【オルタ広場の視点】

構造変動進む世界の現状と展望一多極化する世界と米中日―

久保 孝雄

 ◆ 1、世界の構造変化をどう捉えるか

 今日のテーマは日中関係をどう見るかだが、その前に現代世界をどう見るかを考えてみたい。世界の捉え方が間違っていると、日中関係も正しい見方ができない(本稿は講演会の記録を元に作成・筆者)。

 マルクスの史的唯物論によると、社会は下部構造と上部構造からできている。下部構造(base)は経済で、上部構造(superstructure)は政治や法律、思想、価値観、文化などだ。時間差はあっても社会の在り方は土台である経済のあり方に規定される。もちろん上部構造から下部構造への反作用―戦時下の日本の統制経済やソ連型計画経済、中国の大躍進のように、政治が経済を動かすこともあるがうまく行かず、失敗する。

 この考え方は、現代世界をどう見るかにも参考になる。今の世界を一つの国際社会と見ることには異論もあるが、1980年代以降の経済のグローバル化の進展、交通や情報技術の急速な発展により、世界が今ほど緊密に一体化した事はかつてなかった。この国際社会の下部構造は世界経済であり、上部構造は国際政治・外交、国際法、国連などの世界秩序、世界的な思想・イデオロギー、価値観などだ。

 ◆ 2、経済は「東」(中国+新興国・途上国)が優勢

 この考え方に沿って現代世界を大胆に判定してみると、下部構造、つまり世界経済の面ではすでに中国及び新興国・途上国(以下これを東側と呼ぶ)の力が、欧米や日本などの西側の力を大きく上回っている。つまり下部構造では東側が西側に対して優勢であり、すでに勝負はついている、もはや逆転は不可能だとみていい。

 為替レートで見たGDPでは米国の22兆3,000億ドルに対し中国は14兆7,000億ドル(2019年、IMF)で、米国の7割弱だが、より経済の実態を表すと言われる購買力平価のGDPでは、2014年にすでに中国は米国を上回っており、その差は年々拡大している。19年で見ると1位中国(23兆5,200億ドル)、2位米国(21兆4,300憶ドル)、3位インド(9兆5,600億ドル)、4位日本(5兆4,600億ドル)となっており、中国は米国を2.1兆ドル上回り、日本の4.3倍になっている(表1-①)。また先進7カ国(米英仏独伊加日)のGDP42兆7,370億ドルに対し、新興7カ国(中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)のそれは48兆9,060億ドルで6兆ドル以上も較差がひろがっている(表1-②)。

 表1 購買力平価GDPで見た世界

①上位5カ国(単位:千万ドル)
  1、中  国   23,523,358
  2、アメリカ   21,433,226
  3、イ ン ド    9,560,220
  4、日  本    5,459,155
  5、ドイツ     4,678,568

②先進国G7 対 新興国G7
  先進国G7 42兆7370億ドル
  新興国G7 48兆9060億ドル

③欧州対アジア
  欧州(51カ国)  29兆217億ドル
  アジア(24カ国) 56兆1,452億ドル

 *ロシアは②では新興国側に、③では欧州側にカウント
 (IMF-World Economic Outlook Databases 2020年版、③は19年版より作成)

 アジアと欧州=東洋と西洋のGDP較差も大きくなっている。アジア24カ国のGDP56兆1,452億ドルに対し、ヨーロッパ51カ国が29兆2,617億ドルで、アジアが欧州の約2倍である(表1-③)。これらの数字を見ると、ここ30~50年の間、中国を先頭にアジアの台頭がいかに大きなものか、逆に欧米先進国の地盤沈下がいかに大きいかがわかる。

 「勝負あった」とも言える下部構造の大転換については、すでに多くの証言があるが、代表的なものを紹介する。ノーベル賞経済学者のスティグリッツは、早くも2014年に次のように述べている。「2014年は米国が世界最大の経済国である最後の年になるだろう。2015年には中国が(世界最大の経済国に)なり、長期にその座を占めるだろう」(VANITY FAIR 1月号)。

 また最近のNYTによれば2人の経済学者が「70年前米国のGDPは世界の半分であった・・・現在は7分の1である・・・購買力平価ベースでは中国経済の方がより大きい。コロナでこの格差は拡大する・・・最早、経済では米国のヘゲモニーは存在しない」と書いている(J.ゴールドゲイヤー、W.ジェントルソン、孫崎享ブロマガ 20.12.4)。

 またEUの政策助言者も次のように言う。「結論ははっきりしている。(米国は)中国の経済、技術面での台頭を受け入れるべきだ・・・それを食い止めようとするのは無駄なだけでなく、極めて高い代償を伴う」(欧州政策研究センター研究部長ダニエル・グロス Newsweek 11.17)

 さらに、新興国、途上国も含めた状況についての証言も見ておこう。米マッキンゼー・アンド・カンパニーのアジア会長は次のように言う。「アジア地域のGDPが世界全体に占める比率は2000年には24%だったが17年には34%、40年には50%まで増大する。・・・<アジアの台頭>が言われるが、アジアはすでに台頭の域を超えて、<アジアが世界をリードする>と言う時代に入りつつあるのだ」(オリバー・トンビー 日経 19.9.26)。

 アジア開発銀行も今から10年前の報告書で「2050年にはアジアのGDPが148兆ドルに達し、世界のGDPの52%を占め、今から300年ほど前の産業革命以前にアジアが占めていた支配的な経済的地位を取り戻すことになる。・・・(この時)中国の割合が20%、インドが16%に達し、米国の12%を上回る」と予測していた(ADB:Asia 2050. 2011)。

 最後にだめ押し的な発言を紹介する。英FTの外交専門家はこう書いている。「何世紀も続いてきた欧米による国際情勢の支配は終わりを迎えようとしている。この変化の根本原因は、過去50年間のアジアの驚くべき経済発展にある。欧米の政治力は、技術、軍事、経済の優位性の上に築かれたものだが、こうした優位性が急速に失われつつある。そしてその影響が今、国際政治の場で感じられるようになっているのだ」(ギデオン・ラックマン『イースタニゼーション』日経新聞社)。まさに下部構造の変化が上部構造―政治に影響し始めていることを指摘している。

 この「アジアの驚くべき経済発展」の中心は言うまでもなく中国だ。建国当時(1949年)3~4,000億ドルだったGDPは45倍の15兆ドル(名目)、1人あたり GDPも200ドルから50倍の1万ドルを超えた。これが世界の下部構造変化の最大の引き金だ。コロナ禍はこの格差をさらに広げる。世界銀行は世界中がマイナス成長のなか中国の20年の成長率を2.0、21年は7.9と予測しており、中国経済一人勝ちの状態が続く(12.25 CRI)。なお最近の英国のシンクタンクの報告では2028年に為替レートのGDPでも中国が世界一になり、中国の国際的地位がさらに高まるだろうと予測している(時事 12.26)。

 ◆ 3、アメリカ一極支配が崩れ、世界の非米化が進む

 では上部構造はどうか。大きく変化し始めたが、まだ下部構造の変化より不均等だ。一番早く崩れだしたのは国際政治における米国の世界覇権だ。崩壊を早めたのは01年の同時多発テロを機に、03年のイラク侵攻から始めたブッシュの「テロとの戦争」だ。

 米ブラウン大学の報告書によれば「テロとの戦争はかえってテロを世界中に拡げ、死者80万人、難民総数3,700~5,900万になった。費やした戦費は6.4兆ドル(680兆円)。19年続いたテロとの戦争は大失敗で、米国の力と威信を失墜させた」。この失敗による国力の疲弊、つまり経済の弱体化、格差や貧困、社会的分断の拡大に対する不満を背景に誕生したのがトランプの「アメリカファースト」だった。

 トランプは、もはや「アメリカには世界の警察官を務めるカネはない」と言って世界中に張り巡らした米軍基地を徐々に減らし(700台から600台へ、最近もビーガン国務副長官が韓国に行き、米軍基地12の返還を決めた)、中東やアフガンからの兵力削減や撤退も始めた(この点についてはトランプを評価する。彼は軍産複合体の代弁者ではなかった)。また、イラン核協定から離脱して制裁を強めたり、イスラエルに有利な中東和平策を進めてパレスチナ始めアラブ世界の反発を招き、中東の地域覇権をロシア、イラン側に移行させ自らの覇権を狭めた。

 東アジアでは中国の台頭を抑えるため、「自由で開かれたインド太平洋」戦略を掲げ、米日豪印(QUAD)を軸にASEANも巻き込んで中国包囲網を築こうとしているが、最近(20.11)のRCEP(東アジア地域包括的経済連携協定=ASEAN+日中韓豪 NZ)の結成から米国が外されたように、アジアでの存在感も低下している(東アジアサミットにトランプは3年連続欠席し不信を買った。ロシアは「米国は東アジアのアウトサイダーになった<スプートニク>」と見ている)。

 トランプの代弁者と見られた豪州モリソン首相は対中強硬派だが、輸出の3割が中国で、産業界には慎重論もある。インドはQUADがアジア版NATOになることに反対しているうえ、武器の7割をロシアに依存しているのでQUADが機能するか疑問だ(最近の日英協議で英がQUAD参加、空母の南シナ海派遣のアナクロ策を表明 NHK 1.4)。

 中南米やアフリカでも中国の影響力が高まっている。アンデス同盟(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー)のリーダー、ボリビアのアルセ大統領は「信頼できる国一国を挙げるとすればブラジルだ。次は中国だ。米国ではない。これは中南米諸国に共通の考えだ」と言っている。ブラジルはじめ多くの国が中国を最大の貿易相手国としており、すでに中南米は米国の「裏庭」ではない。

 王毅外相は31年連続で、今年も新年最初にアフリカを訪問しているが、中国とアフリカとの関係も発展しており、90年代はじめ2~3億ドルだった中国との貿易が飛躍的に拡大し、最近では2,000億ドルに近い。昨年9月、アフリカ50カ国のうち39カ国の国連大使が人権委員会に連名で共同書簡を送り、ウイグル問題で中国の立場を擁護し、中国への内政干渉に反対したし、46カ国が一帯一路に参加している。

 軍事面でも微妙な変化が起きている。これまで世界中で我が物顔に振舞ってきた米国だが、最近は不自由さが増している。黒海や北海、バルト海、極東などロシア近辺に偵察行動で接近する米国の軍用機、軍艦がロシアの対抗策(電磁波攻撃など)で接近が困難になっている。南シナ海でもアメリカは「自由な航行」作戦を展開し、空母をはじめ多数の軍艦、爆撃機を動員しているが、中国側も空母を2隻にし、ミサイルを増強するなどで「接近阻止、領域拒否A2/AD」の能力を向上させている。昨年8月には空母キラー(DH21D・射程1,500キロ)、グアムキラー(DH26B・4,000キロ)と呼ばれる極超音速のミサイルの試射(浙江、青海省から発射)を成功(航行中の標的に同時着弾)させて米軍を強く牽制(読売 1.13)しており、我が物顔には振る舞いづらくなってきた。米国ランド研究所によれば東アジアの軍事情勢は2000年までは米軍が圧倒的優位だったが2010年には拮抗状態、2020年には中国優位に変った、と分析している(「マスコミに載らない海外記事」など)。

 米国は南シナ海での中国の行動を非難し、盛んに衛星写真を公開しているが、中国より先にベトナムやフィリピンが滑走路を作り、軍事基地にしていることは報道しない。ベトナム、フィリピンなどと領土問題で紛争はあるが、紛争処理の行動規範も作られている。南シナ海は中国の海の玄関であり、また脇腹でもあるので、中国が敏感になるのは当然だ。「中国は南海を平和と協力の海にしようとしている。軍事を持ち込んでいるのは米国だ。紛争解決は関係国の協議に任せるべきで、何千キロも離れた域外国の米国は口出しするな」と中国は主張している。

 米欧日などは盛んに「中国の海洋進出は許せない」といっているが、米国艦隊は世界中の海を我が物顔で航行している。もし中国やロシアの艦隊がハワイ沖やメキシコ湾、東海岸や西海岸に接近したらどうか。世界中が大騒ぎをするだろう。米国が世界の海を支配するのは当然だが、中国、ロシアの海洋進出は許さないというのは、海洋では米国覇権が残存しているということだ。

 またトランプの一国主義は西欧との同盟関係を傷つけ、NATOを揺さぶり、いわゆる西側の結束を弱体化させてきたのみならず、戦後自ら主導してきた自由貿易の旗を捨てて保護主義や貿易戦争に走り、国連の機関(人権委員会、WHO、UNESCOなど)や協定(パリ協定)、多国間協約(米ロ間のINF条約、P5+独のイラン核協定など)から相次いで離脱するなど、米国主導だった国際秩序を自ら壊してきた。もはや米国は世界のリーダーとしての資格を失っている。コロナパンデミックでも世界最悪の状態だし、トランプ支持者の議会占拠事件も重なり、米国の威信はボロボロだ。

 バイデンは America is Back と言っているが、米国が国際社会で元の位置に戻ることは無理だ。NYTも「バイデンは世界をリードすることを望(んでいるが)、そうすべきではない・・・それは時代遅れで危険だ」と書いている(孫崎享ブロマガ、20.12.4)。年末、中露は電話首脳会談を行い、バイデン就任後の世界に対し「戦略的協調と協力を密にし、世界の戦略的安定に貢献していく」ことを確認、両国の関係が史上最高レベルにあることを誇示した。

 さらにロシアとEUは米国の妨害(ナヴァリヌイの事件もその一環)を蹴ってロシアからバルト海経由の天然ガスパイプライン・ノルドストリーム2を完成させることで合意したし、中国―EUは一帯一路やユーラシア経済圏構想につながるハイレベルの投資協定について、年末のオンライン首脳会議(習近平、メルケル、EU委員長)で妥結し、バイデン外交の機先を制している。

 ◆ 4、情報、イデオロギー、価値観、文化などではまだ西側が優位

 しかし、米国には人文科学、自然科学で水準の高い大学や研究機関が数多くあり、シリコンバレー始めイノベーションの力も大きいし、音楽、映画、芸術などの文化面で世界をリードする力を持っている。アメリカン・ドリームは色あせたが、人種的多様性を背景にしたアメリカ国民のダイナミックな底力は無視できない。特に戦後、米国一極支配のもとで映画や音楽、スポーツなどアメリカ文化とともに世界中に広めてきたイデオロギーや価値観(自由、民主主義、人権など)、情報空間(新聞、TV、GAFAなどIT企業)における覇権はまだ極めて強力だ。とくに戦後日本における米国の文化支配は強力で、世界で最もアメリカナイズされた国になっている。

 ただこの面でも微妙な変化が起きている。今米国はホワウエイやZTEなど中国のIT企業潰しに躍起になっているが、これらの企業が米国のハイテクNo.1の地位を脅かしているからだ。米国は世界No.1を失うことを極度に嫌う国だ。これが対中攻撃の大きな要因になっている。そこで、最近中国が米国を抑えて世界No.1になり、米国を苛立たせているものを挙げてみよう。

 *特許出願件数 1.中国 59,123 2.米国 57,601 3.日 52,692 (IPO, 2019)
 *理工系論文数 1.中国 30.6万 2.米国 28.1 3.インド 4.独 5.英 6.日(引用数でも中国がトップ、全米科学財団 2018)
 *大学等の研究力 1.中国科学院 2.ハーバード大 3.マックスプランク研究所(ベスト15のうち中国6、米国3、英独2、仏・日1)
 *5Gの特許保有件数 1.中国 2.韓国 3.米国
 *量子テクノロジーの論文数 1.中国 2.米国
 *宇宙開発(月の裏側に着地観測、岩石採取

 「中国よ、いつまでもNo.2でいてくれ」というのが米国の本音だと英国の経営者協会の幹部(スチーブン・ペリー)が言っているが、ポンペオも最近の演説で「中国が世界No.1になるのは認められない」(日経 20.9.24)と本音を語っていた。

 西洋文化の世界支配が200年以上続いてきた間、世界における善と悪、正義と不正義、真偽などの基準は欧米によって決められてきたし、それを世界普遍のものとする力も持っていた。社会の近代化も、進歩、発展も全て西洋化すること、アメリカ化することだと考えられてきたし、今もそう考える人が多い。

 国際問題専門家の田中宇は次のように書いている。「これまで世界で<何が事実か>を決めてきたのは覇権国である英米だった。しかし今、覇権の低下によって事実を事実として確定させる・・力が低下し、同時に覇権を維持するための事実の歪曲や捏造も酷くなり、それがまた覇権の低下に拍車を掛けている・・覇権とともに<事実>も不安定化している」(田中宇「国際ニュース」20.10.12)

 かつて米国はソ連を「悪の帝国」、イラン、イラク、北朝鮮などを「テロ支援国家」と規定し、西側を動員して経済的、軍事的制裁を加えてきた。今中国を「自由と民主主義の最大の脅威」「中国共産党と習近平は最大の悪」(ポンペオ)と規定し、対中強硬策を展開し、西側諸国に同調を働き掛けてきた。しかし、ここでも米国覇権の低下を垣間見るようになった。ファイブ・アイズ(機密情報共有の英語圏5カ国)の参加国、NZのナナイア・マフタ外相が「我々は国益を優先する。香港やウイグル問題は中国の内政問題でNZは介入しない」として、米国の反中キャンペーンに参加しないことを表明した。因みにNZの最大の貿易相手国は中国だ。

 かつてソ連を「悪の帝国」、今中国を「世界の脅威」と決めたのは米国であり、西側中心の国際世論がこれに影響され、追随しているのが世界の現状だ。しかし、ポンペオの言う「最大の脅威は中国共産党であり、共産主義だ」という考えは大変危険で、米ソ冷戦時代の考えだ。政治体制やイデオロギー、価値観などを対決のテーマにしたら外交は無用であり、相手を潰すまでやるしか無くなる。このやり方にはNZのように西側にも懸念が生まれているし、NYTもポンペオを「史上最低の国務長官」と評していた(EUも新年のポンペオ訪問を拒否した 1.13 各紙)。

 米国のピューリサーチの調査(西側14カ国)によれば、世界中で反中国世論が異常な高まりを見せている。以下の通り。
 日本86%、スウエーデン85、豪州81、デンマーク75、英国74、オランダ74、米国73、カナダ73、独71、ベルギー71、仏70、西63、伊62

 これ程高い反中意識はかつてなかった。主な要因はコロナ、香港、ウイグル問題だと言う。日本はこれに尖閣が加わる。しかし、これらはいずれも西側で米国の情報覇権の強い影響下にあり、米国の反中国キャンペーンの影響が一番浸透しやすい国々だ。

 この調査には新興国、途上国の調査が無いので比較できないが、東側の対中意識を見るために、昨年10月の国連人権委員会におけるウイグル人権問題の討議の状況を見てみる。
 西側29カ国を代表して討論に立ったドイツ代表は、ウイグル族への中国の人権弾圧を激しく糾弾したが、これに対してパキスタンがイスラム国など55カ国を代表して反論し、中国を擁護した。ついでキューバも中南米など45カ国を代表して中国の人権弾圧を否定して、中国のウイグル政策を支持した。つまり国連人権委員会では29対100で中国支持が多数を占めた(米国独立系ニュースサイト「グレーゾーン」もウイグル「強制労働」は西側の反中プロパガンダだと認めた。CRI 1.30)。米国のキャンペーンの影響を受けやすい西側世論と受けにくい東側の反応との大きな違いがある程度推測できる。

 香港問題でも西側では中国非難一色だが、東側の反応はもっと冷静だ。西側のキャンペーンでは、中国の国家安全維持法は民主化運動を弾圧し、国際公約である「一国二制度」を破壊するものだと言っているが、中国は民主化運動を抑えるものではなく、外国勢力(米英)と組んで香港独立を企み、「一国二制度」の「一国」を「二国」に変えようとする運動や暴力的破壊活動を非合法化し「一国二制度」を守ろうとするもので、国家安全上当然のこととしている。

 リンゴ日報の黎智英の逮捕が民主派への弾圧だと言われているが、彼は単なる民主派ではなく、筋金入りの独立派であり、訪米するたびにペンス、ポンペオ、ペロシらの歓待を受け、各地のカラー革命の資金源とされるNED(全米民主主義基金)の会議で「我々は米国のために戦っている」と演説までしている人物だ(富坂聰『サンデー毎日』19.12.1)

 英国統治下の香港はさも民主的だったようにいわれているが、民主主義のかけらもなく、すべては女王が任命する総督の一存だった。返還が決まってから議会が作られたのが実情だ。香港問題でも国連では30対70で中国支持派が多数を占めていた。

 ◆ 5、構造変動によって生まれる世界とは

 この構造変動は今後どんな推移をたどるだろうか。正確な予測は困難だが、まず下部構造の変化はますます進んでいき、中国が為替レートGDPでも数年以内に世界1位になるだけでなく、インド、インドネシア、ロシア、ブラジルなど新興国の経済発展がつづき、米欧日など西側の地盤沈下が一層進むだろう。米シンクタンクが予測した「2050年の世界」によれば、30年後の世界のGDPランキングは次のように大きく変化する。

 1.中国58.5兆ドル 2.インド44.1 3.米国34.1 4.インドネシア10.5 5.ブラジル7.5 6.ロシア7.1 7.メキシコ6.9 8.日本6.7 9.独6.1 10.英5.3
(中国は米国の1.6倍、日本の8.7倍になる。30年前、日米同盟はGDP世界1位と2位の同盟で、それなりの存在感があったが、3位と8位ではインド一国にも及ばない)(INSIDER No.1074)

 こうした下部構造の変化に伴って、上部構造のうち国際政治、外交、国際秩序などは変化、再編が進むだろう。まず、100年ぶりの歴史的変化としてアメリカの覇権、一極支配は無くなる。中国は一極支配体制を否定し、多極化を推進する立場なので、国際関係は多極共存体制(米国、EU、中国、ロシア、インド、ブラジル、メキシコ、トルコ、インドネシアなどが極になるだろう。イランが入ってくるかも知れない)に移行して行く。これに伴って国連機構や国際組織(WTO、WHO、IMF、WBなど)における東側の発言権が大きく向上し、国際関係における民主化、平等化が進むだろう。

 現に、2000年以降の世界の動きを見ると、中国、ロシアを先頭に「アメリカ後の世界」に対応する布石が次々に打たれてきているが、これについて中国は「我々は覇権を求めない。米国に取って代わる気もないし、今の国際秩序を壊す気もない。ただし国際情勢の変化に合わせた改革は必要だ」との立場をとっている。主なものを挙げてみる。

 *上海協力機構(SCO、2001年発足、中露、カザフ、タジキ、ウズベク、キルギスの6カ国で発足、印パ加盟で8カ国連合、オブザーバーにイラン、アフガン、モンゴル、ベラルーシ、客員にASEAN10カ国)
 *BRICS(2009年 ブラジル、ロシア、インド、中国で結成、11年に南アが参加、新興国の代表的組織)
 *G20(2009年 リーマン危機後にG7の呼びかけで発足、世界経済の中心がG7からG20に移る)
 *一帯一路プロジェクト(2013年 習近平提唱)

 インド出身のパラグ・カンナは次のように書いている。
 「アジアを中心とした世界秩序(アジアの世紀)の礎が築かれたのはいつだったかを振り返ってみると、それは2017年だ。その年の5月、世界の人口の3分の2と世界のGDPの半分を占める68の国の代表が北京に集まり、第1回の「一帯一路」国際協力サミットフォーラムが開かれた。アジア、ヨーロッパ、アフリカのリーダーたちが参加したこの集まりは、人類史上最大規模となる協調インフラ投資計画が、実行されたことの象徴になった。集まった各国の政府代表は経済活動と文化交流を目指して世界最大級の人口集中地を結ぶために、今後10年間で数兆ドル規模の投資を行うことを約束した。新たなシルクロード時代の幕開けである」(『アジアの世紀』2019年)

 *人類運命共同体(2013年 習近平提唱、ASEAN、アフリカ、アラブ、南米などと構想推進で合意している)
 *AIIB(アジアインフラ投資銀行、2015年 中国提唱で57カ国で設立、現在は102カ国に拡大、一帯一路を支える)
 *CIPS(2015年 人民元国際決済システムとして発足、中露や非米国間で利用、ドル基軸に初めて穴)

 この段階になると国際紛争解決の手段としての軍事力の役割が大きく低下する。米国の軍事力の役割が衰退することによって対中国、ロシア、イラン、北朝鮮、中東などの緊張が緩和し、世界的な政治的安定と平和・軍縮が進むようになる。勿論、こうした見方はまだごく少数だ。西側では「米一極支配がなくなり、無極になれば世界は無秩序になり、テロや民族紛争が多発し混迷、混乱の世界になる」との見方が多数だ(イアン・ブレマーなど)。

 しかし、今年のダボス会議で主役を務めた習近平が述べたように、米国覇権の崩壊によって「一国または数カ国が世界に命令することがあってはならない」(習近平、ダボス会議 21.1.25)世界が生まれつつあるのだ。因みに、習近平と肩を並べる扱いを拒否したバイデンに同調して加、豪、NZも欠席、世界の桧舞台の一つからアングロサクソンが消えた。

 世界的な政治的安定のためには上部構造のうち思想、イデオロギー、価値観、さらにマスコミやITなど情報空間における米国や西側支配の改革が進まなければならないが、長い歴史とノウハウ、世論操作のための分厚いネットワークがあるので変革はかなりの難事業になる。自由、民主主義、人権などについても根本的な議論が必要になってくる。たとえは良くないが、東と西が戦っているとみれば、地上戦では東側が優勢だが、制空権はまだしばらく西側が優勢だという状況にたとえられる。

 例えば、いま中国はコロナ対策で150以上の国、100の国際機関に医療物資を支援し、34カ国に36の医療チームを派遣したほか、世界最大の医療物資生産能力を生かし、マスク2,000億枚、防護服20億着、検査キット10億セットなどを供給し(21.1.8 CRI)、駐中国米大使はじめ多くの国から感謝され、賞賛されているが、マスコミはほとんど報道しない。逆にこの人道支援を「弱みに付け込むマスク外交」「米国の混乱に乗じて勢力拡大図る中国」と悪意を持って報道している。中国がワクチンを「国際公共財」と位置づけ、途上国重点に供給し始めていることについても同じだ。

 ついでに言えば、最近の中国について強硬だ、横暴だ、戦狼外交だ、という批判が西側で高まっているが、これは米国から武力行使なき戦争ともいうべき総攻撃を受けていることに対する防衛策であることが見落とされている。貿易戦争だけでなくハイテク企業潰し、中国企業の上場廃止、投資禁止、留学生や研究者らへのビザ制限(1,000人が帰国)、特定人物への制裁・入国禁止、領事館閉鎖、孔子学院潰し、ウイグル・キャンペーン、香港、台湾を中国潰しの拠点にする工作など、目に余る中国攻撃を繰り広げている。
 バイデン政権も基本的にこれを継承する(台湾支援強化、ウイグル「ジェノサイド」発言などより悪化)。一昔前の中国なら、あるいは中国以外の国なら、これだけの総攻撃を2年半も受けたら忽ち音を上げてしまうほどだ。いま中国は米国からの総攻撃を建国以来最大の国難と捉え、持久戦を覚悟した準戦時体制下にあると私は見ている。

 ただし、政治レベルだけでなく、価値観や思想面でも重要な変化が現れている。スウエーデンの女子高校生グレタ・トウンベリの活躍で注目されているが、欧米の若者の間で地球温暖化への危機感が広がっている。コロナ問題を機に自然と人間の関わりについて根元的な問題提起も起きている。社会主義に全く無縁と思われていた米国で、若者の間で社会主義への親近感が増大しているのも注目される(急速に進む情報革命がこうした変化を支えている)。

 ギャラップの調査では若者の51%が「社会主義」に親近感を示し、「資本主義」の45%を上回った(毎日 19.12.1)。民主党支持者だけでみれば社会主義支持が64%で、資本主義支持の35%を大きく上回っている(時事 19.11.3)。1%の富裕層が80%の富を独占している格差社会への若者の怒りがいかに激しいかを示している。

 ただし、上部構造のうち文化、文明にかかわる分野は優劣を決するものではなく、「文明の衝突」を避け、諸文明間の対話、融和、共存を目指すべきもので、これには世紀をまたぐ時間が必要かも知れない。この点で中国が提唱する「文明の対話」「人類運命共同体の建設」構想は構造変動で生まれる新しい世界への道標として重要な意義を持っている。

 ◆ 6、新しい世界で日本はどう生きるか

 以上で世界の現状を見てきたが、これを踏まえて今後の日米、日中関係を考えてみたい。しかし、このテーマになると無力感を覚える。私はこれまで何十年も、日本の生きる道として対米自立、日中共生、日中韓朝の連携、アジア経済共同体やアジア安全保障体制づくりなどを主張してきたし、かつての社会党や初期民主党なども政策に掲げてきたが、まさに70年一日、日本の政治はこの方向には一歩も進んでいない。

 むしろ悪くなっている。今、国会に議席を持つ政党で積極的に日中友好を唱える政党は一つも無い。今の共産党の反中ぶりは自民党や右翼と変らない(産経 12.30)。先に見たピューリサーチの調査でも反中が86%の日本は世界一だ。「暴支膺懲」を叫んだ戦時中と変わらない。未曾有の混乱のなか米国一極支配が崩壊したのに、総ての政党、マスコミが日米同盟の強化を唱え、日米安保を前提に日本の安保、外交を論じている。日米安保の見直しや日中友好を主張するものは危険人物とされかねない雰囲気がある。

 2012年、初めて政権交代が実現し、民主党の鳩山・小沢政権ができて、明治以来の官僚支配、戦後の対米従属が少しは改革されると思ったが、危機感を持ったアメリカとグルになった官僚機構や司法権力、お先棒を担いだマスコミの総攻撃を受け、あっという間につぶされた。その後の菅、野田政権は大蔵省とジャパンハンドラーに屈服して自民党化し、野田、前原は石原慎太郎の挑発に乗って尖閣を国有化して40年間平穏だった日中関係を破壊し、消費増税の強行で自民党に政権返上までしてしまった。

 要するに、米国のくびきがある限り、日本にはまともな政権はできないし、できてもつぶされるという現実がある(最近も米の戦略国際問題研究所・CSISが報告書で二階幹事長と今井補佐官の名前を挙げて、安倍を中国寄りにしたと警告している)。このままではアメリカが推進する反中国統一戦線の一員に組み込まれ、進行する世界の構造変化に逆行して、自滅の道を進むしかないように見える。マスコミや米国仕込みの反中キャンペーンに乗せられ、反中意識を持つ86%の国民の意識をどう変えていくのか、難問である。漢字、仏教、稲作など有史以来中国文化の恩恵を受け、今やGDPで日本の5倍の中国を、いまだに蔑視する国民が少なくない。明治政府が作り上げた「西洋崇拝、アジア蔑視」の風潮が未だに残存している。

 しかし、局面打開の大きな鍵がひとつ見えてきた。やはり下部構造・経済に規定された動きだ。いくら右翼政権でも1億国民の飯のタネである経済は無視できないし、すでに日本は貧乏国になりつつある。一人当たりGDPは1980年代の世界トップから26位(2019)に落ちたし、アジアでもシンガポール、香港、マカオ、韓国にも抜かれて5位に落ち、後ろに台湾が迫っている。スイスのIMDの発表によれば、日本の国際競争力はかつての世界トップクから今や中国、韓国より下の30位に落ちている。GDPに占める教育費もOECD加盟34カ国中最下位で、女性の地位や報道の自由度でも最下位に近く、日本はもはや先進国ではないと見られ始めている。

 こういう状況に、自民党の支持基盤である経済界にも危機感が高まり、「日本経済は中国経済なしには成り立たない」との声をあげ始め(中西経団連会長ら)、自民党も無視できなくなっている。事実、日本の最大の輸出国はかつての米国に代わって中国(25%、米18)になっており、日本経済の命綱でもある。中国進出企業も3万3,000を数え、政府はコロナ禍によるサプライチェーンの見直しで日本回帰を奨励しており(補助金2,435+860億円)、約1,000社(3%)が帰国したが、上海の日本商工会の調査では9割の企業が「中国を離れる計画はない」と回答している。

 日本はASEANのおかげで米国抜きのRCEPに参加し、日中韓FTAへの展望も開けて来ている。さらに最近習近平主席がTPPへの加盟を検討したいと発言している。TPP(Trans-Pacific Partnership)はもともと米国主導で中国包囲を目標に結成されたものだが、トランプによる米国離脱後、日本主導で米国抜きで発足していた。中国が入ってくると性格が一変する。日本の対応が焦点になるが、今までのように米国に気兼ねして曖昧な態度を取るわけにはいかない。米中の間で日本も中国と正面から向き合わざるを得なくなる。米国も安保は米、経済は中国という二股は許さないと言っている。

 RCEP、日中韓FTAなどを通じて東アジア経済共同体作りを進め、さらにこの基礎の上にアジア集団安全保障体制を築いていく平和外交を推進するのが日本の生きる道だ。横田空域など日本の空が依然米軍占領下にあり、住宅地上空など危険な飛行も野放し、兵器の爆買いや自衛隊の米軍支援を要求されていること、米軍基地の環境汚染や米兵の犯罪が野放しなど、日米安保や地位協定の危険性が次々に浮かび上がってきており、全国知事会も地位協定の改定を求めている。改めて今こそ日米安保、地位協定の問題に正面から取り組む必要がある。米国覇権崩壊など世界的にパワーシフトが進む今こそ日米関係を抜本的に見直すチャンスだ。

 老人医療費の窓口負担がもめて漸く年収200万以上で決着したが、この老人いじめでの増収は800億程度。ところが地上イージスの代わりに新型イージス艦をつくるのに、2隻で最低5~6,000億円だ。これに搭載する1基1,700億円のイージス装置2基で3,400億。さらに1機110億のF35を140機(1兆5,400億円)や1機70~100億円のオスプレイを50機導入しようとしている。また中国のミサイル基地攻撃用に長射程のスタンドオフミサイルを開発するという。辺野古埋め立ても金食い虫の泥沼だ。軍事費に湯水のごとく予算をつぎ込んでいる。全てこれ中国、北朝鮮の脅威に備えるためだ。アメリカは本気で中国と戦争する気はないのに、日本に兵器を爆買いさせるため、ありもしない「中国の脅威」を作り出している。日米同盟も日米安保も米国が作る虚構の脅威の上に作られた架空の同盟だということに気付かなければいけない。

 最後に平凡ながら基本的なことは、やはり Local to local, People to people 地域と地域、草の根と草の根の友好交流を拡大、強化し、国対国の関係を変えていくことだと思う。中国にも「民を以って官を動かす」という言葉があるが、今改めて民の役割を強調したい。

 1972年の日中国交回復以前にも、中国との国交回復を求める国民運動が全国に広がっていた。保守派からも松村謙三、古井喜実、岡崎嘉平太らが周恩来首相と会見して貿易再開への道を開くなど、先駆的な役割を果たしていた。当時の神奈川の県民会議の事務局長はのちに神奈川県知事になった若き日の長洲一二横浜国大助教授だった。

 長洲さんは知事になってからも外交への市民参加―民際外交を唱え、その一環として中国との友好に力を入れ、遼寧省との友好提携を実現した。長洲さんは中国との友好交流に当たって3原則を強調された。①2000年来の中国文化の恩恵に対する尊敬と感謝。②15年にわたる侵略戦争で多大な犠牲と損害を与えたことへの謝罪と反省。③アジアと世界の平和のために日中友好が不可欠だとの信念と実践。

 この考えは中国からも高く評価され、遼寧省との話し合いは順調に進み、全国で初めて「不戦の誓い」も入った友好協定が調印された。この3原則は中国と向き合う日本人の心得としても大切ではないかと思っている

 また長洲さんは「米国は世界最大の軍事力を維持するため、次々に敵をつくり脅威を煽っているが、大半は架空の脅威だ。中国や朝鮮は日本の敵ではない」と繰り返していた。米国でトランプの対中強硬策に抗議して、最近亡くなったエズラ・ボーゲル始め100名の著名な知識人が「中国は米国の敵ではない」との共同声明を出したことがあるが、我々もまたこの日本で「中国は日本の敵ではない」ことを声を大にして訴え続けなければならなくなっている。福田元首相や西原元早稲田学長たちが進めているアジア不戦の運動は注目すべきで、ぜひ大きく広がって欲しい。

 最後に正月らしい夢のある話をしたい。日本のもう一つの課題はユーラシア大陸とのつながりを強めることだ。もともと日本列島は、太古の昔はユーラシア大陸の一部だった。今も空と海でつながってはいるが、「一帯一路」を契機に「世界のハートランド」に飛躍しようとするユーラシアと物理的にもつながるべきだ。

 すでにプーチンはシベリア鉄道をサハリンにのばし、宗谷海峡を経て北海道に繋ぎたいとの構想を提起したことがある。間宮海峡は7キロ、宗谷海峡は40キロ、東京湾横断道路15キロ、青函トンネル40キロだから十分可能だ(青函トンネルの総工事費5,300億円)。また韓国は仁川~青島のトンネル(100キロ)を検討したようだが、採算問題で中断している。日本としては北九州―釜山を考えるべきだ(210キロあるので、5つぐらいの人工島が必要のようだ)。

 北海道―サハリン―シベリア経由で北のシルクロード、朝鮮半島~中国、中央アジア経由で南のシルクロードにつながる。「一帯一路」が進展するにつれてユーラシアは世界の新たなハートランドに発展していく可能性があり、広大な市場が形成される。ユーラシアとの連結は国家戦略として検討に値するのではないか。

(本稿は1月21日、第7回日中民間交流対話講座での講演記録をもとに作成した。)

 (アジアサイエンスパーク協会名誉会長)

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