■ 農業は死の床か再生のときか   濱田 幸生

  農業への無知を晴らす中から 、平成の不平等条約・TPPを迎撃しよう!
   ~日本農業はとっくに開かれている!~
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 私は、この間の記事をTPPをどう迎撃するかという流れの中で書いています。
最新の「日本農業新聞」によれば管内閣の支持率は22%にまで下落していま
す。理由はあきらかです。農民は管内閣に対して、もはや農家戸別補償などとい
う目先のゼニカネでだまされることはありません。管内閣の危険極まる本質をは
っきり見破っています。
 
  それはTPPにより、安価で侵入してくる輸入農産物とのハイパー・デフレ戦
争に農業をたたき込み、一方農業こそが自由貿易・グローバリズムの最大の障害
と見たてての「農業改革」です。管内閣が言う「農業改革」、「日本農業を強く
する」ことが、実はこの10数年間財界が唱え続けてきた財界流構造改革を意味
するのは明らかです。このことは別途詳述したいと思います。
 
  前原外相がもし後継首相の座に座ることになれば、この関西財界のバックを持
つ松下政経塾出身の「開国」大好き政治家はTPPに突き進むべく、財界主導型
農業改革に取りかかると思われます。それも5年先のTPP締結を見据えてとな
ると、それまでに農業の抵抗を「鎮圧」しておかねばならないために、直近でこ
の日本農業撲滅路線が開始される可能性すらあります。
 
  そうなった場合、デフレ賃金抑制下の10%消費税増税と相まって、TPP自
由化によるハイパーデフレが日本国民を直撃します。そして農業を主体とする地
方の人々の経済と生活は再起不能となります。あるいは、管内閣が総選挙に打っ
て出た場合、管首相は小泉郵政改革選挙を手本として、「たったGDP比1.5
%の農業のために自由貿易圏に参入できないんですよ!そうなったら日本は世界
の孤児です。滅びますよ!」と叫ぶでしょう。

 次の総選挙は、まさに日本農業の存在そのものを賭けた戦いとなるでしょう。
私たち農民は絶対に管内閣の農業撲滅政治を許しません。それは総選挙における
1人区の結果に明確に示されることになるでしょう。さて、そもそも9割の日本
人は、昨年10月の菅首相の所信表明演説まで、TPPなどという単語自体を知
りませんでした。ほとんど初耳。寝耳に水。民主主義とは相いれない手法です。
 
  もっとも影響を受ける農業界に事前になにひとつの意見聴取もなく、いや民主
党政府内で討議された様子もなく、まさに管首相ただひとりのワンマンプレーで
出されました。自民党時代だったら各部会でもまれ、各界の意見を聴取し政務調
査会に上げられてから、政府案となるという党内手続きの一切が省略され、これ
だけ大きな事案が首相ひとりの独走で各国首脳が集まった国際会議でいきなり出
されてしまうというのはあまりに異常です。
 
  私たち農業者に至っては、FTAは民主党マニュフェストに出てきましたから
議論の対象に大いにしたものですが、よもやその拡大バージョンであるTPPを
いきなり出して来るとは思いもよりませんでした。一種の脳震盪状態といってい
いでしょう。村の友人はJAが組織した反対デモに行ったのですが、終わった後
の飲み会で、「なんだ、てーてーぴーって?」といった有り様で、実感が湧かな
いというのが実態のようでした。

 実はこの私もそうでした。10月に管首相が言い出した時には、また鳩山前内
閣以来の軽い思いつきが始まったと聞き流していたほどです。これをいきなりな
んの国民的な議論にもかけることなく、国際会議で発表してしまいいわば国際公
約としてしまうとは思いもよりませんでした。そして全マスコミ、産経から朝日
までが一丸となっての「平成の開国万歳」、「日本は世界の孤児となるな」キャ
ンペーンが開始されたわけです。もはや私たち農業者はまるで国策に反対する「
国賊」よばわりです。
 
  残念ながら私たちは有効な反撃ができませんでした。全貌がよくわからなかっ
たのです。しかしあれから4カ月間がたち遅まきながら、私たち農業者にもTP
Pがいかなるものかの全貌が見えてきました。煎じ詰めれば、TPPは米国が主
導する多国間自由貿易協定です。そもそも米国が、WTOのドーハ・ラウンドで
の不調を棚に上げて、自国の利害のために身勝手に始めたことです。

 菅首相は、横浜でのAPECで各国首脳を前に「世界の孤児にならない」、「
日本は鎖国をしている」とまで述べました。普通このような外交的席上では、わ
が国はいかに開かれた国であるのか、WTOの優等生であるのかを力説するもの
ですが、いきなり「わが国は鎖国している」とぶち上げたのです。日本の農産物
のタリフライン(関税品目)が多く、障壁が高いので、実態として輸入ができな
いために、消費者は大きな不利益を被っている、日本農業は過保護なのだ、とい
う声はうんざりするほどこれまでも聞いてきました。
 
  TPPがらみで、農業を日本経済の喉に突き刺さったトゲのように言う人はか
ならずと言っていいほどこの論法を採用しています。
 
  わが国の菅首相もそのひとりだとみえて、誰から吹き込まれたのか(たぶん経
産省でしょうが)正月早々に「開らかれた日本農業へ」とぶち上げていました。
この人はデータをろくに調べもしないで、官僚に吹き込まれたことをそのままし
ゃべるという悪癖をお持ちです。首相の代わりに、「閉ざされた日本農業」であ
げつらわれる品目を上げてみましょう。コメ778%、コンニャク1705%、
落花生593%、バター482%、麦256%、砂糖325%、小麦249%、
などとなります。
 
  これに対して、単純関税率は、日本が12%、米国6%、EU20%ですか
ら、ほら見ろ日本の農産物はバカ高い関税だと主張するわけです。どのような計
算 式を用いたのか、日本の農業関税は50%だという人すらいるようです。
 
  そこで現実のデータを見てみましょう。農業関税を比較した数字があります。
出典はOECD1999です。(「現代の食糧・農業問題」(鈴木宣弘・東大教
授 創森社より引用)です。ウルグアイ・ラウンド終了時のもので、やや古いの
ですが、まぁ現在も下がることはあっても上がることはありません。
 
  これはタリフライン(関税品目)ベースです。有税品目というゼロ関税まで含
んだ指標しか他に国際比較するものがないのです。
  唯一米国5.5%より高い11.7%ですが、EU19.5%、ノルウエーな
ど123.7%韓国62.2%です。これでも日本の農産物関税が、関税が高い
というなら、なにを見てそう言っているのか論拠のデータを教えてほしいもので
す。野菜、鶏卵、果樹などの主要農産物の多くは無関税か平均3%以下です。わ
が国は農業関税に関しては一部品目を除いてほぼノーガードだといっていいでし
ょう。

 逆に高関税のほうが例外です。高関税品目には理由があります。コメは減反政
策という国家カルテルを維持するのが目的です。麦は国内産麦の補助金を捻出す
るために国が麦類の貿易を仕切るという社会主義国家まがいのことをしているた
めです。米と麦に関しては、別の機会に詳述します。
 
  輸入豚肉は「差額関税」というとんでもない制度を農水省は1971年から作
っています。これはまず「基準輸入価格」というものを農水省が設定します。現
在546円です。それより安い輸入豚肉は、この差額を関税として徴収する仕組
みです。一方基準輸入価格より高い輸入豚肉は一律4.3%の関税をかける仕組
みです。この差額を関税で徴収するというやり方をするとどうなるのでしょう
か。豚肉には価格が高いヒレやロースなどの部位と、モモや肩肉などの安い部位
があります。

 安いモモなどはハムやソーセージにするために食品会社が輸入しています。こ
の基準関税方式は、いわば差額関税ですから、安くても、高くても関税をかけら
れるという方式です。食品会社は安い加工用肉をそのまま輸入してしまえば、差
額関税を多額にかけられてしまいますから、なんとか基準価格に近づいて関税を
減らそうとして高い部位であるヒレ、ロース肉も一緒に輸入しています。この方
法をコンビネーション輸入と呼び、どの食品会社もやっている方法です。
 
  と、どうなるのでしょう?このコンビネーション輸入で仕方なく買った高い部
位のヒレやロース肉は、ハムにするのはもったいないということで、一般市場に
流します。しかも元を取ろうとダンピングまがいのことをしています。これが一
般のスーパーに並ぶ安い米国産などの豚肉の出所です。なんの国内豚肉の保護に
もなっていないことがお分かりになると思います。まったく馬鹿な制度を作った
ものです。

 長くなりますから、またの機会にしますが、バターの高関税も農水省の天下り
団体の「農業産業振興機構」がバター輸入を独占していることから発生していま
す。輸入業者は、2次関税を払った上に、いったん機構に輸入バターを伝票上買
い上げてもらい、農水省の定めた806円/㎏の輸入差益を支払わねばなりませ
ん。機構はこのトンネル差益だけで年間11億ももうけています。これは日本の
畜産農家保護とはなんの関係もない、単なる農水省の天下り省益でしかありませ
ん。
 
  日本の農産品高関税には必ずといってよいほど、農水省の利権がからまってい
ます。私たち農家にはなんの関係もないことです。これをみてお分かりのように
、日本農業は関税などによって守られてなどいません。OECD先進諸国の中で
下から2番目の低関税国です。このどこをして、「日本農業は鎖国している」の
でしょうか。
 
  数少ない高関税は、農水省の省益利権にすぎません。ですから、「開かれた日
本農業」などと言われると、どこの国の話やらと笑ってしまいます。ところで、
管首相は幕末に日米通商条約が結ばれた横浜の地をあえて選び、各国首脳、中で
も米国大統領を前にして、「日本は鎖国している」と自国を卑下してみせました。

 先に述べましたように、首相の「鎖国」認識はまったくのでたらめです。わが
国の農業外の関税率もOECD諸国の中でも低く、発展途上国に対しては膨大な
品目を特恵関税扱いでゼロにしているほどです。特恵関税を得ている諸国には、
GDP世界第2位の「発展途上国」中国まで含まれています。
 
  菅首相は歴史がお好きと聞きます。山口県出身の自らを「奇兵隊内閣」と呼ん
だことすらあった御仁です。ならば、1858年11月に横浜で結ばれた日米通
商条約が、産声をあげたばかりの新生日本にとって、いかに大きな重圧だったか
は知らないはずがありません。関税自主権の放棄と治外法権という巨大な不平等
条約を押しつけられた日本にとって、それを破棄することが明治国家の一大目標
だったほどです。不平等条約破棄に至る40年間、日本はしなくていい大きな犠
牲を支払いました。

 関税自主権の放棄とはそれほどまでに大きなことであり、それを薄っぺらな現
状認識しか持っていない維新の志士気取りの安っぽいロマンチスト男に簡単に「
開国」されてはなりません。民主党政権は、沖縄問題、尖閣問題、そして北方四
島問題で連続的に外交をみずから揺るがせた反動で一気に米国にすがりつこうと
しています。
 
  ムード的に「平成の開国」とマスコミは叫んでいます。なにがTPPであるの
かがはっきりしないうちに、「バスに乗り遅れるな」とばかりに走り出そうとし
ています。TPPはすでに米国、カナダ、豪州、ニュージーランドが加盟してお
り、この先約事項に拘束されてしまいます。今、この時期で日本が最も遅れて加
盟すると、日本が協議していないことまで先約決定事項とされて拘束されてしま
います。
 
  まさに「平成の不平等条約」といっていいでしょう。
  TPPはやる必要がない協定です。日本は既に充分「開国」しています。それ
で不足があると産業界が言うのなら個別の二国間交渉で詰めればいいのです。

 いい機会です。安易な日本農業保護論ではなく、自立をめざした論議をする中
から、平成の不平等条約・TPPを迎撃しようと思います。以下、北海道の農業
者の現場からの声と琉球新報の記事をお聞かせします。今、北から南まで、日本
農民は怒っています。なかなか怒らない、おとなしい農民に火を点けてしまった
のです。

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  以下、北海道の農業者から頂戴した声です。

 TPPに参加した場合の畜産(酪農と肉畜)の影響ですが、農業の周りにある農
業機械や飼料など資材関係及びその地域のコミュニティなど様々な関連産業も当
然影響を受けますが専門分野外ですので、個人的見解で答えます。先ず、酪農関
係ですが、国内の生乳生産は約800万トン弱ですが、乳製品の生乳換算需要は概
ね1,200万㌧と言われています。
 
  (国内生産量の50%相当が輸入されています)その約800万㌧の内、都府県で
の生産は約400万㌧でその大部分は飲用で消費され、一部バターやチーズにも使
われています。北海道は約50%の400万㌧弱生産しています。ちなみに平成21年
度の生産量は3,824千㌧で、その用途別割合は
  ①バター・脱脂粉乳1,681千㌧(44%) 
  ②生クリーム原料乳963千㌧(25.2%)
  ③飲用乳 746千㌧(19.5%)
  ④チーズ原料乳 433千㌧(11.3%
  となっています。
  ※飲 用乳には、都府県での飲用の為の送乳を含んでいます。

 この状況から言える事は、都府県の酪農家がそのまま存続し、生産量も現在と
同じと仮定すると、北海道で生産している約400万㌧の生乳の内、フレッシュも
のとして輸入が厳しいと思われるのが、飲用乳の約75万㌧+生クリーム96万㌧+
ソフト系チーズ若干程≒200万㌧ですから、単純に考えれば現在の生産量の半分
の生産で間に合う事になります。

 国内全体で考えれば飲用乳需要は約400万㌧、生クリームの大部分は北海道産
なので約100万㌧合わせて500万㌧チョット程度あれば間に合います。チーズ(主
にハード系)及びバター・脱脂粉乳は全て輸入に置き換わるでしょう。
(一部国産にこだわる実需者が居れば少し上乗せされるかな?)
  酪農での影響は牛乳だけではなく、生まれて来る「♂子牛」にも影響が出ます。

 雌雄判別精液を使わない限り53%前後は♂子牛であり、現在は哺育・育成・肥
育して枝肉として消費されていますが、輸入牛肉とまともにバッティングします
ので、採算は取れないでしょう。生まれた♂子牛は化成処理される事になります。
 
  話を纏めると、酪農家は半減(戸数か生産量かはありますが)、北海道で主と
なっているホル♂肥育関係は壊滅、交雑種(ホル×黒毛和種)関係は黒毛和種に
近いくらいの枝肉を作れる生産者1/3程度が残る・・・と言った感じかな?と思
っています。北海道では、酪農畜産農家は当然の事、畑作農家も危機感をもち、
農業団体挙げて反対運動を展開している所です。(地域が壊滅すると言う危機感
から市町村行政なども同じ考えで行動しています)

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 TPPの酪農畜産に関する影響は、大きなものがあると思っていますが、個人的
には先に参加している国々がルールを決めてしまってからの参加は大きな不利益
が生じると思っています。WTOでもEPA・FTAでもいつまでも国際的な大きな流れ
に乗らず、国家が存続して行くとも思えません。
 
  先々参加せざるを得ないのであれば、当初から参加し10年間の猶予(ルールの
決め方によっては品目毎に延長もあるかも知れない)中に、国内農業の方法や方
向も見定め、戦略を練る事も可能になると思います。いつまで守りの農業に徹す
るのか?攻撃的な農業は不可能なのか?ただ単にデモをしたり、署名活動をすれ
ばよいと言うものではなく、攻撃的農業の戦略も政府や農水官僚に提案して行く
事も重要だと思っています。
 
  ただ、一部大臣や経団連会長等が何も分からず、GDPの1.5%発言をしている事
には怒りを感じています。

 TPP参加表明と同時に、国民の食糧確保の問題(異常気象が当たり前になって
いる状況の中で、輸出規制が為された時の対応)、投機資金が流入し価格が異常
に高騰した場合の対応、自給率の問題(濱田様がおっしゃるカロリーベースでは
なく、他国と比較できる数値)、農業の問題、地域やコミュニティの維持の問
題、環境の問題、関連産業の問題等々の対応を国民に対して丁寧な説明が必要な
のではないでしょうか?単に所得補償すれば良い・・と言うものではないです。
農業者は「物乞い」ではありません。それと北海道の生乳品質は世界一と自負し
ています。

 でも、狭い国土の中で集約的に生産して行くには、どうしても購入飼料にも頼
らざるを得ません。コストがかかる事だけは、いかんともしがたい・・・と言う
のが現状です。(個体改良や自給飼料増産していくにも肥料等はどうしても掛か
ってしまいます)

          ○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*
  「TPP "見切り発車"は許されない」  (琉球新報 2011年1月18日 )
  国家の政策は常に弱者の立場に配慮し、支援・強化策が先にあるべきだ。しか
し、いま「強者の論理」が強行されようとしている。 内閣改造を機にTPP(
環太平洋連携協定)締結に急傾斜する菅内閣に、「農業や農民を切り捨てる暴
挙」との批判と警戒感が高まっている。
 
  原因は「農政無策」ともいわれる日本の政治の脆弱(ぜいじゃく)さにある。
県内の農家からも「ワクチンもないままに新型インフルが猛威を振るう社会に国
民を放り込むようなもの」との批判の声が絶えない。 農家や農業団体の懸念に
県議会は「地域経済に深刻な影響を及ぼすことが懸念される」として、協議に
参加しないよう政府に求める意見書を可決している。
 
  TPPは、環太平洋諸国間で原則として関税を撤廃し、自由貿易協定を結ぶも
のだ。 現状でも厳しい農家の経営環境の中で、関税撤廃と農産物の自由貿易化
となれば、安い農産物が大量に流入し、国際競争力を持たない県の基幹作物のサ
トウキビや肉用牛、養豚、パイナップルなどが壊滅的な打撃を受けるのは確実だ。

 「TPP参加は日本農業の壊滅への道」との厳しい反対論に、政府はきちんと
答える必要がある。 「安い農産物は消費者にとって歓迎すべきこと」との賛成
論もある。だが、中国産野菜の農薬汚染、米国産農産物の遺伝子組み換え問題な
ど、「安さ」と引き換えに「安心・安全」を失うことへの懸念や警戒への政府の
回答が先だ。
 
  菅政権の中には「GDPの1・5%しかない第1次産業が、他の98・5%の
産業を犠牲にしている」との暴論を吐く外相もいる。 思えば15年前、ウルグ
アイ・ラウンドで農水省は「一粒たりともコメは入れない」と反対していた。し
かし、自由化は加速し、コメは減反を強いられ、農業総生産額はピーク時(7兆
9377億円、1990年)の55%(4兆4295億円、2008年)に、主
業農家は82万戸から36万戸まで激減した。
 
  農業人口の激減、耕作放棄地の増加、食料自給率の低下など、農政無策で農業
を衰退させた「前科」に対する政府不信は根強い。 TPP締結の前に、国内産
業への影響に関する調査、影響に対する的確な対応策は不可欠だ。 食糧安保の
観点からも、"見切り発車"は、絶対に許されない。

             (筆者は行方市在住・農業者)

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