【沖縄の地鳴り】

編集後記と辺野古関連月表 2016.6.17〜7.16

仲井 富


<編集後記>

 ひょんなことから「沖縄の地鳴り」編集をまかされて1年以上経た。わたしにとっての沖縄は、09年に民主党政権が「辺野古県外国外移設」と「対等の日米関係 日米地位協定の改定」を掲げて沖縄の全選挙区を勝ち取り、自公の議員が姿を消したところから始まる。それが菅政権下で「日米同盟回帰」によって「辺野古移設推進」に転じたことへ失望と怒りから始まった。そこへ平野官房長官の名護市長選挙における反対派市長当選を「忖度しない」などと言う地域民主主義否定の談話などでさらに不信感を増大した。市民派議員を自称する辻元代議士が、社民党から民主党に転じて、辺野古移設賛成そして「消費税賛成」の賛成討論までやってのけた。

 それ以降、民主党政権に対する批判を続けてきた。このままでは民主党は危いと思った通り、菅直人政権下で010年の参議院選挙敗北、011年の地方選挙惨敗と続いた。そして極め付きが野田首相の下での自公と組んだ消費税値上げだった。4年間は上げないと公言した本人が「消費税値上げは大義」などと言うから世の中は唖然とする。予想通り012年の総選挙で民主党政権は閉じた。安倍政権批判をするけれども、自らの総括さえできない民主党が消えてゆくのは必然だ。
 それでも沖縄には希望があった。あのたび重なる民主党の背信、自民党の裏切り、知事の背信をことごとく選挙のたびに断罪してきた。最後に残ったのが宮城県人の島尻安伊子だった。翁長体制打倒の必殺仕掛人として安倍政権が全力を上げて支援した裏切り政治家である。不安があったが沖縄県民は保革を超えて「島尻ノー」を突きつけて断罪した。ようやく6年間の鬱屈を晴らした思いだ。「沖縄の地鳴り」は今回を持って打ち切り、新たな人材によって新たな出発をすることを加藤編集長と合意した。老耄83歳は今回を持って退場することになった次第である。

<辺野古関連月表 2016.6.17〜7.16>

◆16・7・15
 沖縄県の翁長雄志知事が、18日、米軍普天間飛行場の訓練移転候補地として上がっている鹿児島県西之表市の馬毛島を視察する。知事自ら訓練移転候補地を視察することで、広く世論に普天間の危険性除去や訓練の県外、国外移転の必要性などをアピールする狙いがある。15日、県が発表した。

◆16・7・14
 沖縄県と国は14日午前、名護市辺野古の新基地建設を巡る訴訟の和解条項に基づき「政府・沖縄県協議会」の下に設置した作業部会を県庁で開いた。安慶田光男副知事は国地方係争処理委員会の結論を受け、地方自治法が定める期限の21日までに国を提訴しない考えを正式に伝えた。

◆16・7・10
 沖縄選挙区の投開票、即日開票の結果、オール沖縄の伊波が自公維新推薦の島尻安伊子沖縄北方領土担当相を10万6,500票差で破って初当選。現職閣僚の敗北は27年ぶり。

◆16・7・8【沖縄タイムス】
 10日投開票の参院選に向け、沖縄タイムス社は朝日新聞社と合同で5、6の両日、県内有権者に電話で終盤の情勢調査を実施した。沖縄選挙区(改選数1)は、無所属新人で元宜野湾市長の伊波洋一氏(64)が優位に立ち、自民公認の現職で沖縄担当相の島尻安伊子氏(51)=公明、維新推薦=は伸び悩んでいる。幸福実現党公認で新人の金城竜郎氏(52)は厳しい。
 ただ、調査の時点では3割以上の有権者が態度を明らかにしておらず、情勢が変化する可能性がある。

◆16・7・7
 名護市辺野古の新基地建設に抗議する座り込みは7日で3年目に入った。辺野古の自宅から通い続ける島袋文子さん(87)は「まさか2年も続くとは思ってもみなかった。自分の島は命がけで守る」と語った。

◆16・7・6
 名護市辺野古の新基地建設に反対する座り込み行動2周年の集会が6日午前10時から、米軍キャンプ・シュワブゲート前で始まり、市民ら約100人(午前11時現在)が「海にも陸にも基地を造らせない」と声を上げている。集会は午後まで行われる予定。
 集会冒頭にあいさつした稲嶺進名護市長は「国に新基地建設を断念させよう。一刻も早く辺野古をあきらめさせよう」と呼び掛け、参加者との結束を確認。

◆16・7・3【琉球新報】
 日本自然保護協会を含む国内の非政府組織6団体が、9月に米ハワイ州で開催される国際自然保護連合(IUCN)の総会に先立ち、日米両政府とIUCNに外来生物対策を求める勧告案を提出した。IUCNの総会で沖縄の外来種問題が議論されるのは初。

◆16・6・28
 在日米軍司令部(東京・横田基地)が、米軍専用施設数を引き合いに「在日米軍基地の75%が沖縄に集中しているというのは事実ではない」などとフェイスブックに投稿したことに対し、沖縄県の翁長雄志知事は28日、「あぜんとして開いた口がふさがらない」と批判した。県庁で記者団の取材に応じた。知事は、2015年12月に日米両政府が普天間飛行場の一部など計約7ヘクタールの返還時期で合意した際、菅義偉官房長官とケネディ駐日米大使が会見で負担軽減をアピールしたことを挙げ、「まさしく面積の話をして返還を誇示していた」と指摘。面積で負担度合いを図ることに、日米両政府から異議は出ていないとして、「このように世の中をねじ曲げていくのはとんでもない話」と不満をあらわにした。

◆16・6・27
 沖縄県の翁長雄志知事は27日、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題で、国と県の和解条項に沿った28日までの高裁への提訴を見送ると表明した。翁長氏は「(政府と)話し合いする中で解決していきたい」と、改めて政府に協議を申し入れた。県庁で記者会見した。今後は国が県を訴えるかが焦点になる。

◆16・6・25【琉球新報】
 国際的愛国団体「一水会」の木村三浩代表は25日までに琉球新報の取材に応じ、19日の県民大会で決議した在沖米海兵隊の撤退や日米地位協定の改定などの要求について「全面的に支持する」との考えを表明した。1日発行の月刊機関紙「レコンキスタ」6月号1面には、県議会が在沖海兵隊の撤退などを求めた意見書を大きな見出しで「我々は、五・二六沖縄県議会の六項目決議を全面的に支持する。あとは実行だ」という主張を記載。会のホームページに全文を掲載した。

◆16・6・25【エコノミスト】
 【平安名純代・米国特約記者】英経済誌「エコノミスト」は6月25日発売号で、元海兵隊員の米軍属による暴行殺人事件が沖縄の米軍基地への抗議に火をつけたとし、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に影響を与えるとの有識者らの見解を報じた。
 同誌は、約6万5千人が集まった19日の県民大会で、「沖縄人に団結と米兵に撤退を要求するよう訴えた」被害者の父からの手紙が読み上げられたなどと伝え、大規模で熱がこもったものだったと評価した。多くの県民が辺野古移設計画を支持しておらず、最新世論調査では反対が84%を占め、県議選でも翁長雄志知事が率いる基地反対派の勢力が多数派を占めたなどと情勢を分析した。

◆16・6・24【沖縄タイムス】
 米軍普天間飛行場の返還を米側と合意した故橋本龍太郎元首相の下で官房長官を務めた故梶山静六氏が1998年、本土での反対運動を懸念し、普天間の移設先は名護市辺野古以外ないと書簡に記していたことが分かった。国は「辺野古が唯一」の理由として地理的優位性などを挙げているが、実際は本土の反発を恐れて沖縄に押し付けるという国内の政治的な理由だったことが明るみに出た。

◆16・6・24
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)が国と県に協議を促す結論を出したことを受け、沖縄県は24日、国へ協議を求める文書を送付した。係争委の判断に「不服はない」とし、県から違法確認訴訟を提起しないことを明記している。適法か違法か判断せず辺野古埋め立て承認取り消し是正指示、県幹部によると、県は文書で係争委の判断に関し「違法とも適法とも判断していない」と指摘。係争委の結論に従い、協議を国へ促している。

◆16・6・19
 沖縄の米軍属による女性暴行殺害事件に抗議する「県民大会」が19日、那覇市内で開かれた。主催側の発表では約6万5千人が参加した。参加した翁長雄志知事はあいさつで「県民の怒りが限界に達しつつあり、これ以上県民の犠牲は許されない」と強調した。そのうえで(1)日米地位協定の抜本的見直し(2)米海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理・縮小(3)米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設阻止——を列挙。「不退転の決意で取り組む」と訴えた。

◆16・6・18
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題で、翁長雄志(おながたけし)知事は18日、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」が17日に示した審査結果を不服とせず、提訴しない考えを示した。翁長知事は「委員会の判断を尊重し、問題解決に向けた実質的な協議をすることを期待する」と会見で述べた

◆16・6・17
 沖縄県那覇市議会の金城徹議長に対する不信任決議案が17日、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。金城氏は翁長(おなが)雄志(たけし)知事の側近で、翁長氏を支える勢力のうち、県内の市町村議会で唯一となる保守系議員会派「新風会」に所属していた。

◆16・6・17
 【東京】沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、総務省の第三者委員会「国地方係争処理委員会」(係争委、小早川光郎委員長)は17日、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しに対する石井啓一国交相の是正指示の適否を審査したが、地方自治法上の適法性の判断を示さないとの結論を発表した。期限の21日までに県と国の双方に決定書で通知する。

 【名護】米軍属女性暴行殺人事件で犠牲になった女性の出身地・名護市で「追悼名護市民集会」(同集会実行委員会主催)が17日、同市大南の市屋内運動場で開かれた。市民ら約900人が参加し、犠牲になった女性の冥福を祈った。被害女性の両親からのメッセージが読み上げられ「未来を断ち切られた娘が最後の犠牲者となり、子を失い悲しむ親は私たちを最後にしてほしい」と呼び掛けた。

 (公害研究会代表・オルタ編集委員)


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