■俳句                             富田 昌宏
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【「東日本大震災」に寄せて 】

  一本の松に蕊(ずい)立つ瓦礫跡

  春愁やコメの作れぬ田に座して

  籾種を蒔くや余震に怯えつつ

  花万朶(ばんだ)無人の町を牛さ迷ふ

  地震跡の奥の細道桜散る

  葉桜や槌音高き震災地

  津波渦や幸来橋(こうらいばし)に風薫れ (栃木市幸来橋)
 
   農機市トラクター協の募金箱

  菠薐草(ほうれんそう)出荷停止や放射能

  津波急襲瓦礫の街や残る鴨

         (俳法「渋柿」代表同人)

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