■TPPが持ち込む遺伝子組み換え農業            濱田 幸生

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*************************************

 ■TPP「内国民待遇」とは

*************************************

 TPPで本当に怖いのは、関税撤廃だけではありません。私はTPPの最大の
脅威は、外国企業の国内投資が「内国民待遇」となることだと思っています。
 いまの農業のTPP議論はあまりにモノの輸出入に重点が置かれすぎており、
関税問題一色といった状況です。

 それは今までわが国農業界が、外国による国内投資というのを経験しておらず、
いい意味でも悪い意味でも国内市場のみを気にしていればいいという体質があっ
たからです。
 しかし、現実のTPPやFTAは、モノの移動より、資本の移動が重視されて
います。それを知るには隣国・韓国をみればいいでしょう。

 TPPに先行して始まっているEU-韓国FTAでは、EUは通信サービスを
はじめとして金融、環境、専門職サービス分野でも韓国政府に自由貿易協定によ
り法律改正を要求していく意向を見せています。

 TPPも似た内容となるでしょう。米韓FTAでも、モノを売りたい韓国に対
して、EUは圧倒的に資本の自由化を要求しています。これは米国の要求と完全
に重なります。
 FTAによる「投資」の自由化は、欄外を御覧ください。(※1参照)

 問題はこの最初の項にある「内国民待遇」です。そして当該国が外国企業に対
して投資規制をかける事を禁じて、ISDS条項で外国企業は提訴が可能にして
います。

 外国企業にも仮にコメ関税を譲ることになっても、ジャポニカ米のモノとして
の流入は限られるのではないか、と考えています。
 したがって短期的にはコメの暴落はないと私は思っています。しかし、中長期
的になると様相は違います。それはTPPが関税問題だけではないからです。

 TPPは煎じ詰めると、「モノ、カネ、ヒト」の三つの自由化のことです。
 モノで入ってくるのは、関税問題です。カネで入ってくるのは、資本投資や保
険、金融サービスなどです。ヒトで入って来るのは、看護士や介護士、医師、単
純労働者の移民問題です。

 米国は農業部門においておそらく資本投資をかけてきます。
 モノである穀物や油糧穀物はすでに日本市場に行き渡っており、牛肉、豚肉、
小麦、酪農製品の無関税化は当然のこととしてまっさきに要求するでしょうが、
それが主戦場ではありません。(もちろんこれらは関税問題としてきちんとブロ
ックするべきですが。)

 問題はモノに止まりません。2009年の農地法改訂で、農地に企業参入の道が開
かれました。
 TPP発効となれば、仮に関税撤廃はくい止められたとしても米国アグリビジ
ネスの参入は可能となります。
 米国が、日本という世界でもっとも生産性の高い沃土と、「世界有数の安全で
おいしい農産物」というジャパンブランドを狙っているとすれば、TPPという
ビッグチャンスを見逃すはずがありません。

 コメの生産は経団連や同友会の計算どおり農地の統合、整理による大規模化が
実現すれば、たぶん今の3分の2以下のコストでの生産が可能だと思います。
 ただし現実には、地権や点在する農地の問題が出てくるでしょうが、国が資本
と組んで農業団体の反対を押し切ればまったく不可能なわけではありません。

 整備されているのでそのまま使える水田の土地改良区などは真っ先に標的にな
り、外国アグリビジネスが札束で頬を叩きに来ます。
 その時には、外国アグリビジネスは、国内農業法人格を取得して外国資本の日
本農業法人として農地を借りたり、買ったりできるようになっているかもしれま
せん。
 そこに、TPPで大量に流入してくる安価なベトナム農業労働者を使って大型
化すれば、国際競争力のあるコメ商品の一丁上がりです。

 種子はもちろん農業生物資源研究所などで実験されたような遺伝子組み換え種
子(GM)を使います。
 モンサント=住友化学は既にイモチ病耐性GM種を実用段階にしており、これ
が日本に導入されれば一挙に東北、北海道にまで、外国資本のコメ超大規模農場
は展開していくかもしれません。(欄外※2参照)

 それを売りさばくのは同系列のアグリビジネス商社であり、GM種とGM対応
農薬とのワンセット販売もアグリビジネスを更に潤わせることでしょう。
 このようにして、コメのGM品種-GM対応農薬-メガ農場-大量生産-大量
流通-大量輸出というコメ・インテグレーション(垂直統合)のラインが完成し
ます。
 現状ではGM種はOECD留保扱いになっているようですが、そのようなもの
はTPPの前に一瞬で消滅します。

 同じようなことは野菜や果樹でも進行するでしょう。それは外国アグリビジネ
スの日本農業支配です。TPPによって、米国は日本農産物という世界有数のア
グリ商品を手にすることができるのです。

 農業者にわかってほしいのは、関税で襲来されるほうが簡単なのです。
 日本国内で外国資本が「メイドインジャパン」としてコメや農産物を作り始め
る。これが一番怖いのです。
 その場合、今の「生産調整」でもなんでも呼び方はいいが、そんな国家生産カ
ルテルにカーギルやモンサントが従いますか? 任意ですから当然従わない。

 そして様々な国内規制はすべて、「内国民待遇」だから異議を唱えるでしょう。
そしてここぞという所では伝家の宝刀のISDS条項を抜きます。
 ご承知のように、ISDS条項は、「海外投資家が不利益を被ったと自分で判
断すれば、協定違反であろうとなかろうと相手国を提訴できる」というすさまじ
いまでに海外投資家を優遇した条項です。
 そしてその「内国民」の外国資本の異議申し立てが接着する間、彼らの横車は
続くのです。

 おそらくは「国産コシヒカリ」を当初は10kg1980円などという衝撃的価格で出
して、市場を混乱と悲鳴の中に制圧し、国内産地を駆逐し寡占状態になった後に
自由に好きな価格をつけるでしょう。これがグローバル資本のよくやる手口です。

 コメ作はすべての農業の母です。だから大切に日本民族は守ってきました。
 しかし、そんな私たち日本人にだけ通じる論理と感性に無縁な連中が乗り込ん
で来るのです。これがTPPです。しかも彼らは国内で作るのです。

 グローバル資本には私たちの国土を守ろうなんて意識はまるでありません。彼
らは自分の国ですら農地を使い切ってはスクラップにしていく収奪農業をしてき
た連中です。
 異業種の国内企業すら怪しいものです。私は国内の異業種株式会社にすら土地
所有権を与えるべきではないと考えています。

*************************************

 ■NAFTAの近過去、日本の近未来

*************************************

 私たちはTPPを考える時、米国が結んだ最大のFTAであるNAFTA(北
米貿易協定)を参考にすることができます。

 NAFTAはメキシコに巨大な影響を与えました。当初、このFTAにおいて
メキシコが得るものが大きいと思われてきました。米国市場への労働力移動、ト
マトなどの安価な農産物輸出などは、疲弊していたメキシコ経済の救いの手とす
ら思われていたのです。

 現実に、NAFTAはメキシコになにをもたらしたのでしょうか。それにはメ
キシコ人の食の中心であるトウモロコシを見ればわかってきます。

 NAFTA以降のメキシコのトウモロコシを語る上で、問題点はふたつありま
す。
 ひとつは、NAFTAによりメキシコのいわば命の食とでもいうべきトウモロ
コシの輸入量がどのように変化したのか、です。

 メキシコ人にとってトウモロコシはありとあらゆる食に登場するソールフード
です。粉にしてのトルテーア、スープに、そして菓子にと、ありとあらゆるもの
に変化してメキシコ人の食を支えています。
 それはマヤ文明から続く連綿とした食の歴史であり、伝統、「国柄」でした。
それがどのように変化したのかを見ます。

 遺伝子組み換え・GMトウモロコシの侵入に注目して見てみましょう。GM種
に注目するのは、GM種が他の一般品種と異なり、種子と農薬があらかじめワン
セットになっているからです。

 トウモロコシにたかるシンクイムシを殺すために、あらかじめ植物細胞内に殺
虫成分を遺伝子組み換えで組み込んでしまいます。
 これが害虫耐性ですが、これに耐性ができた害虫が生まれ、そうして更に強力
な害虫耐性をもつ品種を作り・・・というお定まりの悪循環の中で、強力な農薬
耐性をもった害虫が野に放たれました。これが予想もしなかった恐るべき生態系
攪乱を引き起こします。

 また、作物はなんともないのに雑草だけを枯らす、というのが謳い文句の除草
剤耐性を持つGM種も作られました。なんとこのGM種には同じモンサント社の
除草剤にしか効かないというスグレモノでした。
 農家はいったんGM種を導入すれば、ほぼ永遠にモンサントのGM種の種と除
草剤を使い続けねばならなくなります。まるで麻薬中毒のようですが、これがモ
ンサント社の目的だったのです。

 元来農薬会社だったモンサント社が、いくつかの米国の種子会社を吸収してい
ったのは、将来においてGM種子と農薬をセットで販売することによって、世界
市場を種と農薬で一元支配することにありました。
 やや誇大妄想が入っているように聞こえるかもしれませんが、事実、そのよう
に進行しています。

 モンサント社が米国市場を席巻しながら、次の標的と決めたのが隣国のメキシ
コでした。そして今、モンサント社の大きな障害は、頑固なブロック経済を築い
て守りをかためるEUとわが日本だけとなったのでした。

 ちなみに、米国の「TPP推進のための米国企業連合」の農業部門のメンツは
次の通りです。顔ぶれだけで、米国の戦略がスケスケですね。
・カーギル、モンサント、アメリカ大豆協会、トウモロコシ精製協会、全米豚肉
生産者協議会

 このような連中は、わが国内部の「思惑がある連中」と結びついてTPPで大
儲けをしたいと考えています。それが先に明らかになったモンサント社と住友化
学との「長期的協力関係」です。これが明らかに近い将来のTPPを見据えてい
ることは言うまでもありません。

 この「わが国内部の思惑がある連中」の筆頭が、住友化学の社長にしてTPP
推進総司令部の経団連会長・米倉弘昌氏です。あまりの分かりやすさに失笑して
しまうほどです。

 さて、メキシカンのソールフードはどのような運命を辿ったでしょうか?
 では、まずNAFTAによる米国産トウモロコシの輸入量をみてみましょう。
アメリカからの輸入トウモロコシは、1991年締結時が131万トンであったものが、
2005年には580万トンと4.4倍に膨れ上がりました。

 なんだそんな程度かと、ふっと読み過ごしてしまうかも知れませんが、トウモ
ロコシは実はメキシコ政府が国民の食の基本だとして重要品目(「センシティブ
農産物」と呼びます)に特別に指定して保護してあるものなのです。
 ですからNAFTAにおいても、1991年から2008年1月1日まで最長スパンで保
護関税が認められていました。

 本来、FTAにあっては「例外なしの関税撤廃」が原則です。ですから、当該
政府がこれだけは待ってくれ、という品目(センシティブ農産物)を巡っては熾
烈な交渉となります。日本ではさしずめコメを中心にして、牛肉、豚肉、乳製品
あたりとなるでしょう。

 メキシコ政府はとうぜん国民の主食の地位にあるトウモロコシに対して、高関
税をかけてブロックしようとしました。ただし、先ほども言いましたが、条約で
認められた最長幅である15年間に限ってですが。

 ちなみに私は日米FTAが締結されてしまった場合、15年間程度しか国産のコ
メを防衛できないと考えています。それはNAFTAの前例が有効だからです。

 それはさておき、メキシコの現実はどうであったでしょうか。下図にその内実
が無残に現れています。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2009/09/03/_edited_2.jpg
(農民連「メキシコ農業の実情」より参考のため引用させていただきました。)

 表の中心を斜め右上に伸びているのが、輸入制限枠です。毎年少しずつ輸入枠
が増加する取り決めでしたが、現実には、斜め斜線で塗られた部分が輸入超過分
です。

 ところが、米国はまったく輸入枠制限を遵守しませんでした。平然と輸入制限
枠を超えて輸出を増加し続けたのです。そのために本来はこれにかけられるはず
のメキシコの関税損失分は、12年間で実に33.6億ドルに達すると試算されていま
す。

 このようにしてメキシコは、本来の移行期間においてすら主食のトウモロコシ
を防衛できませんでした。そのために、マヤにオリジンがあるトウモロコシは、
今や米国のトウモロコシ輸出第2位の輸入国に転落してしまったのです。
 そして、1991年のNAFTA締結前には100%の自給率を誇っていたメキシコ
国産トウモロコシは、2005年には既に67%にまで落ち込んでしまっていたのです。

 自分の国の主食も守れんし、米国から関税も取れないなんて、メキシコ政府、
なんたることだ、と思うのは私だけでしょうか。
 このようにTPPは、いったん締結に持ち込まれてしまい、巨大な既得権益を
与えてしまえば、煮て食おうと焼いて食おうとその国の首根っこを握った国の言
うがままになるのです。それがメキシコとNAFTAの教訓でした。
 私はNAFTAに日本の近未来を見ます。

*************************************

 ■モンサントと住友化学の野望とは

*************************************

 さて、この「財界総理」率いる住友化学は、2010年10月に、米国モンサント社
と遺伝子組み換え製品において強い提携関係に入ったことを発表しました。 (※
モンサント社については欄外※4、※5参照)
 モンサント社との大型提携ですが、この提携は大きな柱があります。

 まず、住友化学が保有していた除草剤製品「セレクト」を、モンサントUSA
の「ランドアップレディ・システム」の中に組み込んだ新体系の「ランドアップ
レディ・プラス」を作るとしています。

 「雑草防除体系である‘Roundup Ready system’を農業分野に対して従来から
推奨しておりましたが、2011年以降は米国内において、住友化学・ベーラントU
SAの除草剤ラインナップを 雑草防除体系に組み込み‘Roundup Ready Plus’
として推奨することとなります。」(提携公表文 欄外※3参照)

 除草剤ランドアップは、この製品にだけに除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え種
子(GMO) 「ランドアップ・レディ」をセットで販売しています。
 セットでということは、モンサント社のGMO種子を使わなければ、ランドア
ップ除草剤耐性や害虫耐性が効かないということです。

 このセット販売により、GMO種子は短期間で米国穀物生産を制圧してしまい
ました。いまやGMOフリーは極小派にすぎません。
 そして遺伝子組み換え技術により、モンサント社の2005年の売上高62億ドルが
わずか3年後の2008年には倍の110億ドルに達しました。

 また、モンサント社のGMO種子は巨大アグリビジネスのカーギルと組むこと
で国際シェアの、実に90%を締めるモンスター企業となりました。
 まさにモンサント社にとって、ベトナム戦争での人類史上に刻まれる悪行のひ
とつである枯葉剤4800万リットルにも負けないえぐい商売だったことでしょう。
(欄外※4参照)

 しかしこのモンスター企業にも悩みがありました。それは主力商品のであるラ
ンドアップの主成分であるグリホサートの特許有効期限が切れてしまっているこ
とでした。
 つまり、モンサント社はGMO種子は独占できても、もう片手のランドアップ
は別の会社の製品でもいいことになってしまうのです。

 特許期限切れで安い追随商品がゴマンと出てきます。それに押されて、「ラン
ドアップは高くて使えない。安い別なやつでもランドアップレディには有効だそ
うだ」という声が強くなってきてしまったわけです。

 これに困ったモンサント社が打った手のひとつが、米国市場でそれなりの規模
をもつ「住友化学・ベンラートUSA」の除草剤製品である「セレクト」に対応
する遺伝子組み換え種子の「ランドアップレディ・プラス」を作ることでした。
 そして同時に、住友化学とは米国市場のみならず世界市場でも提携関係を作る
としています。

 「住友化学とモンサント社は、さらに、ブラジル、アルゼンチンなど南米各国
での 協力関係構築に向けても協議を進めることに合意しています」(提携公表
文 欄外※3参照)

 近年世界有数の綿花生産国のインドにも進出し、今や世界でこのモンサント世
界制覇に待ったをかけているのはEUと日本などの孤塁を残すのみとなっていま
す。
 このGMO種子の世界支配が完了すれば(事実そうなりかかっているわけです
が)、種子と農薬という農業の必須資材はモンサント社とカーギルによって事実
上握られることになってしまいます。

 これが日本農業のみならず、世界農業にどのような結果をもたらすのか、考え
るまでもないことです。わずか一社、ないしはそれと強い提携関係にある数社が
世界農業を裏で支配するのです。

 このモンサント社と手を握った数社のうちのひとつが住友化学です。住友化学
が描いている戦略は、モンサント社やカーギルと手を握って世界の農業市場支配
の一翼を担うことによる膨大なシェアの独占です。
 そのためにGMO種子を「頑迷に」拒んでいるわが国を、「TPPは平成の開
国」などいう虚ろな掛け声でこじ開ける必要があります。

 まさに国を売る所業と言えます。わが国の農業を国際競争力がないと不当に貶
め、TPPでGMO導入の道を拓き、そして合わせて財界型農業改革を断行する、
これが米倉経団連会長・住友化学会長の戦略です。
 TPPで利益を上げることができる経済分野はわが国のごく一部にすぎません。

 よくTPPがらみで引き合いに出される自動車産業は今や7割弱が現地生産で
すし、家電製品などの対米輸出は対GDP比率で微々たるものです。
 アパレルなどはとっくに外国生産が完了しています。流通も再度ウォールマー
トに上がってこられて安値競争が激化することを望んでいません。
 このように、むしろ経団連傘下の企業の多くはTPPには消極的だと思われま
す。

 しかし、唯一例外的にTPPを絶対にやらねばならない一握りの企業がありま
した。それが米倉会長の住友化学です。
 モンサント社やカーギルのグローバルパートナーとなった住友化学に「母国」
はありません。その母国がない社の会長が経済界総理とは一体どうしたことでし
ょうか。

 モンサント社は、今までの主力製品体系だった「ランドアップレディ」の主成
分グリホサートの特許期限切れに伴い、その差別化戦略を住友化学の除草剤「セ
レクト」とのタイアップである「ランドアップレディ・プラス」にシフトしよう
と考えました。
 住友化学にとってこのモンサント社-カーギル連合との大型提携により、既存
の北米、インド、中南米を商圏に食い込める絶好のチャンスを得たわけです。

 北米市場という最大市場のモンサント社のシェァは実に9割近くにも達します。
しかも労せずしてモンサント社の種子とセットで販売できるのですから、こんな
うまみのある話はないでしょう。
 そしてこのモンサント社-住友化学の提携には、間違いなく裏協定が付属して
いました。

 それが、かねてからモンサント社が鵜の目鷹の目で狙っていて果たせなかった
日本市場への遺伝子組み換え種子の参入です。
 その手段としての最終兵器・TPPです。

 モンサント社があまたある除草剤メーカーから住友化学を選んだのは、米倉会
長が「経済界総理」だったからもあったでしょう。ないと考える方が不自然です。
 そしてモンサント社はTPPの旗を米倉会長に手渡して、「経済界の意思」と
してTPP推進」をぶち上げさせたわけです。

      °。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■【参考文献】
※1 EU-韓国FTAにおける資本の自由化
・原則として、内国民待遇及び最恵国待遇を付与することを規定。
・協定上の義務範囲を示す方式として、ネガティブ・リスト方式を採用。
・内国民待遇等の規定の適用対象外として留保した措置に関し、自由化の程度を
 低下させない場合に限って修正できることを定めることを規定(いわゆる「ラ
 チェット条項」)。
・投資家と国家間紛争解決の手続等を規定(ISDS条項)。両国の投資家は、
 国際仲裁ではなく国内の裁判手続等を選択することができるが、米国の投資家
 が韓国国内の司法または行政手続を一旦選択した場合、国際仲裁を選択するこ
 とはできなくなる。一方、韓国の投資家が米国政府に対して提訴する場合、米
 国の国内裁判所を選択した後に、国際仲裁の場で提訴することは可能。
・補償の対象となる間接収用(公式な資金移転もしくは明らかな差押えがないも
 のの、直接収用と同等の効果を有する行為)については、一定の条件を満さな
 くてはならないことを明確化。
・附属書において、韓国に限り、通貨危機等における一時的セーフガードの発動
 が可能であることについて規定。

※2 遺伝子組換えイネについて
 すでに農水省が日本での作付けを認め、あとは厚生省に食品としての安全性評
価の申請をすればよいだけになっている組み換えイネには、以下のものがありま
す。
 安田節子氏 http://www.yasudasetsuko.com/gmo/column/010607.htm

※3 <農作物保護(雑草防除)分野におけるモンサント社との長期的協力関係
について 2010年10月20日 住友化学株式会社>

 住友化学、および同社の米国での農薬開発・販売子会社であるベーラントUS
A社は、このほど、米国の大手種子・バイオ・化学メーカーであるモンサント社
との間で、農作物保護(雑草防除)分野における長期的な協力関係の構築につい
て合意し、契約を締結いたしました。

 本件は、モンサント社の本社があるミズーリ州セントルイスにおいて、現地時
間の10月19日(火)9時(日本時間:19日23時)に、3社の連名による添付文書の
内容を発表しております。

 モンサント社は世界的な除草剤ブランドである‘Roundup(R)’と、同剤への耐
性を付与したさまざまな遺伝子組み換え作物である‘Roundup Ready’ の種子を
組み合わせた効果的、 経済的かつ簡便な雑草防除体系である‘Roundup Ready
system’を農業分野に対して従来から推奨しておりましたが、2011年以降は米国
内において、住友化学・ベーラントUSAの除草剤ラインナップを 雑草防除体
系に組み込み‘Roundup Ready Plus’として推奨することとなります。

 具体的には、大豆、綿、テンサイを栽培する農家がこの雑草防除体系で推奨さ
れる種子と除草剤(住友化学の製品を含む)の使用を選択した場合、農家に対し
てモンサント社から様々な製品サポートが提供されます。

 今回の協力関係構築によって、住友化学のフルミオキサジン(Flumioxazin)
を有効成分に含む除草剤である Valor(R) SX、Valor XLT、Gangster(R)、
Fierce(TM)、 およびクレトジム(Clethodim)を有効成分とする Select(R) と
いった一連の製品群は、モンサント社の雑草防除体系に長期的に組み込まれ、
‘Roundup(R)’ の有効成分であるグリホサート(Glyphosate)に対する抵抗性
を持った雑草の防除を含む様々な雑草問題への農家の要請に応えることができる
ようになります。

 住友化学では、これまでグリホサートに対する抵抗性を有する雑草への対策に
有効な除草剤の開発と販売を進め、子会社のベーラントUSAを通じて米国で高
い使用実績を獲得しておりますが、今回の提携により当社の農薬ビジネスが米国
内において更なる発展をとげることを大いに期待しております。

 また、住友化学とモンサント社は、さらに、ブラジル、アルゼンチンなど南米
各国での 協力関係構築に向けても協議を進めることに合意しています。
 以 上
 *)添付資料 3社連名リリース(英文)
 ‘MONSANTO, SUMITOMO CHEMICAL AND VALENT ANNOUNCE LONG-TERM’

※4 ベトナム戦争枯葉剤
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%AF%E8%91%89%E5%89%A4

※5 枯葉剤製造メーカー
・ダウ・ケミカル(Dow Chemical)
・モンサント(Monsanto)
・Valero Energy Corporation

 (筆者は行方市在住・農業者)
==============================================================================
最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップ>バックナンバー執筆者一覧