【コラム】あなたの近くの外国人(裏話)(73)

大人の事情

坪野 和子

 最近やっと有名人の偽物のインターネットの広告を目にすることが減ったようだが、騙された方々がなぜ引っかかったのか理解できない。これだけでなく、広告やアプリ紹介などもやたらにクリックするべきではない。フィッシング詐欺のメールなどは明らかに日本語がおかしいものもたくさんある。インターネットや電話は相手が見えない、決して双方向メディアではない。また国番号つき+1とか+60などの電話にはいきなり日本語録音で「投資のご案内です」と女性の声がしたのだそうだ。出てはいけない。渡る世間は詐欺ばかり。
 さて、今回はこっそりと教えたいR18「大人の事情」について

 ◆スマホのお知らせバナーはハートマークがついている
 スマホで買い物をする、お金の管理をする、なにかの予約をするなど、日本語が読めない男たちを手伝うとその途中でお知らせバナーが出て来る。5人に4人くらい。バナーを見て顔色を変えないように見て見ぬふりをしながら手伝うことになる。「今晩お暇(ハート❤)」「ひとりじゃ寂しいの」英語だとわかるのだろうが、なぜか中国語・ベトナム語だったりする。おそらくどこか変なサイトかボタンをクリックしてダラダラ延々とバナーが流れているのだろうと思う。時には人がいないときクリックして可愛い女の子の画像を見ているのかもしれない。または意味がわかっていないかもしれない。

 ◆男たちはアダルト動画のグループを作って楽しんでいるらしい
 「Uさんが送ってくれたよ」と見せてくれたアダルト画像。Uさんはそんな風に見えないが、WhatsAppのグループでそういう画像や動画を送り合っているようだ。単身赴任でどちらかというと男が多い職場ではありそうだが。そういえば、私が院生だったころ、留学生韓国人のお坊さんが、若い頃のことを話してくれた。出家する前に兵役に行っていた頃、夜誰かの部屋に集まってアダルトビデオを観ていたとか。軍隊だから世界中のこういったビデオが入るんだとのことである。そして「日本のビデオが一番人気でした。キレイですから。全部みせたり局部を露わにしたりしているのではなく、少し遠くから映しているのもキレイでした。女性の声もキレイですし」そういうものなのか。

 ◆「ラブホの前に食事をするのはなぜ?」って?
 ある男性に質問された。日本女性のガールフレンドが出来たんだそうだ。そして、カノジョとデートする度にラブホへ行く仲になったんだとか。「よかったじゃない」「ラブホに行く前に必ずお店で食事しているんだ」「うん、食事だけでもいいよね」「ええ!!食事に行かないでラブホに行きたい」「ええ??女の人、お腹すくじゃない」「じゃ、弁当買って弁当食べればいい。何回でもヤれる」「それマナー違反。日本女性はデートして食事して、それからロマンス。あなたがおかしい」「え?そうなの?いやだ!食事の度にお金がかかる。焼き肉屋とか行ったら大変。寿司、廻っても回らなくても時間かかるし。あなたの国の料理食べたいと言われたこともあったけど知り合いに見られたくないからネパール人の店に行ったよ。肉が食べたいなら牛丼弁当でいいんじゃない。寿司だってスーパーで買って。カレーがよければビリヤニ持ち帰り」「いやだ、そんなの。割り勘って知っている?」「割り勘」「2人でお金出す」「ああ、ときどきそれする」「私がカノジョだったらあなたはバイバイね。お店で美味しいものを2人で食べて、たくさん話して。お酒も飲んで。それからじゃないとラブホに行きたくない」「会うの、ヤるためでしょ?なぜ?」

 恋人とセックスだけして帰りたい日本人・日本出身の女性がいるのだろうか?また食べることが楽しみのひとつなのに、セックス休憩で弁当はないだろう。これが単なる友人との部屋呑みやちょっとした通訳で宿泊なら好きな弁当を買ってアルコール買って打ち上げだから楽しいのだが。彼がケチなのではなさそうだ。お客様に喜んで食事の支払いをしているのだから。性欲優先で日本女性の気持ちや習慣を理解できていないのだろう。いずれフラれるだろうと思う。

 ◆職場の固定電話にかけてくるW不倫の女
 ある日、南アジア系料理店で「女性からの電話を取ってほしい。英語で対応してほしい。ここはお店だから彼の個人電話にかけてほしい。日本人からなら日本語で対応してほしい」と電話番を頼まれた。お店の固定電話にかけてくるのは、ほとんどその女性か業者さんであるとのことだ。
 かかってきた!「R。私のR」といきなり女性の声。「Hello、〇〇のお店の電話です。R店長は今いません。彼の携帯電話におかけなおしください」と英語で。だが、女性は英語が大して出来ない。かといってベンガル語で対応したら藪蛇だ。電話番を頼んだ板長が「英語」を強調したからだ。もう一度今度は日本語で「R店長の電話におかけ直しください」と。この女性は数十秒黙っていたが、この時は切った。その後、何回かこの女性からお店の固定電話に電話がきた。ガンガンに英語で「R店長の電話にかけてください」「…」プツン。女性は電話を切る。同じパターンだ。後で板長が「この女、結婚してるね。男(夫)、日本人かバングラデシュか知らない。Rさん、女にお金あげているね。女、うるさいからRさん逃げ(てい)るね。はは、仕事、邪魔」

 ◆オレがいぬ間に現地の妻が①
 生徒みたいな男の子兄弟のパパ。息子たちがバイトに出かけるので駅まで車で送ってくれるとのこと。「途中コンビニで電話をかける間待っていてね、遅くならないから」当時コンビニにwifiがあったからだ。戻ってきた。舌打ちしている。「ちくしょう。オレをATMだと思っているのか。今まで何回も電話してやっとつながったと思ったら、金のことばかりだ。やれ停電だの、オレをなんと思っているんだ。くそぉ」パパさんは私に対しては丁寧な日本語しか話さない。この時、こんな日本語を話すのかと驚いた。その後、現地の奥さまから私に電話がかかってきてどうも不倫疑惑らしい。パパさんに電話したら、フィリピン人やアメリカ人の英語が話せる女性たちにも電話をかけまくっているようだ。「Sensei、私の妻が長電話しているのは、男がいるらしいんですよ。自分がそういうことをしているから私に疑惑をかけて私と別れて男と結婚するつもりだろうと思います。しかも慰謝料をせしめて」いつもの丁寧な口調だったが、悔しそうだった。それ以来、息子くんたちともしばらく連絡を取っていなかったが、最近親子3人でドライブに出かけ、その車中からビデオ電話がきた。3人とも元気そうだった。

 ◆オレがいぬ間に現地の妻が②
 一昨年のある日のこと、緊張した顔で「姐さん、私、国に帰るね。家に問題があった」突然の帰国宣言だった。家族の病気かなと思った。その理由は後日職場の同僚だった人が教えてくれた。なんでも…。コロナ・ロックダウンでずっと帰国できなかった間に、奥さんが彼の兄が経営するお店のお金を使い込んだ上、誰かと浮気して妊娠したそうだ。3年ぶりの帰国は緊急事態だったのだ。まあある意味、家族の病気(心)のようなものかもしれないが。コロナ・ロックダウンで帰国できない間に日本で浮気していた男性もいたし、寂しいを越えて人間の身体というのは理性をコントロールできないのかもしれない。

 ◆美人局ネット詐欺に引っかかった?
 「被害回復分配金支払申請書」…見たことがない書類の画像がメッセージとして送られてきた。時々書類の書き方がわからないと連絡をくれる人だ。これは詐欺に引っかかった人を救済する支援金だそうだ。なんらかの支援団体を通じて受け取れるみたいだが、私はよくわからないから外国人相談の弁護士さんに頼んだほうがいいと言った。しかし何やら堂々と相談できない理由があるようだ。次に何枚か銀行の「ご利用明細」の画像が送られてきた。1枚は無関係なのか金額がまともだが、同じ女性名に何回か送金しているのだが彼の給料で一度にこんなに送れるとは思えない。なにか副業でもやっているのだろうか。そして男性名に大金送金。しかし…あれ?この名前見たことがある。そうだ、アニメの女性主人公の名前を男名にして口座を作っているのではないかと。いや本人確認書類がないと口座は作れないはずだ。これは会社名のようなものなのか?彼の話をを訊いているうちに、はっきり言わないがやましいことがあるようだ。私は彼のことは今まで仕事熱心で真面目な職人さんだと思っていた。あちこちから引き抜きがきていたくらいだったし。オンナとカネに目が眩むと下半身によって判断力を失うのだろうか。それとも、私が知らない彼の本性が露呈したのか?やはりインターネットという相手が見えない偽の双方向メディアは危うい。双方の表面を知りながら、理解・誤解しながら形成するオフラインのお付き合いよりも、まず本質、そこから深みにはまる。これは外国人だけではなく、我々も。

 次回は今回と真逆。在日インド人家庭の「子どもの教育事情」

(2024.6.20)
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