、日本はどうで、地球はどうのってことが分かってくるように、我々も、百年後の地球というものを二十四時間全自動で当たり前に感じられるまでに成長していくことができるわけですが、その成長していくもの、それが意識です。そのときにどういう方向にいけば、我々は持続可能な循環型社会に移行可能なのだという意識の目標、イメージがないとなかなかうまくいかないようです。


≪連載≫■海外論潮・短評(45)

「消えゆく世界の森」 ~食糧危機を阻止できるか ― 90億人の地球を養うには~     初岡 昌一郎

世界中で知識層に広く読まれているロンドンの週刊誌『エコノミスト』2月11日号が将来の食糧問題を特集している。まず巻頭の社説で食糧「危機の阻止」を論じ、巻央の特別報告で20ページにわたって詳論している。主要な論点の幾つかを紹介する。 

≪連載≫■A Voice from Okinawa(1)

 ~チャルマーズ・ジョンソン氏の米軍沖縄駐留批判~  吉田 健正

日本や東アジア情勢に詳しく、沖縄における米軍基地駐留を批判し続けた国際政治研究家チャルマーズ・ジョンソン氏(民間シンクタンク日本政策研究所(JPRI)所長)が、昨年の11月20日、79歳で亡くなった。長い間関節リウマチに悩まされ、最後は車椅子で移動していた氏は、太平洋とラグーンの見える自宅居間におかれた病院用ベッドで息を引き取ったという。

≪連載≫■宗教・民族から見た同時代世界''

~寺院遺跡をめぐるタイ、カンボジアの対立からみえるもの~荒木 重雄

「民主化運動」に揺れるリビアはじめ中東・北アフリカの動向は予断を許さないが、前号で榎彰氏が包括的に論じておられるのでそちらに譲って、ひとまずアジアに視線を戻そう。  

≪連載≫■落穂拾記(2) 

~死者85人の航空事故、解決まで20日間~      羽原 清雅

もう十数年になるだろうか。新橋の居酒屋で、隣り合わせの老人に話しかけられるうち、話のはずみで古ぼけた冊子をもらうことになった。「昭和十三年八月二十四日東京市大森区ニ生ジタル 航空事故始末報告 航空機事件被害者善後処置委員会」と表紙にある。   


■【横丁茶話】

甲子園の「君が代」                  西村 徹

3月23日、春の選抜高校野球がはじまった。春も夏も私は高校野球を見ない。それゆえ例年との比較はできない。しかし、たまたま目にすることになったテレビ実況によると、東日本大震災の被災者に遠慮して、入場する選手がグランドを一周するとかプカドンとか、すべて祝祭的な演出は中止され、例年とはちがって、厳粛といえば厳粛な、かなり沈んだ雰囲気になったらしい。 


■【北から南から】
中国 深センから   

中国の様子、その後                 佐藤 美和子

先月、『東日本大地震をうけて、中国の様子』の記事を書いたときは、まだ原発事故が報じられてまもなくのことで、こちらでもあまり様子がわかっていませんでした。ところがその後、徐々に深刻な様子の情報が出てくるにつれ、中国人や香港人たちがパニックに陥り始めました。

米国 マジソン便り  

『マヂソンと姉妹都市』                 石田 奈加子

マヂソンには十の姉妹都市があるようです。まず、市の広報版に載っているのを並べてみましょう。 
上海だより(1)    

『interchange から transferへ』            石井 行人

「アメリカ英語は、品がない」、「英国英語は、気品がある」こんなことばを、上海の若者から聞いたことがある。その本人が、両方を聞き比べて下した結論だろうか。恐らくそうではなかろう。私の学生時代にも、同じ意見が<常識として>流布していたものだ。つい、私の遠い学生時代を思い出してしまった。  


■【エッセー】

ゆれる移民の国アメリカ(2) あるウエットバックの冒険             武田 尚子

実を言うと、私がこの問題に興味をもち始めたのは、中間選挙を秋に控えた二〇〇六年の国会で、イラク戦争、アメリカ経済とともに移民問題がメデイアをにぎわしていた日々のことだった。かつて夫のオフィスで数年働いたフランクが、何年かぶりにわが家を訪ねてきた。彼はエル・サルバドール生まれで、十数年前には夫のいたビルのランチカウンターで、サンドイッチ作りをやっていた。夫に引き抜かれ、まずオフィス内の雑用係になる。   


■【書評】

『TPP反対の大義』 農文協ブックレット         小塚 尚男

2010年12月に初版、2011年2月には6刷りをしているブックレットである。ブックレットとは言え初版からわずか2月で6刷りとは驚異的である。ブックレットなので気軽に短時間で読める。142頁だが、その中で執筆者は政治・経済学者、哲学者、農学者、農家、生協、漁協、自治体関係者など総数26人が執筆している。 


俳句                 富田 昌宏


川柳                  横 風 人


【編集後記】

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