【沖縄・砂川・三里塚通信】

提言 翁長時代との比較は「愛の鞭」

河野 道夫

★皆さん、翁長雄志という傑出した政治家にリードされていた県民意識は、沖縄の日常ではありません。マスコミは、下記の福田情報のように、翁長時代との比較だけで「敗北」を強調していますが、地元2紙に関する限りそれは「愛の鞭」「猛省の求め」のはず。中長期的傾向で見るなら、県民の反基地反米反日の感情と意識が弱まったわけではなく、「左」が空中分解したわけでもありません。県民の感情や意識を投票で表現できるようにするイニシャチブがなかったのです。

★傑出政治家のいない時代に「県民意識を集約する」ための最低条件を考えてみます。翁長知事の「腹6分で心ひとつに」は、「イデオロギーよりアイデンティティー」とセットとして、いわば戦いの主体的条件=A。「アジア経済戦略」は、同様に、客観的条件=B。翁長はこれら「条件」を規範(判断と行動の基本的な基準)の次元で示したのです。自らの「規範」を明確にしない政治家や政党は、いつの時代でも積極的な支持を得ることができません。

★いまの小生は、政党人ではないしコピーライターでもありませんからうまく表現できませんが、たとえばAについては、「もうこれ以上沖縄を分断させるな!」であり、Bについては、「抑止力ではなく東アジア諸国との協力関係を!」。辺野古問題、遺骨混入土砂問題、格差・貧困問題はA。平和外交推進の提起、台湾・朝鮮半島・中国・ASEAN諸国などとの交流はB。―――などといった具合です。これらは、政策的にも運動的にも県民のホンネに近い方向ではないでしょうか?

★基地負担の軽減は、政府の予算措置で解決する問題ではありません。アメリカを含む東アジア諸国の関係を変えるため、沖縄県にはアジア平和戦略と自治体外交が求められ、県民には市民・文化交流が求められています。何よりもまず、朝鮮戦争の終結が必要です。候補者はこれらに向けてどう動くつもりか、県民に約束しなければなりません。そうでなければ投票率は上がらず、「左」に対する期待や「積極的支持」は底をつくばかりでしょう。

 (沖縄県読谷村在住)

(2021.11.20)
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