■俳句  富田 昌宏

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  紺青の筑波二峯や初日の出

  農に生き土に還る身鍬始め

  正月やしずかに想ふトラクター

  笑ひ皺互ひに増えて賀詞交す

  輪飾りや休む暇なき冷蔵庫

  寂聴の女人源氏や読み初め

  熱燗や酔へば戦後の貧しさを

  白鳥の化身とも見ゆ春着の娘

  初雪や猿の親子の温泉(ゆ)に浸る

  嫁が君とんとご無沙汰黒き梁(嫁が君=正月のねずみ)

         (月刊俳誌「渋柿」代表同人)