【沖縄の地鳴り】

編集後記と沖縄辺野古関連月表 2015・12・4〜2016・1・17

仲井 富


<編集後記> この月表は、あまりにも多い辺野古関連ニュースなどを整理しておきたいという個人的な思いで主観的にまとめたものである。
 12月から1月にかけて印象に残った動きは、12月中旬の米退役軍人の辺野古座り込みだった。砂川闘争を経験した者からすれば隔世の感がある。1955年当時、砂川米軍基地で一兵士だった米軍人デニス・J・バンクスは後にアメリカで平和運動に身を投ずるが、立川基地内では銃剣を構え「もしデモ隊が基地に入れば射殺せよ」と命じられていたという。いまや辺野古では元辺野古駐在の大尉クラスの元軍人が、住民と辺野古反対のスクラムを組む。辺野古新基地反対闘争の国内外への感動的なアピールだ。
 12月4日の、3500億円の公共工事 辺野古「目もくらむ数字」に業者寄付3500億円の公共工事、という記事は、いかに辺野古基地新設が日本の本土を含む建設業者にとって垂涎の的かはっきりする。そのおこぼれは本土と沖縄の政治家への献金となっている。
 一連の辺野古関連訴訟の動きも50年前の砂川基地訴訟を知るものには驚異だ。かつては弁護士数人と宮岡政雄行動隊副隊長とが中心となって東京都知事、土地収用委員会などを相手どって孤軍奮闘の裁判闘争を13年間続けざるを得なかった。いま沖縄では、県知事を先頭に県議会が裁判費用を議決する。これまた隔世の感が深い。一水会の辺野古訴訟翁長知事の陳述書全文の掲載を、東京新聞が取り上げた。これは快挙と呼ぶべきだろう。

◆1・17
宜野湾市長選挙始まる。

◆1・14
辺野古ゲート前、初の「木曜大行動」 雨の中380人座り込み
 沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で14日午前6時半ごろから、新基地建設に反対する市民らが集まる「木曜大行動」が初めて行われた。雨がふる中、出勤前の市民など最大で約380人が座り込みに加わり、新基地建設に抗議の声を上げた。

◆1・12
予算委で、民主党の大西健介氏が一昨年の知事選や衆院選の沖縄4選挙区、7月の参院選の結果が辺野古移設に影響を与えるかと質問したのに対し、安倍首相は「安全保障に関わることは国全体で決めることであり、一地域の選挙で決定するものではない」と答えた。大西氏は、安倍首相が集団的自衛権に関する憲法解釈の変更に関し、「選挙で国民の支持を得ている」との答弁をした経緯を指摘。「沖縄では知事選や衆院全4選挙区で(辺野古推進の)自民党候補が負けた。参院選で島尻安伊子氏が落選しても、辺野古移設を粛々と進めるのか。沖縄の民意は関係ないのか」と迫った。

◆1・12
名護市辺野古の新基地建設問題をめぐり、沖縄県執行部と県議会与党は12日、県土の乱開発防止を目的とした「県土保全条例」の改正案を県議会2月定例会に提案する方針で合意した。除外されていた国の開発行為も規制の対象とする内容とすることで、新基地建設をけん制する狙いがある。県議会は与党多数のため、提案されれば可決される見込み。

◆1・9
<東京新聞 1月9日>
 民族派愛国者団体の「一水会」(木村三浩代表)が毎月1日に発刊している機関紙「レコンキスタ」1月号に、名護市辺野古の新基地建設をめぐり、国が翁長雄志知事を相手に提起した代執行訴訟の第1回口頭弁論で翁長知事が裁判所に提出した陳述書の全文が掲載された。記事は「沖縄の声に耳を傾けるべき」との見出しで、見開き2ページ。愛国社会活動家を自認する木村代表は「陳述書には沖縄の魂が凝縮されている。本土の新聞が報じないので、われわれが全文掲載し、国が沖縄にしていることは沖縄の意思に反することだと分かってもらいたい」と説明。沖縄戦の被害や米軍基地の形成過程、基地と経済の関係などが「分かりやすく述べられている」と評価する。読者からは「沖縄の主張がよく分かった」「沖縄は基地経済で成り立っていると思っていた」などとの反応があったという。同紙は1975年発刊。約3千部を発行している。

◆1・10
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する住民の姿を追ったドキュメンタリー映画「戦場ぬ止み」が10日、徳島市のふれあい健康館で上映される。辺野古埋め立ての承認取り消しをめぐり、沖縄県と国が提訴し合う異例の事態の中、徳島でも沖縄の現状を知ってもらおうと、市民有志が企画した。

◆1・10
政府大型コンクリート海中投入を先送り、宜野湾市長選挙にらみ
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部を埋め立てるための護岸工事で、政府は、前段に当たる大型コンクリート製ブロックの海中投入を、24日投開票の宜野湾市長選後に先送りする方針を固めたことが9日、分かった。政府関係者が明らかにした。(共同)

◆1・9
裁判長、国姿勢を疑問視 不服審査併用、理由求める 代執行訴訟第2回弁論
<琉球新報 2016年1月9日 05:05>
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めて国土交通相が提起した代執行訴訟の第2回口頭弁論が8日午後2時から、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。国が行政不服審査制度を利用したのに加えて代執行訴訟も提起した理由について、多見谷裁判長は国側の姿勢を疑問視し、次回までに詳細に説明するよう求めた。多見谷裁判長は「防衛局長も国交相も行政主体としては国だし、行政組織としても内閣の一体の下にある。簡単に『行政不服審査は関係ない』という話にならない」と述べた。また多見谷裁判長は県側が出した「国が言う危険の除去策としての普天間飛行場閉鎖は、新基地の運用開始後か」「新基地の運用開始時期は現時点でいつごろと想定しているか」の質問について、国側に回答するよう求めた。
 県側弁護団によると、裁判所は口頭弁論後の進行協議の中で、翁長雄志知事や稲嶺進名護市長ら本人・証人尋問の採否について、29日の第3回口頭弁論で決定する見通しを明らかにした。

◆1・7
佐喜真、志村氏が論戦展開 宜野湾市長選公開討論会
<琉球新報 16・1・8>
17日告示、24日投開票の宜野湾市長選挙に向けて、立候補を表明している現職の佐喜真淳氏(51)=自民、公明推薦、新人で翁長県政与党の支援を受ける志村恵一郎氏(63)の2氏を招いた公開討論会を開催した。多くの市民らが見守る中、2氏は市政の課題について熱い論戦を交わした。米軍普天間飛行場返還・移設問題について、佐喜真氏は「9万7千余の生命財産を預かる市長として、避けなければならないのは固定化だ。1日も早い閉鎖返還に取り組みたい」と述べた。対する志村氏は「県外、国外という条件は付けない閉鎖返還もあり得るとの立場だ」と述べ、名護市辺野古への移設によらない解決を求めた。

◆1・6
「外交の闇」隠蔽躍起 「核密約」も米に要請か 外務省、80年代
<西日本新聞 2016年1月6日>
【ワシントン 山崎健】米中央情報局(CIA)の資金提供に関する公文書についてのマイケル・シャラー米アリゾナ大教授の証言は、1960年の日米安全保障条約改定をめぐる密約問題で明らかになった外務省の隠蔽(いんぺい)体質を再び浮き彫りにした。背景を探ると、外務省が過去にも米政府に対して、特定分野の公文書を公開しないよう要請していた事実が明らかになった。

◆1・6
警視庁機動隊、米軍ゲート前に再投入 辺野古沖では作業確認
<沖縄タイムス 1月6日>
 米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、警視庁機動隊が6日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前の抗議行動の警備に再投入された。午前11時現在、工事用車両の姿は見えず、抗議する市民との混乱はない。

◆1・4
国交相決定への不服申し立て、沖縄県に却下通知
 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設を巡り、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は4日、翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事による審査申し出について、却下したことを沖縄県に通知したと発表した。通知は12月28日付。翁長氏は、辺野古埋め立て承認の取り消しを一時停止した石井国土交通相の決定に対し、不服を申し立てていた。沖縄県は高裁への提訴を検討中。

◆1・3
辺野古事業、防衛省の天下り先が8割受注 730億円分
<朝日新聞デジタル 1月3日(日)8時18分配信>
 受注と天下りの例  米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画で、防衛省が直近の2年間に発注した移設事業936億円分のうち、少なくとも8割にあたる730億円分を、同省・自衛隊の「天下り」先業者やそれらの業者が加わる共同企業体(JV)が受注していた。朝日新聞の調べでわかった。移設事業で生じる利益を、国の天下り先業者が得る構図だ。朝日新聞は、辺野古周の埋め立てを仲井真弘多(ひろかず)・前知事が承認した2013年12月以降について、沖縄防衛局が発注した移設事業の受注業者を調査。

◆12・29
米星条旗紙 辺野古対立で先行きを疑問視 12・29
【平安名純代・米国特約記者】米軍準機関紙「米星条旗」は29日、米海兵隊の2016年を占う主な出来事の一つに米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題を挙げた。国と県の法廷闘争により、「計画の将来は裁判所の手に委ねられている」と先行きを疑問視する見方を伝えている。同紙は、多くの県民にとって、米海兵隊のグアム移転計画の難点とは、完了後も「あまりにも多くの海兵隊が島に残るという事実だ」と指摘。翁長雄志知事が埋め立て取り消しをしたのに対し、日本政府は取り消しを却下する訴訟を起こしたと経過を説明し、「現時点では滑走路建設は宙に浮いた状態だ」と報じた。

◆12・25
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題で、沖縄県は、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した効力を石井啓一国土交通相が停止したのは違法だとして、25日午後に那覇地裁へ提訴。

◆12・21
【平安名純代・米国特約記者】米マサチューセッツ州ケンブリッジ市議会は21日夜(日本時間22日午前)の本会議で、米軍普天間飛行場の代替施設(FRF)を名護市辺野古に建設する計画に反対し、沖縄の人々と連帯する決議を全会一致で可決した。米地方議会が新基地建設に反対する決議を採択したのはカリフォルニア州バークレー市に続き、2例目。

◆12・21
【東京】新基地建設反対の抗議行動を都内で支援している「辺野古リレー」のメンバーが21日、国会内で会見し、同日、警視庁に対し名護市のキャンプ・シュワブゲート前での警備からの撤退などを求めた要請内容を明らかにした。会見した仲地ゆたかさんらによると、同庁警備部の対応者は、派遣機動隊は年末年始の都内警備のため全部隊が沖縄から引き揚げたとし、年明けの再派遣には「もちろんあるでしょう」と回答し、要請に応じない意向を示した。

◆12・20
安全保障関連法に反対して国会前で抗議してきた学生団体「SEALDs(シールズ)」などの5団体が20日、来年の参院選に向けて野党統一候補を支援する「市民連合」を設立し、東京都内で記者会見した。来年4月の衆院北海道5区補選でも野党候補を応援する。設立されたのは、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」。「SEALDs」「学者の会」「ママの会」など5団体の有志が中心。ほかの団体にも参加を呼びかける。

◆12・15
新基地阻止、ハワイ県系人と協力へ 退役米軍人らがシンポ
<琉球新報 2015年12月16日>
 退役米軍人らでつくる平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP=平和を求める元軍人の会)」を招いたシンポジウムが15日夜、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるであった。反戦・平和運動に取り組む元米軍人と沖縄の人々がそれぞれの活動を報告し、意見を交わした。米軍普天間基地の移設計画が進む名護市辺野古など、沖縄の米軍基地の実態を視察した元軍人らは「カリフォルニア州のバークレー市に続き、ハワイのウチナーンチュと協力してホノルル市議会や米国の各地方、そして連邦議員に辺野古反対の意思を示すよう働き掛けたい」と強調した。

◆12・9
12月9日午前7時30分すぎ、キャンプ・シュワブゲート前で座り込みする市民ら約100人と退役軍人団体ベテランズ・フォー・ピース11人を、機動隊が排除した。トラックを含む約20台の工事関係車両が基地に入った。12日は米退役軍人らは大浦湾の海上行動に参加した。

◆12・4
辺野古工事「目もくらむ数字」寄付、衆院選も地方選も
<朝日新聞12月4日>
 米軍普天間飛行場の移設関連工事を受注した沖縄県の建設会社は、衆院選や地元首長選で候補者側へ寄付を重ねていた。沖縄の建設会社にとっては公共工事が「命綱」とされる。総額3500億円の移設工事も、逃せない事業だったという。
 「辺野古移設は公共工事の一つ。会社の売り上げを上げたいという思いはあった」。2014年衆院選の時に寄付した建設会社の関係者は打ち明ける。

 (オルタ編集委員)


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