【コラム】あなたの近くの外国人(裏話)(70)

入管法から「難民」「避難民」「在留資格」を考える⑦

坪野 和子
 
 2回休載をしてしまった。国内時差ボケで睡眠障害のような状態になっていたからだ。インド現地のIT企業のオンライン研修の仕事と会社で本国に出張していた本来の生徒さんたちに合わせて3時間30分時差の生活になっていたことが主な原因ではないかと思う。また10年ぶりにゾンカ語(ブータン語)の翻訳の仕事もやっていた。これもまた大変だった。若い頃よりも根を詰めて集中する能力が落ちた。10年前と変わらず完備された辞書がない。PDFとアプリと現代チベット語の3種類の辞書を組み合わせ、同じ単語以外はほぼひとつひとつ探してのことだった。大学院に入った頃チベット語もサンスクリット語もプラークリット(インドの古典言語)も同じような作業を経験したからなんとかなったが、それにしてもアラカンのおばちゃんが請ける仕事ではないとも思った。しかし私のブログ検索のワードを見ると、「ゾンカ語 google自動翻訳」「ゾンカ語 日本語翻訳アプリ」と出てきた。翻訳を請ける若手がいないのだろうかとも思った。あとは電話ストーカーが私を悩ませた。これは全部着信拒否設定したので問題ない。そんなこんなの3ヵ月だった。どうか引き続きよろしくお願いいたします。
  
 1.スリランカ人の申請しなおし
 さて、何か月も前から2人のスリランカ人が経営者ビザ・通訳・翻訳職として「技術・人文知識・国際業務ビザ」残念ながら入管の審査に落ちたとスリランカ人。「技術・人文知識・国際業務ビザ」の彼が落ちたのは半年前、彼の経営者が落ちたのは約3ヵ月前となる。で、落ちた時点の法律で落ちた理由を確認してほしいと。しかし、現時点では12月1日に更新されている。彼らは一度も難民申請したことがない。連絡をいただいた「技術・人文知識・国際業務」友人は不法滞在の履歴がある。理由は日本人元配偶者が彼との同居を拒んでいて、実は他に男性がいて騙されていたのだが、入管が踏み込んで問答無用で国外退去。真面目な彼は従った。彼も元配偶者に対して騙されたとははっきり伝えられていなかった。いやそう言いたくなかったらしい。そういう理由を理解されないのではなかった。その他、書類ではわからない矛盾が発見された。私はそれなりにご理解いただける書類を作成したのだが、信用に至らなかったのかもしれない。経営者ビザを申請していた人は11ヵ月待った。途中追加書類も提出した。こちらは終始決済書類でコロナ赤字を認めていただけなかったことが原因らしい。そして行政書士さんによれば、今、経営管理ビザの審査は早くても半年、1年を超えることも少なくないのだそうだ。その後それぞれ彼らは新な計画を立てた。短期滞在ビザで一旦来日し、その間に取り引きの相手や旧知の友人や紹介による新たな出会いを作り、日本滞在中に新たに申請書類を作成し、一旦帰国して審査を待つことにした。経営管理ビザ申請を考えている社長は日本の経済に少し憂慮し始めている。支社を持つオーストラリアを拠点にし、対日本の貿易は今まで通り大阪の取引先を間接的に使っていこうかと。「技術・人文知識・国際業務」友人は心配性なので単なる観光ビザであってもなかなか先に進めてこない。こうなるとテキトーすぎるパキスタン人の書類のほうが速すぎるとはいえ直してあげやすい。それにしても、入管の審査の遅さはサポートする側の私としては迷惑だ。「技術・人文知識・国際業務」友人は「まだ結果がでないんです」とあれこれ電話をかけてくることがある。さすがにわきまえている人なので印パのようなしつこさはないが、「待ってくださいね」としか言えない私もココロが痛い。

 2.難民申請取り下げで一時帰国後再入国
 今までなかったことが少しずつ増えてきた。コロナ禍で外国人労働者が新たに入ってこない、難民申請中でも特定技能試験を合格したら在留資格の変更ができるようになったらしい?また難民申請取り下げで一旦帰国し新たに経営管理ビザに変更したとのことを伝えてくれた人もいる。中には20歳すぎたばかりの男の子も含まれる。さらに日本人(日本国籍)経営者が正規雇用ということで不法滞在者の在留資格申請をしたら通ったということも聞いている。一体どうなっているのか?コロナ禍と今回の入管法改定で基準が審査する人の裁量のほうが大きくなったのだろうか?どちらにしても知り合いや間接的な知り合いが在留できるのは悪くない。ただただこの人たちが正規の在留で日本に迷惑をかけず将来の世界のために大切な存在であってほしい。レイシストの日本人(出身者)が「不法滞在そのものが犯罪でしょ」とSNSで発信しているが、これはどのように解釈したらいいのだろうか。

 3.日本は「難民」≒「政治難民」
 もちろん、経済難民とか教育難民とか国際的には文面では認めていない。難民は国際的に条約で認定されている人たちであるのだが、各国で異なる。日本は認定率が低いのは周知のことだが、それではなぜ申請者を「取り敢えず」なのだろうか?今SNSでレイシストたちが問題にしているトルコ国籍の自称クルド人はなぜノー・ビザ(査証免除)で入国させているのだろうか?或いは、バングラデシュから入国した自称ロヒンギャを受け入れて難民申請中から正規雇用の在留資格を与えているのだろうか?
 ああ、政府間取り引きとかあるんだろうね。
 
 3.-1【クイズ】令和4年における難民認定者数等について 赤い枠の国はどこでしょう。画像の説明
 ※文字が小さくて恐縮です。
 https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00035.html 
 出入国在留管理庁ホームページPDF 令和4年における難民認定者数等について

 今回はすぐに正解を出そう。「中国」だ。この「中国」は香港も含まれているとは明記されていないが含まれるのだろう。ウイグル人はこの人数に入っているのかどうか友人たちに訊いたが、「いるらしい。はっきりとは言わないけれど」とか「日本を経由してどこかほかの国に行った人がいるような気がする」と。いわゆる中国人でこれ以前に申請が通った人を知っているが、その人はすでに今は日本を離れている。
 3-2安倍政権での裏取り引きを臭わせる
 難民申請中のロヒンギャではないバングラデシュ数家族がいることを知った。同じ(類似)言語話者の恋人たちから間接的に知ったのだった。
 
 安倍・ハシナ会談(2014年)で
 【引用】安倍総理は,バングラデシュが長期にわたりミャンマーからの多くの難 民を受け入れていることを評価した。ハシナ首相は,バングラデシュとミャン マーとの第8回外務当局協議を含むこの分野におけるバングラデシュの最近の 努力について説明した。安倍総理は,国際的な責任分担の理念を踏まえて,バ ングラデシュに対する継続的な支援への日本の意欲を表明し,バングラデシュ とミャンマー間の対話の更なる進展に向けた期待を表明した。
 
 さらに、当時、安倍氏はスリランカも訪問。
 【引用】スリランカの国民和解に関し,安倍総理より、北部州議会選挙を含め国民和解に向けた取組を歓迎する,日本としてはスリランカの前向きな努力を後押しすべく関与していくとの考えを伝えた。また、安倍総理から、国民和解を実現していく上で国際社会との信頼醸成が非常に重要である旨指摘した。これに対しラージャパクサ大統領より、国民和解のために様々な努力を行っている、国際社会との関与と対話はこれからも継続していく旨応じた。
 (2)地域情勢・国際場裡での協力に関し,安倍総理から,日本の「積極的平和主義」を説明したほか、南アジアの域内協力や連結性強化に向け引き続き協力していきたいとの考えを述べた。また、国連安保理改革について,両首脳は、改革の具体的進展のため協力していくことで一致した。
 
 これらによって政府間で偽装難民?を出させているのではないか?今物議を醸している「難民ほとんどいない」(2021年)と発言した難民審査参与員のようなひとたちは、最初からわかっていてこうした便乗難民の書類だけチェックしていたのではないか。と疑いたいことがいくつかある。いや、難民申請書類のみならず入国申請、在留延長、その他の書類でも雑なチェックしかしていない或いは不許可のためのあら捜しを審査と思っている職員もいるようである。残念ながら私の不用意な記述でご迷惑をおかけしたくないので、ここまでで留めておきたい。もしもご興味があれば、直接オフレコでお話しすることはやぶさかでない。
 
 4.提案
 【問題として】出入国在留管理庁の職員の数と質
 一体、正規職員、全国(および海外)で何人いるのだろうか?入管のサイトによれば6300人ほどである。これは少ないでしょうとしか思えない。今のやり方だと私が見積もって概算パート職員を入れても3万人くらいは必要だろうと考える。日本は江戸時代から慢性的に人手不足である。江戸や昭和戦後までは地方から労働者、いわゆる「金の卵」。成長期は女性従業員、バブル前は学生バイト、フィリピン・韓国・中国からの妻、そして観光客から就労したイランなどのイスラム圏のなんでもありありの男性労働者、日本語学校の学生ビザを就学生から留学生に変更して今まで国費留学生ばかりだった中国人の中流階層、経済協定でまずはベトナム・インドネシア・フィリピンからの介護・看護の仕事、その裏で技能実習生各国、さらに特定技能。実は外国人労働者だけではなく、日本人(出身者)も外国人の給料と関係している。特に「日本人と同等の給料」と明記しているので雇用側は日本人の給料を高く設定できない。
 【日本の役所は「紙」】AIを使えないの?
 役所の関係でインターネットを使うとかえって煩雑になることが多いと感じる。インドだとユーザーが楽にできるシステムを使うので簡単。日本国内でアプリ簡単は実はインド人・エンジニアが開発したシステムだったりする。例えば、私の生徒の開発だと、ネットバンキング、保険加入のシミュレーション、脳トレなど。いずれ書こうと思っているが銀行で問題があった時、徹夜で復旧しているのもインド人だ。
 役所は外国人を使っていない?使う使わないはいいから、入管の書類、「同じよう」というならAIに読み込ませて同じようかどうか学習させる。次に虚偽かどうか矛盾を発見させる。その後、入管審査で、さらに審査していただく方に回せばいいんじゃないかと思う。
 少なくとも偽装難民は政府間の裏取り引きがあってブローカーがあって国内で雇用があってセットみたいになっているからAIなら簡単だと思う。職員も楽になると思う。
 【縦割り】入管(法務省)・警察(法務省)・外務省・厚生労働省で、わからないのが警察より怖い入管の収容所関係の職員だ。これは警察に任せたら?日本入国、入管の在留と短期滞在、なぜ別のセクション。別でもいいから連携して欲しい。在留外国人の待遇、これは結構曖昧。日本の役所の仕事の問題。外国人労働者が欲しいのなら、もっとシステムを改善しないと。とはいえ、それを考えることすらできないくらい人手不足なんだろうな。こんなに余裕がない国だと。
 
 一旦、この”入管法から「難民」「避難民」「在留資格」を考える”のシリーズはここで終了します。身近に何かあればまた。次回はもう少し軽い話題で。

(2024.3.20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップバックナンバー執筆者一覧