■海外論潮短評(15)             初岡 昌一郎

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  国際問題専門誌として世界的に権威を認められている米『フォーリン・アフェ
アーズ』2008年9/10月号が、民主、共和両党の大統領候補の外交政策と国
際認識を比較論評しながら、次期大統領に政策転換を提言する論文を巻頭に掲載
した。筆者のリチャード・ホルブルックは元国連大使を務めた著名な外交官で、
現在はアジア・ソサエティ会長である。

 ホルブルック論文は、主要な国際問題に対する公式発言を基に両候補のスタン
スを分析しているが、一般には国際経験が豊富と伝えられているマケイン共和党
候補の主張にかなり厳しい批判を加え、そしてブッシュ政権の負の遺産を清算す
ることを通じて、アメリカが国際的に進路を大きく転換することを提唱している
。先ず、論文の主要な見解を以下に紹介する。


◇◇次期大統領の困難な諸課題


 次期大統領は、依然として最も強力な国家の指導権を継承する。同時に、第二
次世界大戦以後の歴代大統領にとってよりもはるかに大きな負の遺産として困難
な国際問題を継承することになる。特に、これまでの右往左往による後退と失策
の後に壊滅的となった、アメリカの国際関係における目標と力量を再構成する挑
戦に立ち向かい、友好国や同盟国との生産的な実務関係を再建しなければならな
い。また、動揺する経済を再活性化し、赤字が山積する財政の手綱を締めなけれ
ばならない。

 大統領があらゆる問題を解決できるという期待は、明らかに非現実的である。
それにもかかわらず、このような期待は彼が直面しなければならない現実である
。受身で対応型の大統領や、公約した解決を実行できない大統領は成功しない。

 アメリカがそれにふさわしい指導的な役割を世界的に回復するためには、二つ
の弱体化した領域を立て直さねばならない。それは国内経済と国外の評判だ、


◇新しいファクター


 歴史は不変ではない。しかし、歴史には法則に非常に近い一つのパターンがあ
る。長期的に見ると、大国の興亡は主として経済力で決まる。19世紀末からの
アメリカ経済の興隆は安い国内産石油によって文字通り点火された。その後、ア
メリカが大恐慌とその後の周期的な不況を常に克服してきたので、経済的困難も
一時的な循環的不況と想定みてアメリカ人は楽観的になりやすい。

 しかし、これまでの経験と異なる新しいファクターが出現している。政治家や
ジャーナリズムは、石油高騰による物価上昇と金融危機に関心を集中しているが
、それによる巨大な富の国外移転の長期的な戦略的影響がほとんど無視されてい
る。これによる空洞化こそが現下の危機を惹起した主因であり、次期大統領にと
っての大きな課題である。

 2008年前半の石油価格でみて、毎日13億ドルが産油国にアメリカから移
転している。これは年間4750億ドルとなるが、現在の価格ではさらに跳ね上
がる。中国、EU,インド、日本を合せれば約五倍となるし、まだ増え続けている

 産油国グループは、アメリカや西欧同盟国とは異なる、あるいは反対の目標を
持っている。それらの国が、イスラエルを破壊し、アフリカや南米を不安定化す
ることを狙う、あるいはアメリカを攻撃する、危険な非国家的勢力に提供しうる
資金が飛躍的に増大する。

 アメリカの友好国としてこれまで妥当な価格で石油を提供しようとしてきたサ
ウジアラビアは、他方で過激派育成の温床となった神学校(マドラッサ)を国外
各地で建設し、アルカイダを含むテロ組織に資金を出してきた。

 もう一つの問題は、気候変動が地球を脅かすレベルに達したことだ。このまま
進めば21世紀中ごろに達すると懸念される破滅限界ラインを回避するためには
、もうあと10年ばかりしか残されていないと多くの人が信じている。ブッシュ
政権はこの問題の取り組みを否定し、取り返しのつかない8年間を空費した。

 バラク・オバマ上院議員(イリノイ州、民主党)とジョン・マケイン上院議員
(アリゾナ、共和党)の両大統領候補は、そろって気候変動に真剣に取り組むと
いっている。しかし、よく見ると、彼らの立場には重要な相違がある。マケイン
が将来の技術革新に大きな期待を寄せ、それに任せようとしているのに対し、オ
バマははるかに包括的なプランを出している。排出量削減目標は曖昧だが、左右
のエコノミストの幅広い支持を得る市場メカニズムを伴う多額の投資を約束して
いる。

 マケインは、国内とオフショアでの採油と探索に対する環境規制撤廃を強調し
ている。これはなんらの解決にならないどころか、仮に新油田が発見されても、
向こう10年は供給増につながらないし、環境を悪化させる。

 2012年に期限切れとなる京都議定書を補足する新気候変動条約作成は漂流
している。2009年には新合意がまとめられ、年末にはコペンハーゲンで調印
が想定されているが、当てにならない。中国もアメリカも交渉に前向きでないし
、来年仮に合意ができても、ブラジル、中国、インド、インドネシアがカーボン
排出削減に合意しない限り、上院の批准は望み薄である。中国とアメリカ抜きで
は、新条約の効果が限定される。


◇一致点と不一致点


 アメリカ人が現状に不満を抱いていることから、両候補とも変化を強調してき
た。二人とも状況の悪化しているアフガン対策を力説しており、外交面ではNATO
同盟国との協調を重視している。グルジア問題をめぐり、両候補ともロシアに対
する懸念を表明した。しかし、マケインは極めて対決的で、G8からロシアを除名
することを呼びかけた。それ自体が愚策だし、他のメンバーの賛成を得られない
ことは明白だ。

 両者が著しい相違を見せているのは、外交とアメリカの将来ヴィジョンである
。オバマは外交を重視し、気候変動、エネルギー、キューバ、イランに前向きだ
。貿易について、マケインはオバマを保護主義と非難しているが、実際には、オ
バマは協定に環境や労動についての条項を入れるように主張しているに過ぎない

 マケインの"大胆な"提案は、新しくもないし、オリジナルなものでもない。例
えば、彼の曖昧な"民主主義国同盟"は、オルブライト元国務長官の創設した「民
主主義共同体」に似ているように見える。この機構はまだ存在しているが、現政
権によって事実上無視されてきた。

 マケインは彼の同盟が国連を代替するものではないといっているものの、国連
が行動を怠る場合には、それに代わって行動すると明言している。彼は、ロシア
や中国に束縛されない行動が必要だと公言している。これはオルブライト構想と
は違い、国連に取って代わるものに他ならない。

 過去8年間、アメリカが国連を軽視してカネを出さなかったことが、国連を弱
体化させ、反米的な立場に付け込ませることになった。国連は欠陥のある機構だ
が、アメリカの外交と国益に重要な役割を果たしている。国連改革のための努力
を新たにするのではなく、新機構を創設しようとすることは、マケイン自身が強
調している目的に反する。

 包括的核実験禁止条約について、オバマがこれを全面的に支持しているのに対
し、マケインは、これに反対している。オバマが全核兵器の廃絶を支持している
のに対し、マケインははっきりとそれに反対している。

 これらの相違からみて、両者は世界におけるアメリカの役割について異なるヴ
ィジョンと、外交に対する異なる態度を選挙民に示している。

 気候変動を除くほとんどの問題で、マケインはブッシュ政権よりも強硬路線を
採っている。例えば、彼は、北朝鮮核開発の停止に関してブッシュ大統領が去る
6月に発表した声明に深い疑念を表明した。マケインは自分を”リアリスト"な
いし"現実的理想主義者"と規定するのを好むが、彼の立場をよく検討してみると
、ネオコン(タカ派的新保守主義者)と多くの点で共通しており、実際に彼らの
多くがマケインを声高に支持している。


◇イランとイラク


 オバマとマケインの最重要な不一致点は、イラクとイランをめぐるものだ。マ
ケインがイランでアメリカが勝利しなければならないというのは、そのためには
コストや時間をいとわないことを意味する。彼が最も情熱を賭けているこの立場
は、政治的計算というよりも個人的な強い信念に基づいている。

 他方、オバマはブッシュやマケインのいう勝利は不可能と考える。この判断は
、イラク現地の司令官たちも共有している。本来はじめるべきではなかったこの
戦争のコストは、彼にとって容認できないものだ。オバマは、イラクを安定化さ
せるために、この地域のすべての隣国を関与させる外交的努力を求めている。

 マケインは反対者の立場を敗北主義として批判し、アメリカを弱め、敵を激励
すると見る。しかし、彼は明確な戦略を示しておらず、その勝利とは何を指すの
かを定義していない。戦争終結がリスクを伴うので、それを継続したいとするだ
けだ。彼はアメリカ軍を100年間でも駐在させるというが、中東の排外的暴力
的な雰囲気にはこのような長期的誓約は効果がない。

 この地域、そしてイスラエルとパレスティナ、レバノン、シリアおよびサウジ
アラビアに対する真剣な政策は、すべての域内諸国を関与させるものでなければ
ならない。これには、イランというこの域内の中心勢力を含める不愉快な現実を
回避できない。

 オバマとマケインの双方は、イランの核武装阻止を優先的課題とすることで一
致している。両者とも、実力行使の威嚇を排除していない。しかし、強調点と語
調は異なる。オバマは、核だけでなく、アフガニスタン、イラク、テロ組織など
について、生産的と見られるどのレべルにおいてもイランとの直接接触の用意が
あることを再三言明している。マケインはこのような直接接触に反対しているだ
けでなく、イラン核武装を阻止するのに戦争を辞さないと公言している。

 マケインの立場は、敵対者に対してアメリカの歴代政権が長年とって来た政策
と矛盾する。外交は融和とは違う。チャーチル、ケネディ、レーガン、ブッシュ
先代はこれを承知していた。マケインの本音は、大衆集会で彼が"ボンブ、ボン
ブ、ボンブ、ボンブ・・"と軽くアジッたことに現れている。

 中国はかつて東南アジアのゲリラを支持していた。しかも、文化革命の狂気の
最中にニクソン大統領とキッシンジャー補佐官は毛沢東と会談し、世界を変えた
。多くの専門家は、イラクとの対話がイラクやアフガニスタンの安定をもたらす
かどうかの十分な確信はないものの、試みる価値があると考えている。


◇もう一つの戦争


 両候補はもう一つの戦争、すなわちアフガン戦争を重視することでは一致して
いるが、それだけでは十分でない。アフガニスタンにおけるアメリカの現在の政
策は失敗している。マケインはイラク戦争をも継続するならば、その財源を何処
に求めるかという問いに答えなければならない。オバマは、すでに1万人のアフ
ガン増派を公約している。

 アフガニスタンの将来は反乱対策だけでは確保できない。解決には、近隣諸国
の関与する地域的な合意を要するだろう。それには、イラン、中国、インド、ロ
シアが含まれる。最も重要な隣国はパキスタンで、これがアフガニスタンを不安
定化してきたし、今後も情勢を左右する。

 最近のニューヨーク・タイムスの記事が述べているように、アルカイダがその
根拠地をアフガニスタンからパキスタンに移すのに成功した状況の中で、ブッシ
ュ政権は終幕を迎えた。この政権のアフガン政策はイラク以上の大失敗であった


◇手に余る課題


 これまでに取り上げた課題のほかに、無視できない多くの国際的な問題がある
。それらは長期にわたって放置され、突如として政策課題の全面にでてくること
があった。いくつかを例示すると、ソマリア、ボスニア、ミャンマー(ビルマ)
、チベット、ジンバブエ等である。

 ムスリム世界とのアメリカの関係は特に注意が必要だ。過激派に対処するため
にムスリム穏健派を激励する政策はうまくいっていない。ブッシュは、民主主義
をアメリカの軍事力で達成しようとして、その価値自体を貶めた。次期政権は、
人権(ブッシュ政権はこの言葉を奇妙にも嫌った)とベイシック・ヒューマン・
ニーズにもっと焦点を当てながら、多元的な政治文化の成長、法による統治、物
質的諸条件の改善、そして雇用創出を通じて、民主的統治形態の発展を促すべき
だ。これは、チリ、インドネシア、韓国、台湾、フィリピン、いくつかの若いア
フリカ民主主義国からの教訓である。

 ラテンアメリカではアメリカの指導性に対して疑問が広がっている。貧困と不
平等の克服、麻薬密輸とはびこる犯罪の根絶などという、本気とは受け取られて
いない従来の公約によっては対処できない。言語、文化、資本、通商などを通じ
て進行している中南米の地域統合をアメリカは支持すべきだ。


◇多極的世界における指導力


 アメリカは歴史の海に漂う、救いのない巨人ではなく、依然として地上で最も
強力な国家である。一定の限界内で、自らの運命を切り開き、多極的な世界で指
導的役割を果たすことができる。その仕事は先ず国内から始められなければなら
ない。


◆◇選挙公約 ― ホルブルックの観察


 この長大な論文の間に、筆者自身による「ひとたび政権に就けば・・・」とい
う、ややシニカルな短いコメントが囲みで挿入されている。面白いので、それを
以下に披露しよう。

 「候補者が外交政策について語ることが選挙後の正確な指針とならないことは
、歴史的に確定した事実である。歴史家が指摘しうる膨大な事例からいくつか拾
う。

 ルーズベルトは、1940年に「いかなる外国の戦争にもわが国の子弟を送ら
ない」と公約した。1964年にジョンソンは、ベトナムに地上軍を派遣しない
と言明した。1968年にニクソンが、ベトナムから撤退する秘密のプランは存
在しないと語った。1980年にレーガンは、台湾との関係を'公式'なものにす
ると公約した。1992年のクリントンは、ボスニアに対して断固たる立場をと
り、"北京の虐殺者たち"と対決すると約束した。2000年のジョージ・ブッシ
ュは、国外の「国作り」に決して関与しない、もっと慎ましやかな外交政策を提
唱した。

候補者がホワイトハウスに入ったときに間違っていたと結論を下すような立場を
とる場合、それに固執する事は明らかに無責任であろう。選挙運動中に行なった
言明を国益に優先させることが無責任なのは明らかだ。」

 しかしながら、選挙中の立場を逆転させることは、それがいかに必要なもので
あれ、政治家にとって痛みを伴うべきことである。その状況にかかわらず、この
ことは反対陣営が批判すべきものである。公約が最終的にどう扱われるかに拘わ
らず、選挙中の立場は政策の重点を示す主柱であり、それぞれの候補者が主要な
問題にとるアプローチとして慎重な検討に値する。」


◆◇評者のコメント


 本号には、ホルブルック論文とは直接関係ないものの、「海外からの意見」と
して他の三大陸から代表的と見られる論客が寄稿している。朝日新聞主筆船橋洋
一、メキシコ元外務大臣ホルへ・カスタニャーダ、フランス国際問題研究所上席
顧問ドミニク・モイシだ。

 後二者が、ブッシュ政権の8年間にわたる外交と軍事の政策が世界に壊滅的な
被害をもたらした最悪のものと酷評しているのとは対照的に、舟橋だけは甘口な
論評に終始しているのが目立つ。船橋論文は共和党の外交政策が民主党よりも好
ましいと多くのアジア人(筆者もその一人ととられそう)がみているという前提
から始まる。この出発点の認識自体が問題だ。

 かつては船橋をスケールの大きな国際問題評論家として高く評価していたが、
最近はその名声が上がり、論考の枠組みが壮大になるにつれて、現状にたいする
透徹した批判眼が曇っていったという印象を持にいたった。特に、この論文には
痛く失望した。

 共和党の外交政策が好ましいと見るのは、貿易上の考慮からする、日本など一
部アジア政府の立場ではないか。ほとんどのアジア諸国は、どのような政権が誕
生しようともアメリカ政府との協調をはかろうとするが、それは野党を嫌ってい
るからでは必ずしもない。また、政府が対米協調を採ることと、一般世論とは同
一ではない。アジアの一般大衆がブッシュの政策を好意的に受け取ってきたとは
とても思えない。さらに、現ブッシュ政権の外交政策をこれまでの共和党政権の
伝統に従ったものと見ることには、アメリカ国内で共和党員のなかから大きな疑
問が付けられている。

 船橋は結論部分で新日米同盟を提唱している。アメリカが安全保障を、日本が
開発を分担して、世界をリードしようという。このような主張が、世界はもとよ
り、今日のアメリカで評価されるとはとても思われない。これまでのアメリカの
安全保障政策と日本の開発政策のいずれも批判的に検証されるべきものであり、
反省と転換が求められているからだ。

 日経新聞10月4日朝刊が、父ブッシュ大統領元補佐官とのインタビューを大
きな紙面を割いて掲載している。彼は、現共和党政権の外交政策を痛烈に批判し
ている。また最新の、『フォーリン・ポリシー』9/10月号に掲載された「ブッ
シュの遺産」で、父ブッシュ大統領のスピーチライターだったデービッド・フル
ムが、イラクだけが負の遺産ではないとしながら、イラク戦争がアメリカの安全
をそこない、他国との同盟関係を破壊したと率直に批判している。チェイ二-副
大統領やネオコン派は共和党の正統な伝統を継ぐものではない。

 マケイン候補は父親も本人もキャリア軍人であり、選挙戦を通じて軍事通とし
てタカ派振りを発揮している。彼は、オバマの主張する交渉による解決を対敵融
和と同一視して、軟弱と批判している。『ネーション』9月18日号で、エリッ
ク・アルターマンがマケインを批判して、「その立場を時に応じてクルクル変え
ている」と批判しているが、外交軍事に関してはタカ派で一貫しているように見
える。

 イギリスの『エコノミスト」10月4日号は、「希望と経験の戦い」という、
25ページの「スペシャル・ブリーフィング」を大特集している。イギリスとヨ
ーロッパ全般でのオバマ待望熱を反映して、このやや保守的な雑誌もオバマ支持
をはっきりと滲ませ、マケインの外交政策がヨーロッパの路線と不一致なことを
浮き彫りにしている。

 ブッシュ政権下の8年の失政のために、アメリカの道義的威信と経済力はこの
ところ大きく揺らいでいる。アメリカ発の現在進行中の経済的危機は、サブプラ
イム問題に端を発したものだとしても、構造的なものだ。問題の核心は、ここ数
十年、アメリカが自ら生産するよりも多くを消費し、借金生活で赤字を垂れ流し
てきたことにある。

 市場至上主義で民間企業の自由を謳歌してきたアメリカ主導のグローバリゼー
ションが金融危機を招き、政府によって救済されるのは痛烈なアイロニーだ。小
さな政府を掲げるマケイン候補が不振なのは現状からみて当然であろう。政府の
失敗を市場が救うことが近年の政治テーマだったが、このところ市場の失敗を政
府が救うのに大童である。潮目が変わった。

 優勢を伝えられるオバマ当選が歴史的な転換点を画するものとなるには、ルー
ズベルト大統領の故智に倣い、彼と民主党が最初の100日間に大胆な転換戦略
を確立することが必要だろう。時を逸するならば、保守派が党内外で元気をとり
戻し、抵抗が次第に増加するだろう。日本で、民主党が勝利した場合にも同じこ
とが当てはまる。

 小さな政府論者が多い日本の民主党には、今後のグローバル化の諸問題に有効
に対応するためにも、政府の規制力と所得再分配機能をしっかり再評価してもら
いたい。
              (筆者はソーシアルアジア研究会代表)

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