【コラム】大原雄の『流儀』

プーチン政権の「終わりの始まり」(3)

 ~表現とデモクラシー「序説」(3)
大原 雄

★★ 2012年/「チェルノブイリの月」(1)

ロシアの軍事侵攻が噂されていた2022年2月24日。ウクライナでは、24日から25日に日付が変わったばかりだった。25日午前1時頃:ウクライナのゼレンスキー大統領はウクライナ軍の総動員令を発令し、18歳から60歳までの全てのウクライナの国民(男性)が国を離れることを禁止すると発表した。24日。ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まったからだ。
初日、ベラルーシとウクライナの国境に近いチェルノブイリ原発・廃炉(1986年の原発事故で、現在閉鎖中)は、国境を越えて侵入してきたロシア軍の攻撃に見舞われ、ウクライナ側の原発・廃炉の職員たちを「人質」にして「占拠」されてしまった。原発を占拠したロシア軍の部隊兵士たちの姿を天空の月が、煌々と照らしていたかどうか、それは知らない。しかし、皆さん、ご承知のようにロシア軍兵士たちの「蛮行」は、その後、ウクライナ各地で次々と明るみに出ているが、その全貌解明は、今の段階では月だけが知っていることかもしれない。

「ウクライナ戦争」の10年前、2012年4月。私は前年の2011年3月に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震に拠る災害とこれに伴う福島第一原子力発電所事故に拠る災害)の実態を調査する日本ペンクラブの視察団(作家やジャーナリストら日本ペンクラブのメンバー8人が参加)に加わり、ウイーン経由キエフ(その後、ウクライナ語を優先して「キーウ」)から空路ウクライナ入りした。チェルノブイリ地区=立入禁止区域を管理するウクライナ非常事態庁の許可を事前に取り、チェルノブイリ原発・廃炉のある地へたどり着いた。

 ★ 2022年/プーチンは「戦争犯罪人」、「大虐殺」の指示は誰から?

マスメディアが一斉に報道した。例えば、朝日新聞の4月4日夕刊、5日朝刊では、いずれも黒ベタ・白抜きの大見出しが、2本立てで一面トップの紙面に踊った。以下、引用。

「ロシアの『戦争犯罪』強まる」「民間人410人の遺体収容 ウクライナ発表」
「キーウ近郊 民間人410遺体 ウクライナ発表 『戦争犯罪』捜査へ」

アメリカのバイデン大統領は、ウクライナに軍事侵攻したロシアのプーチン大統領を「人殺しの独裁者」、「戦争犯罪人」だと3月半ば頃の演説から明言するようになった、という。「アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席が18日、ロシアのウクライナ侵攻以来初めてテレビ電話(ビデオ電話?)で協議した」。朝日新聞3月19日付朝刊記事より以下も含め引用。バイデンは、ウクライナ戦争勃発へ導いた真犯人は、プーチンと思っているのだろう。

「米政権は中国がロシアに対して軍事・経済支援に踏み切る可能性があるとみて警戒を強めており、バイデン氏は習氏に強く警告したと見られる」。
ウクライナ侵攻以来初めての首脳協議ということであった。こういう状況で、すぐに協議しないというのは、普通は二人の仲が悪いということだろう。協議の中身は、新聞社の取材ではウラが取れていない、という段階で、朝刊一面に載せるためだけの原稿処理のように見える。従って、記事の内容にはまだ具体性が十分ではなかった。

 ★ プーチンの「皆殺し」の論理

今、世界では、一方的にウクライナ侵攻に踏み切り、ウクライナの幼い子どもを含む国民に対して文字通りの「皆殺し」(無差別殺戮)を強行し続けているロシアのプーチンを「戦争犯罪人」として告発する運動が広がっている。第二次世界大戦以降、戦後の国際社会は、幾つもの戦争を引き起こしてきた。特に、世界の大国と言われるアメリカや旧ソビエト連邦(現在のロシアが中軸国家だった)が、戦争も先導してきた。だから、ロシアだけを悪者にしても、画竜点睛を欠くことになる。
そういうことを前提にしても、今回の「ウクライナ戦争」は、いかにも酷過ぎる。世界の国際秩序の手本づくりを先導すべき大国・ロシアが、国際秩序を乱し、「率先して」暴走しているからだ。その後のロシア軍兵士たちの行為が、「戦争」という範疇を遥かに超えてしまった、という醜い事実が次々と明るみに出てくるに至って、ロシアは、ほとんど、どこからも相手にされていなくなってきているのではないか。

ロシアは、なぜ、いま、ロシアの隣国の一つ、ウクライナを相手に暴走、あるいは、暴挙に出て、勝手にウクライナの領土を食い散らし、非戦闘員(高齢者、女性、子どもたち、特に乳幼児たち)を含めて、「皆殺し」の戦争を始めたのだろうか(プーチンが書いたと言われる論文=ロシア人とウクライナ人の比較論が示唆に富むのだろうが、今回は、ここでは触れない)。この戦争は、国家間の戦争ではなく、プーチンというロシアの情報畑育ちの「役人」から大統領に成り上がった「狂人」(?)の狂気の果て(あの、異様な目つきが私は気になるが、外貌で人間を判断すべきではない)の「私戦」でしかない。
ロシアがなぜ「暴走」したのか。いな、ロシアのプーチンがなぜ暴走したのか。この戦争は、冷戦後の世界の「秩序」を乱すだけでなく、国際社会のグローバルな「構造」を変えようとでもしているのか。冷戦後の大国は、どういう構造で国際社会を泳いできたのか。とりあえず、ロシアを含む三つの大国についてチェックしてみようと、思う。

 ★ 国際社会の「大国論」

(1)アメリカは、「単独行動主義」(要するに、わがまま。あるいは、(国力から見て)、いわば世界の「長男」の勝手主義)で、冷戦後も世界のあちこちで(今回のロシア同様に)戦争を仕掛けて、国際秩序を揺らがせてきた。その一つの到達点が、「偉大なアメリカ」復活論。

贅言;「単独行動主義」(ユニラテラリズム)とは、二国間の交渉と合意を重視する二国間主義(バイラテラリズム)や、全ての関係国が対等な立場から目標と枠組みを作り、そのルールに基づき行動する多国間主義(マルチラテラリズム)と対比される言葉。その特徴の第一は、他国との協力よりも、自国の力に依存する傾向が強い。

特に、アメリカでは、バイデン大統領の前任者・トランプ前大統領は西側関係国の、いわば隙間に蟠っていたパワーの活用を狙ったが、幸いに2期目は落選した。次回の大統領選挙出馬を狙い今は、雌伏しているように見える。この人物は、内向きのポピュリズムに火を点け一度はアメリカの大統領になった。現在のアメリカは、ほぼ二つに分断されていて、半分はトランプ前大統領に同感している。このことの怖さを私たちは認識しておかなければならない。
これを書いていると、トランプは、プーチンと重なる部分が、いろいろありそうだということが判る。ロシアでは支持率が83パーセントというプーチン。アメリカでは、バイデンとフィフティー&フィフティーというトランプなど、専制主義が危惧されそうな政治家が、国際社会の、あるいはそれぞれの国家の経営を牛耳っていないかどうか。人類は、コロナもデモクラシーもファクトチェックをし続けないと危ういという時代が今後も続きそうである。

(2)ロシアは、冷戦後、「ソビエト連邦」という国家連合の経営に失敗し、社会主義国家を閉じ、大国から滑り落ちてきた。特に、プーチンは、内向きのポピュリズムを標榜し、大統領(首相→大統領→首相→大統領:現在も継続)として専制権力を保持し生き延びを図ろうとしてきて、それを成功させてきたように見える。選挙結果を見ると、一応、ロシア国民は、情報統制の矯正の結果、情報偏頗となっているロシア国内では、最近でも多くの国民=有権者がプーチンを支持しているというから驚きである。
国営テレビしか見ない国民層をベースに有権者の83パーセントの支持率を今も「維持」するというから、こちらの国家構造も恐ろしいものを秘めている。83パーセントという支持率の数字は、デモクラシーのシステムでは滅多に出てこない数字だろう、と思う。こういうお化けの数字を掲げて執務する大統領システムも恐ろしいし、執務室のあの大きな机も恐ろしい。さらに、それを支持する国民も、また恐ろしい。ロシア大国論の再現という幻想の追求。

(3)もう一つの大国は、中国だ。こちらの大国はデモクラシー、自由主義という西欧的な価値観に対抗的な政策や制度で国内社会体制作りを進めるという姿勢を強めている。ロシアがウクライナを食い散らしているように、中国は香港や台湾を「併合」(呑み込む)しようとしているように見える。習近平国家首席はそういう点では、ロシアのプーチン大統領にも似ているのではないか。陰では、国家主席もいろいろ動き回っているのだろうが、表向きは寡黙だ。しかし、こちらも、栄光の大国待望論が隠せなくなってきている。

こうして、国際社会で、今、大きな顔をしている大国は、どこもかしこも、同時代では、賢人・人格者を欠きスケールが小さい指導者がそれぞれ得意の手管を小器用に活用し、王座に君臨しているようである。ドングリの背比べ、と言ったら、ドングリに失礼ではないか。

 ★ プーチンの攻撃目標は、何か?

さて、一方的な軍事侵攻を仕掛けたプーチン率いるロシア軍は、当初、攻撃の目標を原発・廃炉、核関連施設、軍事施設などを狙っているように私には見受けられたが、その後の攻撃では、ウクライナの行政施設や軍事施設ばかりでなく、さらに、一般住宅、共同住宅、ショッピングセンター、学校、病院(産科病院を含む)、劇場や学校(民間人、特に女性や子どものための避難所となっている施設さえも含む)などを攻撃し、子どもを含む民間人を区別せずに皆殺しの標的にしている。要するに、非戦闘員たちを無差別に殺戮する戦術をとっているということだ。国際法を無視しきった国際犯罪人の典型のような行動様式だろう。民間施設、子どもを含むということ、さらに、その後明らかになってきた残忍な殺し方で、プーチンの無差別感・虚無感がいちだんと強まっているように思われる。これでは、狂ったプーチンは、今後とも本気で核のボタンを押すかもしれない。

しかし、次のように考えると、私のような発想は、「真逆」なのかもしれない。「核」の確保(調達)より、「生命獲(いのちと)り」の確保…

贅言;…というようなことを考えていたら、朝日新聞3月22付夕刊の記事に出会った。「アメリカ国防総省は21日、「ロシア軍による戦争犯罪の明確な証拠がある」と述べ、(略)「民間人への無差別攻撃の多くは意図的だ」という見解を示した。」という。ロシア軍は、「標的への誘導装置が付いていない無誘導爆弾の使用を増やしたことで、さらなる民間人への被害などが生まれている」という。

やはり、私の発想はプーチンの悪魔性の発想とは真逆で、彼は、無差別殺人をロシア軍人たちにやらせるのは、何の痛痒も感じていないのだろう。ウクライナ攻撃の目的は、「皆殺し」。むしろ、殺戮が「快楽」なのかもしれない。殺人狂・プーチンとあだ名をつけられた男を一人、檻のある病室に収容でもしない限り、ウクライナ戦争は、停戦はあっても、戦争は終わらないのではないか。

つまり、プーチンは、戦争とか、戦闘員とか、軍関係施設とか、原発・廃炉とか、核関連施設とか、病院とか、学校とか、ショッピングセンター、共同住宅とか、一般住宅とか、劇場とか、避難所とか、そういう戦闘行為の区別は、最初から脳裏にはないのではないか。フェイクニュースかもしれないが、ロシア軍の無線傍受という画像を映像ニュースで見た際、画像の中から聞こえてきた声。兵士の問い合わせに答える「指揮官」の声。「全員殺せ」(スーパー・イン・ポーズ)。あえて言えば、プーチンは、ウクライナのような「西側」に成り上がった「国家」の構造を殲滅することを目標としているのではないか。西側の国家・社会とは、デモクラシーそのもののことではないのか。デモクラシーの破壊。近代デモクラシー原理の否定。

そう考えれば、どのピースも大事になる。それぞれのピースを持ち帰り、ジグソーパズルにはめ込んでみよう。「はめ絵」は、大きな全体像を明らかにしてくれるだろう。完成したジグソーパズルで見た大きな全体像とは、なにか。鬼の画像? はっと、目をこらすと、そこに見えるのは、プーチンの嘲りの視線を含んだ人相書のような人物画ではないのか。鬼の形相。
私の想像力は、私をそこまでは導いてくれたようだが、冷血漢・プーチンの悪知恵は、さらに、もっと先へ行っている。その「先」とは、……。各国が懸念しているその「先」とは、……。

 ★ 誰が、核兵器のボタンを押すのか

その先の世界では、国際法を無視して生物兵器や化学兵器、それに核兵器まで、窮地のプーチンは、いずれ使用するのではないかと世界各国から危惧されている。プーチンが核兵器のボタンを押すのか。それとも、……。しかし、人類は誰にも、ボタンを押させてはならない。

まずはロシア軍に占拠されているウクライナの原子力発電所が、要警戒だろう。ロシア軍人が、どこまで核の知識に精通しているか知りようもないが、原発周辺での部隊兵士への将校の作業指揮の杜撰さ。核という特殊物質の処理という意識の希薄さは、大いに懸念される。占拠されている側のウクライナの核の専門家の言うことを聴いて、占拠する側の軍幹部が真っ当な判断をしてくれるかどうか。大いに疑問が残る。

 ★ プーチンは21世紀の悪魔か

それにしても、プーチンは、人間界を外れて、悪魔の集団を率いて人類壊滅を狙っているのだろうか? 21世紀の世界に悪魔がいるなんて、夢にも思わないけれど、もし、人類の中に紛れ込んで悪魔が暮らしているとしたら、プーチンのような存在なのではないか。
これでは、まるで地球の危機をテーマにした冒険映画か小説か、あるいはコミックスの世界ではないのか。

中でも、「ロシア軍との市街戦が激化しているウクライナ南東部マリウポリからは、19日も市民の脱出が続いた」。(略)2014年にロシアが併合したクリミア半島の間にある要衝」ということで、街を包囲するロシア側に「怨恨」でもあるのかな、と思わせるような粘着質の執念深さを感じさせるではないか。
その後、明らかになった「ロシア軍の殺し方」を見ると、「怨念」の度合いは強そうであることが判る。「電気や水道が断たれたまま35万人以上(当初)の住民が孤立し、戦闘に巻き込まれている」という状況は、どういう悲惨さ、残虐さを引き出すだろうか。あるいは、ロシアへ強制的に連行されている人も多いという。殺されているという情報もあるし、路上の放置されたウクライナ人の遺体の状態を見ると、ロシア軍は殺すことこそが目的だったことが判る。その後、ロシアは、放置していた市民虐殺の証拠隠滅の動きをしているとウクライナは、批判している。
朝日新聞4月5日朝刊記事より以下、引用。

ロシア軍によるウクライナ侵攻をめぐり、ロシア軍から解放された首都キーウ(キエフ)近郊で、民間人とみられる410人の遺体がウクライナ検察当局により確認された」。以上、引用終り。

贅言;最終的には、10万人の非戦闘員の住民が孤立し、生命を削る「消耗戦」という戦闘に巻き込まれ、多数が殺された、という。その結果、マリウポリの街並みは、9割が破壊されたというから、こちらも凄い闘いだ。ウクライナの街は、一気に地球上から消され、「非存在」として歴史の闇の中へ押し込められてしまったように見える。

1986年、ウクライナは、チェルノブイリの原発事故で都市が消されたが、2022年、ウクライナは、ロシア軍による「ジェノサイド」のような、非戦闘員の大量虐殺で、幾つもの都市が消された。

「ロシア軍が人命やインフラの破壊もいとわない無差別な攻撃を伴う『消耗戦』に移行している」ようだと、イギリス国防省は、分析していた。ロシア軍は、最新鋭兵器の極超音速ミサイル「キンジャル」を初使用までしている、という。高価な極超音速ミサイルは、核弾頭を搭載できる上、迎撃が困難なほどのスピードで飛ぶため、迎撃で撃ち落とされる可能性が低い、という。以上、朝日新聞3月20日付朝刊記事より引用。

次々現れる新型コロナが、だんだん「性格が悪くなる(彼らのサイドに立てば性能が良く?なる)」ように、生き残ってくる人類も、だんだん性格(根性)が悪くなってくるようだ。

 ★ 人類は、コロナ禍とも戦わなければ…

今、人類は、新型コロナウイルスによる感染症に苦しんでいる。100年目の大来襲(パンデミック)と呼ばれる新型コロナウイルス禍の来襲に、人類は足掛け3年もかけて、闘っている。その上、2022年に入ってからは、コロナとは異なる禍(わざわい)が人類に追い討ちをかけてきた。

2月24日には、人類側からは、悪魔のような大国が、ウイルス側に協力するかのように軍事侵攻してきた。これが、ウクライナに風穴を開けて、世界規模の戦争、第3次世界大戦に比する世界史上の事件となった。プーチン・ロシアの暴走である。第一次世界大戦から、ざっと100年が過ぎ去り、世界史は、大きな構造転換の入口ともいうべき時期に突入したのだろう。ざっと100年前、前の世界を支配していた4つの帝国という国際「構造」(ロシア帝国、ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー(二重)帝国、オスマン帝国)が、第一次世界大戦を経て、消えていったように。プーチン・ロシアのようなことを続けていれば、いつの日か、ロシアも、アメリカも、中国も、今の世界を支配している構造としての大国としては消えてしまうかもしれない。

贅言;「オーストリア・ハンガリー(二重)帝国」の成立:1867年、帝国を「帝国議会において代表される諸王国および諸邦」と「神聖なるハンガリーのイシュトヴァーン王冠の諸邦」に二分した。地球という球体の中心軸が二つになったのである。このドイツ人とハンガリー人との間の妥協の結果、君主である「オーストリア皇帝」兼「ハンガリー国王」と軍事・外交および財政のみを共有し、その他はオーストリアとハンガリーの二つの政府がそれぞれ独自の政治を行うという形態の「連合国家」が成立した時代があったのである。これが「オーストリア・ハンガリー帝国」である。

 ★ もう、世界大戦並みの戦争が、そこに……

今回のプーチン・ロシアのウクライナ侵攻は、世界大戦にはなっていないものの、事実上世界大戦に匹敵する衝撃(恐怖)を世界各国に与えている、と言える。いわゆる「9・11」後、わがままで横暴なアメリカがアフガニスタンやイラクでの「戦争」に失敗して後退したように、ロシア、中国を含めて、時代は「横暴な」大国や専制主義者のリーダーの終焉(しゅうえん)期、つまり、「終わりの始まり」の時期が近づいているのではないか、と私は思う。アメリカも、中国、ロシア並みの国家構造。それなのに、ロシアのみが突然暴走したのだ。なぜ、ロシアは自虐的な暴走を始めてしまったのか。ロシアとウクライナの時空を共有する「特別な関係」、地政学的関係、「プーチンの病気?」で片付けてはならない難題が隠されているのではないか。ロシアと背中合わせというスタイルを選択して裏に回り、裏でゴソゴソしながら、寡黙なままの中国の態度も気になる。どの国が、ウクライナ戦争を終結させることができるのか。

贅言;「9・11」とは、21年前、2001年9月11日(火)の朝、起きたアメリカ同時多発テロ事件の略称。ウィキペディアによると、この日、イスラーム過激派テロ組織「アルカイダ」が起こしたと言われている。
一連の攻撃の結果として日本人24人を含む2,977人が死亡、2万5,000を超える負傷者を出し、少なくとも100億ドルのインフラ被害・物的損害に加えて、長期にわたる健康被害が発生した、と言われる。また、この事件を契機として「アフガニスタン紛争」が勃発した。

 ★ サイバー戦争はウクライナの勝ち

ロシアによるウクライナ侵攻は、今回の戦争初期の段階で争った、情報戦・心理戦では、大国・ロシアと雖もすでに小国・ウクライナに負けている、と私は思う。日本では、ほぼ無名、知名度が低かった、俳優出身の、ウクライナの大統領・ゼレンスキー。小柄(身長170センチ)だが、小回りが利きそうな体格、愛国的な言動の潔さ(国民とともに、ここにある)、爽やかさ、演説の判りやすさで、支持率倍増(ロシア侵攻以前と以後の比較では2倍以上)、ウクライナの有権者の9割を超える支持者に支えられる政治家になったのだ(ロシアのプーチン並み?)。プーチンの強引な戦争指揮(「グイグイ戦略」)と違って、苦しい国情を隠さず、ウクライナは苦しい、力を貸して欲しい、助けてほしい、という国民や国際社会への率直な訴えぶりに国民も国外の人たちも、好感を抱いている、というわけだ。

その分、ロシアのプーチンは、冷血漢らしい顔つきで、ますます悪玉になっている。この戦争は、戦禍で非戦闘員、それも、子どもたちを含め多大な犠牲を出していることで、国際社会でも批判されている。そういう意味では、後世まで「ウクライナの悲劇」として、歴史の中で語り継がれて行くだろう。それは間違いないが、それと同時にウクライナが対応した情報戦(「サイバー戦争」)では、遅れをとったロシアのシステムにとっても、「プーチンのロシア」と同時代を生きることになったロシア国民にとっても、大きな悲劇、「ロシアの悲劇」になってしまった、と思う。
それは、政権のスパイや工作員、情報部員育ち(どこの国にも、いる)の、秘密諜報マンでフェイクニュースはお手のもので出世し、権力に執着してきたプーチンが、己の経験に根付いた剛直球で力や面子の政治一辺倒の、「グイグイ戦略」を過信し過ぎ、圧倒的な軍隊と兵器を戦線に注ぎ込みさえすれば、「勝ち戦(いくさ)」になるという先入観に取り憑かれていたのに対し、人口4,413万(2020年当時)というウクライナの、いわば「小国の捨て身の覚悟」を体現した小兵(こひょう)国家の(素人)大統領役を映画で演じたゼレンスキー大統領が、今回の戦争体験の中で、急激に豊かに成長して、人口1億4,580万(2022年現在)という大兵(だいひょう)国家ロシアの手練手管のベテラン大統領プーチン(身長は、こちらも170センチで、ゼレンスキー同様、大きくはないが)を起死回生の、豪快な「荒技」を決めて土俵に埋めて勝ち残ってきた(?、見込み)、というところであろうか。

 ★ 「戦場のジャーナリスト」たち

さて、私の仲間たちの消息も、記録しておこう。「戦場のジャーナリスト」たち、各国の記者などメディア関係者の死亡が相次いでおり、すでに死亡が確認されたジャーナリストは、3月15日の時点で、少なくとも5人に及ぶ、と見られている。メディアの情報は、人間が現場で取材するから、そこに人が集まり、現場から発信される。人間が現場に行かなければ、そこで何が起こっているかは、誰も知ることができない。

以上、概要は、毎日新聞ニュースメール、3・19/16:52。NHKでも、20日のニュースで、ほぼ同じ内容を放送していた。プーチンは、メディアを相手にデモクラシーとも戦う気なのだろうか。

★★ プーチンの失敗

(2月24日に始まった)「ロシアによるウクライナ侵攻がつづいている。しかし、短期間でゼレンスキー政権を打倒し、傀儡政権を樹立、ロシアの要求を受け入れさせるという当初の計画は挫折した」と言えるだろう。絵に描いた餅。プーチンの政権運営、戦争指揮などの失敗の結果ではないのか。

プーチンの失敗は、朝日新聞3月13日付朝刊記事より引用すると、次のように概要要約されるだろう。アメリカ国防総省の高官の分析結果だという。

(1)一つ目は、ウクライナ軍の抵抗。「抵抗は断固として強く、戦略的である。携行式兵器使用による身軽さ。ウクライナの抵抗は、ロシアの想定外だったとの見方が強い」という。

(2)二つ目は、ロシア軍の経験不足。シリア参戦は、これほどの規模の参戦ではなかった。2008年のジョージア侵攻(戦術展開をトレースしてみると、今回のウクライナ侵攻の「予行演習」をしていたようだ)、14年のクリミア併合も然り。特に、経験不足だったのは、兵站、つまり、前線への補給活動が杜撰で、後方の補給部隊の対応が整わなかった。作戦が想定していなかったように、兵站ラインが切れてしまい、ロシア軍周辺で飢餓地獄が出現した。

(3)三つ目は、ロシア軍内部の連携不足。高度な兵器システムを持っているのに、「最新の能力」を活用する作戦コンセプトの共有化に欠けていた。特に、地上部隊と航空部隊の連携不足が目立った、という。

(4)四つ目。これが一番大きいかもしれない。朝日新聞4月1日付朝刊記事は1面トップに「プーチン氏に『誤った情報』」「米英『側近ら、怖くて真実言えず』」の2本見出しが躍った。本記部分の記事には、以下のような記述がある。ウクライナ戦争での情報について「プーチン氏のことが怖くて真実を伝えられないからだ」との見方を示した、という。アメリカホワイトハウスの広報部長の記者会見から概要引用)。ブリンケン国務長官も30日、「専制国家のアキレス腱の一つは、権力に真実を語る人がいないということだ」と補足する。

プーチンは、アメリカのバイデン大統領や中国の習近平国家主席などと並ぶ世界の権力者であったから、ウクライナ戦争で勝とうが負けようが、これで国際社会のリーダーの座からいずれ転げ落ちる(バイデンの肩を持つつもりはないが、二度と表舞台に登場させてはならないし、ロシアの政権に関与させてはならない)だろう。ということは、ロシアも、また、大国の座から落ちることになる。
ロシアの後釜は、やはり、不気味な中国か。中国の国家主席・習近平は、ロシアに寄り添う風(ふう)をいつまで崩さずにいるのか、まだ、見当もつかないが、きっと、そういう処世術で、おとなしく(あるいは、ずる賢く)自分の出番を読んでいるのではないか。国家としての実力からいえば、ここは、中国が一肌脱いで、ロシアに因果を含め、アメリカなど欧米諸国にも恩を売り、ウクライナ戦争を即刻やめさせるべきだろう。それでこそ、中国は、「男になる」(という風に書くと、セクハラになるなあ)というものだ。

ウクライナとの戦いはすでに1ヶ月を超えるほど長期化し、国際社会はウクライナ支持ということで一本化されてきたようである。この結果、ロシアは政治的には完全に孤立し、経済的には制裁効果に基づく破綻の淵に接近し、プーチンは「現代のヒトラー」(プトラー)と呼ばれている、という。「プトラー」というあだ名は、あまり、印象的なフレーズになっているとは、思えないが…。口の端にのぼる前に、消えてしまったようだ。

 ★ プーチンの支持基盤

これまでプーチンを支えてきたロシア国内の支持基盤は、よく知られているように大きく分類すると3つある、という。以下、Yahoo!JAPAN ニュース(「現代ビジネス」北野幸伯論文)などを参照した。ロシアの基礎的な情報を良くまとめている。

●プーチンの権力基盤
その前に、プーチンの権力基盤である側近グループを記録しておこう。今回の、いわば現場の「戦犯」グループである。ウクライナへの軍事侵攻を協議した連中である。2022年4月1日付朝日新聞朝刊記事より引用。

旧KGB(シロビキ=治安関係出身者)
 パトルシェフ国家安全保障会議書記。最側近。プーチンとは、1970年代からの情報部員仲間。「同じ釜の飯」を食ってきた仲か。
 ボルトニコフFSB(元KGB)長官。戦況報告で誤報を出し、自宅軟禁されている、という。
 ナルイシキン対外情報庁長官。動画に記録された会議の場で、プーチンにいびられていた。

* 主要閣僚:
 ラブロフ外相。外務官僚出身。今回のロシア外交の表看板のようだが、頼りなさそう。
 ショイグ国防相。ウクライナ戦争の短期作戦に失敗した。プーチンの後継候補の一人というが、どうなるか。

●プーチンの支持基盤
(1)一つ目の基盤は、「シロビキ」と呼ばれる軍、諜報、警察など。

特に、ロシア軍は、戦争を遂行し、勝利することで、プーチン人気を支えてきた。実際プーチンは、「チェチェン戦争」「ロシア-ジョージア戦争」「シリア内戦への介入」「クリミア併合」「ウクライナ内戦への介入」「IS=イスラーム国攻撃」「カザフスタンの大規模デモ鎮圧」などで勝利してきたし、今次のウクライナ戦争でも、戦争勃発(2月24日)以降の世論調査では、勃発前より支持率を上げている。最近の調査結果では、83パーセント(客観的なデータかどうかは、保証できない。なにせ、報道統制の徹底した国家なのだから)という。プーチンにとって、「戦争」とか「情報」とかいうものは、自分の支持率を上げる魔法のランプなのであろう。

諜報畑は、プーチンの出身元。彼は、元々KGB(現在のFSB)の諜報員だった。ソビエト連邦崩壊後は、KGBの後継機関FSBの長官までのぼりつめた。諜報機関は、プーチンの手足となって働き、反プーチン派を容赦なくつぶしてきた、と言われる。ウクライナ戦争の非戦闘員である市民虐殺の現場指揮も、諜報畑のリーダーシップに拠ると言われる。

警察は、ロシアで時々起こる大規模デモ(たとえば、今次ならモスクワの「反戦デモ」など)を力で鎮圧している。ニュース画像で見かける光景だ。

(2)二つ目の基盤は、新興財閥。日本でも「新興財閥=オリガルヒ」と
いう言葉で知られている。ロシア政財界の幹部と癒着して富を蓄積する。

この新興財閥には、二つの層がある、という。

一つ目は、プーチンが大統領になる前から、彼に従っている新興財閥。
彼らは、東ドイツでプーチンがスパイ活動をしていた時期、あるいはサンクトペテルブルグの副市長だった時期に彼と親交を結んだ。代表的な人物は、国営石油会社のCEO・セーチンと国営ガス会社ガスプロムのCEO・ミレル。

二つ目は、プーチンが大統領になった後に忠誠を誓った新興財閥。

贅言;3・21/05:57。毎日新聞ニュースメール配信より引用。
ロシアのウクライナ侵攻に対して一部のロシアの大富豪が戦争の早期「終結」を求めて声を上げた、という。大富豪は「オリガルヒ」と呼ばれ、政権を支えてきた経営者たちのことだ。
最初に反戦を訴えたのは、ロンドンとロシアを行き来し、金融や保険、小売りなどを展開してきたミハイル・フリードマン氏だ。米国や欧州連合(EU)が経済制裁対象としたロシア第4位の金融機関アルファ銀行の会長でもある。資産は155億ドル(約1.8兆円)とも言われている。以上、引用終わり。

プーチンが大統領になる前(エリチン大統領の任期)の90年代、ロシアの政治経済は当時の新興財閥に支配されていた。当時の代表的新興財閥は、「クレムリン・ゴッドファーザー」と呼ばれたベレゾフスキー、「ロシアのメディア王」グシンスキー、「ロシアの石油王」ホドルコフスキーなどだ。3人とも「ユダヤ系」という点で共通していた。

この3人は、2000年から03年にかけて、プーチンに抵抗し、敗北した。そしてベレゾフスキーはイギリスに、グシンスキーはイスラエルに逃げ、石油最大手ユコスのCEOだったホドルコフスキーは2003年、脱税などの容疑で逮捕され、シベリア送りにされた(彼は2013年に釈放された後、イギリスに逃れ、今も熱心に反プーチン活動を行っている)。
新興財閥の超大物3人が敗れ、ほかの新興財閥はプーチンに勝てないことを悟った。そこで、彼らはプーチンに逆らうことをやめ、恭順を誓ったのだ、という。
ロシアの大富豪たちの分析は、今回は、棚上げにしておくが、個々の富豪の調査を含めてきちんとやる必要があるだろう。

 ★ やはり、メディアは、しっかりしろ!

(3)三つ目の基盤は、「メディア」。プーチンは2000年代になってテレビを完全支配することに成功している。ロシアの三大テレビ局は「ロシア1」「1カナル(第一チャンネル)」「NTV」。どの局でも、プーチン批判はまったく聞かれなかった。国民の立場に立って、権力を批判しないメディアは、すでに報道機関ではない。プーチンは、国営放送のロシア国内向けのテレビ報道を通して、ロシア国民を自由自在に洗脳し続けている、と思われてきた。

それが、今回、ニュースの生放送番組の中で、「珍事」が発生したのだ。

国営放送(テレビ)のニュース番組スタッフのテレビ局職員が、放送中のニュース(生中継)番組に突然映り込み(画面に飛び込み)、意思表示のポスター(プラカード)を掲げて立ち止まり、ロシア軍のウクライナへの軍事侵攻に抗議したのだ。番組は、上司の妨害で中断された。

★★ ロシアのテレビ界に「変動」の兆しか?

3月14日午後9時(日本時間15日午前3時)ロシアの国営テレビ「第一チャンネル」の人気ニュース番組・タイトル名「ブレーミャ(時間)」の生放送中に、国営テレビの女性職員が「戦争反対」などと手書きで書いた手作りのポスターを掲げて、キャスター席の後ろに「映り込んだ」。その際、女性キャスターを映すカメラとポスターとの配置が重ならないように別の人物がカメラ目線で修正する所作を女性がしていたから、女性職員の、いわば「協力者」がほかにもいたのだろう。人気ニュース番組「ブレーミャ(時間)」は、日本で言えば、NHKのニュースセンター9時に匹敵するから、視聴者も数百万人と言われる国営放送の看板番組である。
番組のキャスターがベラルーシ関連のニュースを伝えていたところ、突然、画面右端からパンツスーツ姿の女性がスタジオに入り、キャスターの斜め後ろに立ち止まった。「戦争反対」「(政権の)プロパガンダを信じないで」などと手書きで書かれた手作りのポスターを掲げて、「戦争反対」と叫んだ。女性はさらに発言しようとしたが、キャスターの大きな声にかき消され、まもなく画面は別の映像に切り替わった」。この場面の録画(動画)は、繰り返し放送されたが、ロシア国内では、録画も放送されたのかどうか。

朝日新聞3月15日付朝刊記事によると、女性は、「抗議」の前、ネット上に声明を投稿した。動画で女性は「ウクライナで起きていることは犯罪だ。この戦争の責任は(大統領の)プーチン(氏)にある」と批判。父がウクライナ人で母がロシア人だと話し、「2国が争うのを見たくない」と訴えた、という。

さらに、続報の朝日新聞3月16日付夕刊記事によると、この事件について、「モスクワの裁判所は、15日、職員が無許可の集会を呼びかけたとして3万ルーブル(約3万3千円)の罰金の支払いを命じた。(略)反戦を訴えたのは、国営テレビ「第一チャンネル」の編集者(名前など、略)。夜のニュースに突然、登場して「NO WAR(戦争反対)」(政権の)「プロパガンダを信じないで」などと書かれた紙を掲げた。その直前にはSNSにビデオを投稿し、「この馬鹿げたことを止められるのは、私たちの力だけだ。集会に参加して」と呼びかけていた。「今回の罰金はこの発言に対するものだ」という。ということは、彼女の生放送番組への、映り込みは、まだ裁かれていないことになる。今後、刑事罰も受ける可能性がある。ロシアで珍しく明るみに出た「報道の自由」提議の行為なので、継続して情報をチェックして行きたい。

彼女は番組中の抗議の後、拘束されていた、という。ロシアの独立系紙ノーバヤ・ガゼータのツイッターによると、裁判所で罰金を命じられた後、記者団の取材に応じ、捜査当局による事情聴取が「約14時間に及んだ」ことを彼女は明らかにした、という。

すでに触れたように、スピード判決で出された罰金は反戦を呼びかけたSNS投稿に関するものだった、という。一方、ロシア捜査当局は15日、放送中の反戦呼びかけに関してはロシア軍に関する「虚偽情報」を広める行為に該当する疑いがあるとして予備的捜査に着手している、という。こちらの最高刑は禁錮15年だ。この問題も背景がいろいろあるかもしれないし、今後、当局がどう出てくるかもしれないので、継続してウオッチングする必要があるだろう。

 ★ 人気キャスターらに降板の動き

ロシアのプーチン政権はテレビ局の統制を特に重視してきたが、ウクライナ侵攻後、人気キャスターらが離職する動きも伝えられている、という。

独立系ニュースサイト「メドゥーザ」によると、国営ガス企業「ガスプロム」系のテレビ局「NTV」の人気番組の女性キャスターがロシアを出国後、退社(退職)したことを明らかにした。プーチン大統領とのインタビュー経験がある国営テレビの男性キャスターは2月末以降、番組に出演しておらず、降板したとみられている、という。以上、メディア関係は、「現代ビジネス」北野幸伯の記事なども参照した。インターネットを含め、目についたものをまとめて、引用してみた。新聞では、なかなか、ロシア国内のメディア関係の動きが見えてこない。

ロシアからの情報は限定されていて、現状の全体像を掴むのは難しいが、マスメディアだけでなく、インターネットの情報も加味すると、以上のような光景をスケッチできるのではないか、と思われた。

 ★ プーチンは、自国民の意向を理解していない?

テレビ界などマスメディアに限らず、ロシアは、プーチンの政治姿勢の影響で大きく変わってしまった。プーチンの仕掛けた「ウクライナ戦争」は、被害者となったウクライナの国民を驚愕させるとともに、加害者の一翼を無理やり背負わされたロシアの国民をも驚愕させた。ロシアの国民は、ウクライナを侵攻するロシア軍の勇ましさに狂喜したわけではなさそうだ。ロシア国旗を振るって、ウクライナ戦争勝利を喜ぶ市民の画像も見たことがある。「ヤラセの集会」っぽい、と感じた。どちらが、フェイクニュースか。視聴者の眼力が試される。

ロシアでは、報道規制を強化するべく法律を改正、というか、実質的には、新たな条文が作られ、新たな罪刑が科せられるように、法体系が改められた。それによると、プーチンの起こした戦争の報道にあたっては、プーチンの眼鏡にかなった情報を流さない場合には、最高で禁錮15年以下の罪に問われることになった。ジャーナリストたちの報道の自由は、こうして封じ込めらてしまい、今、世界のテレビ局がウクライナ戦争を報じる場合でも、ロシア側からの情報が伝えられてこなくなってしまった。
まず、ロシア国民自身に対して事実の報道が流されていない。次に、世界の報道の責任者たちが厄介なロシア側の取材は避けようとしているのかもしれない。ニュースバリューを認め、世界史的な視点でより深く取材せよと檄を飛ばしている責任者もいるだろうが、どうなっているのか。

今、ロシアは国内外に真実が報道されていない。これでは、事象が多元的に見えてこなくなる。ファクトチェック。つまり、事実か事実でないかが、チェックできなくなっている。これでは、近代国家としてのロシアのリアルな像が、全世界に伝えられないということになる。歪んだロシア像しか提供できない国家を近代国家と呼ぶことはできないだろう。ロシアは、国家として現在の国際社会に受け入れてもらえなくなる。プーチンは、そういう「歪んだロシア像」を承知しているのか。「委細合点承知の助」の確信犯なのだろうな。プーチンとともに、「ロシアの孤立」も始まったのだろうか。

 ★ ロシアの孤立

「ロシアの孤立」でいえば、3月2日の臨時の国際連合(国連)総会・緊急特別会合でのロシア非難決議に反対に回ったのは、ロシアとベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの5カ国だけだった。特に、見逃せないのは、ソビエト連邦崩壊後にできた独立国家共同体(CIS)加盟国の動き。ソビエト連邦時代の連邦構成国家。プーチンが復活を求めている国家体制なのだろうか。ロシアにとっては、横綱土俵入りの際の、露払いや太刀持ちの役どころ、いわば「親衛隊」のような国々だったのか。CISで、今回反対したロシア、ベラルーシを除いて、判った範囲では、国連の非難決議に賛成したのは以下の通り。電光掲示板に明示された。

*反対(ロシア、ベラルーシ)
*賛成(ウクライナ、ジョージア、モルドバ、エストニア、ラトビア、リトアニア)
*棄権(アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)
*無投票(アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)

「ロシアの孤立」がここまで深刻になったことを象徴する結果だった、と私も思う。

「力こそ正義」というのが信条のプーチン・ロシアの鼻っ柱が折られた歴史的瞬間として、記憶しておく必要があるであろう。

 ★ プーチンの孤立

側近グループのところで触れたように、ロシアの孤立は、プーチン自身の孤立と裏表の関係にあるのではないか。プーチンの執務室の大きくて、細長い机(長さが25メートルとか。プール並み)の端に座るプーチンと遥か離れた席に座る軍服姿のロシア軍幹部などの側近たちの画像を見たことがあるだろうか。これで、内密の真剣な話し合いができると思っていたのだろうか。それとも、臣下は、黙って俺の言うことだけを聞けば良いという思いだけであったのだろうか。プーチンという男には?
自ら孤立して行くばかり。都合の良いフェイクニュースを聞かされ、同床異夢を見抜けずに、孤立の極みに立ち、寝首を撥ねられるだけの人生。

 ★ 機密都市/チェルノブイリ原発・廃炉は、どうなっているのか?

チェルノブイリ原発・廃炉施設の立地は、ウクライナ北部にあったプリピャチ市。チェルノブイリ市の隣にある。

 ★ 1986年/暴発事故

原発事故直前のプリピャチ市。人口は13,414世帯49,360人。大半がチェルノブイリ原子力発電所の従業員とその家族だった。また、独身者や子どもも多く、市民の平均年齢は26歳と若かった。ヤングファミリー。若い家族たちの世帯が多かったのだ。

プリピャチ市の北西側市域は18キロ、北側は、ウクライナとベラルーシの国境。国境まで16キロ。ウクライナの首都・キエフまで南へ直線距離で、約110キロの地点にある。チェルノブイリは、ウクライナの州としては、キエフ州に入る。首都と同じ州なのだ。東京都の区制で例えれば、キエフが、千代田区なら、チェルノブイリは、「多摩地区」のどこかの自治体くらいの距離と位置という関係になるのだろうか。

この原発と首都を結ぶ幹線道路は、ウクライナの穀倉地帯の中をどこまでも真っ直ぐ伸びている。思えば、10年前の、あの時キエフからチェルノブイリへ向かった際に利用した、あの「まっすぐな幹線道路」を、今回、ベラルーシから国境を超えて入ってきたロシア軍の侵攻では、キエフに向かって自動車並みのスピードで戦車群が走っているのかもしれない。実際には、ロシア軍の兵站体制の不備や参戦した若い未熟な兵士たち(それゆえ、彼らが発射するミサイル弾は、目標を逸れたりして、結果的に無差別攻撃になっている、という説もあるが、どうであろうか)の部隊が多いらしいロシア軍の独自の問題で、幸いキエフへの侵攻は遅れているようだ。その後のキーウ(キエフ)とその周辺市域の惨状は、驚嘆に値する蛮行が繰り広げられた。

チェルノブイリ発電所(原発・廃炉)は、プリピャチ市の中心街から東へ約4キロ。ウクライナをほぼ北から南に流れ、最後は黒海に流れ込むドニエプル川。その支流・プリピャチ川から流れ込む人工湖(原発施設の冷却池)に面している。プリピャチ市側に原発・廃炉施設はある。つまり、チェルノブイリ市とプリピャチ市は、ドニエプル川を挟んで、対岸に面する。

 ★ 地図にない街・プリピャチ市

プリピャチ市の市名は、プリピャチ川に由来する。プリピャチ川の水源は、ウクライナ・キエフ州の北側にある隣国のベラルーシに発し、ドニエプル川に合流して消える。

チェルノブイリ発電所は4号炉の事故が起こらなければ、当時では、世界一の原発になる予定であった、という。
この発電所を中心にしたチェルノブイリ市やプリピャチ市などは、原発施設に勤める人やその家族のためだけに作られた街であった。つまり、冒頭ですでに触れたように、ヤングファミリーが多い街であった。チェルノブイリなどは当時の地図には記載されておらず、地図上には存在しない、いわば軍事的な「機密都市」だった、というわけだ。

今回の戦争勃発がなければ、原発事故以来、規制されていたチェルノブイリ原発・廃炉周辺には、事故から4半世紀後、2011年から行政機関の許可を得れば立入ることができるようになっていた。今は、ロシア軍に占拠されてしまい、近づけないであろう。さらに原発には素人の軍人幹部が居座り原発・廃炉管理の指揮命令もしているかもしれない。なんとも、背筋が寒くなる話ではないのか。

3月23日には、ウクライナのゼレンスキー大統領は、日本の国会議事堂の施設・衆院第一議員会館の国際会議室で、午後6時過ぎからオンライン方式を利用して日本の国会議員を相手に国会演説をした。この中で、ゼレンスキー大統領はチェルノブイリ原発・廃炉のロシア軍による占拠の際以降の何度かの「戦闘行為」の結果、放射能漏れなどの環境汚染が心配だという懸念を表明していた。3月24付朝日新聞に演説内容の記事が掲載されたので、引用。
「同氏は続けて、1986年に事故があったチェルノブイリ原発に触れた。「ロシアの装甲車両が通り、放射性物質のほこりをあげた。原発が支配された。事故があった原発を想像してほしい。核物質の処理場をロシアが戦場に変えた」と訴えた。さらに、「ウクライナのすべての原発が「非常に危険な状況にある」とも述べ、ロシア軍の攻撃の不当性を強調した」。

チェルノブイリ原発・廃炉では、ロシア軍幹部の指示で電源が喪失させられたと思ったら、ウクライナ側の努力で、応急的に復旧。さらに修理が可能になったと思ったら、即、再び電源喪失など、不可解な情報が相次いで入ってくる。ロシア軍は、チェルノブイリで、なぜ「迷走」していたのか?
環境対策に当たってロシア軍がいい加減な対応をしていて、その結果から軍上層部の判断も「迷走」していた可能性が多大であると、私自身も思っている。

それは、ロシア軍の現場の迷走なのか。プーチン自身の迷走なのだろうか。だとすれば、それは、今回の軍事侵攻の謎を解くことに繋がるのではないか? プーチンにメンタルな問題があるのか。

この疑問は、ウクライナへの軍事侵攻の目的、目標への謎そのものであるが、今後も継続して考えて行こう、と思う。

贅言;朝日新聞3月23日付朝刊記事で、久しぶりにチェルノブイリ原発・廃炉のニュースを見つけた。「ウクライナ議会は21日、北部のチェルノブイリ原発の周辺7カ所で火災が発生していると発表した」。「おそらくロシアの砲撃か、意図的な放火の結果だ」と主張している。」という。この説明にも大きな疑問が残る。チェルノブイリ原発・廃炉については、すでに書いてきたが、戦争、あるいは戦場のポイントが、ウクライナの国境地帯など四辺から攻められ、防護し、あるいは破られたりしながらも、移動している中で、絶えず情報が発信されるわけではないし、ローカルで発信された情報を紙面に載せたり、電波に乗せたりするメディアの判断には、ムラがあるのは、否めない。読者・視聴者などの受け手に伝えるべき情報が伝わったり、伝わらなかったりしているのは、止むを得ないだろう。私のような、いわば「中間点」(事件現場ではなく、放送現場でもなく、という意味で使っている私の造語)にいる書き手(私の場合は、フリーのボランティア記者)が、己の責任で押し寄せてくる情報を取捨選択して整理し(ファクトチェック)、一つの物語に再構成(フェイクニュースは、除く)して行くしかないだろう。

以上、3月24日朝日新聞朝刊記事より引用。

贅言;「チェルノブイリ原発・廃炉」のニュースが、少な過ぎるのではないか。発信されても、扱いが小さ過ぎる。例えば、「チェルノブイリ森林火災」の記事。「(ロシア軍により)チェルノブイリ原発周辺の立入禁止区域で31件の森林火災が起き、焼損面積が1万ヘクタール以上にのぼる」というニュースは、朝日新聞3月28日夕刊の扱いで、1面下2段の「ニュースダイジェスト」コーナーでの掲載という有様。
「火災は周辺の使用済み核燃料などの貯蔵施設に達する可能性(恐れ?)もあるという。「ロシア軍が立ち入り禁止区域を」占拠しているため、火災を抑えることができない状況になっているという」。これを発表したウクライナ議会の人権オンブズマン、リュドミラ・デニソワ氏は、「周辺で放射性大気汚染のレベルが上昇している」と主張し、「ウクライナやベラルーシ、ヨーロッパ各国への脅威となる」と強調。ロシア軍に直ちに占拠をやめるよう訴えた」という。国際原子力機関(IAEA)に対し、「全世界に取り返しのつかない結果になることを防ぐため、専門家と消火装置を一刻も早くウクライナに送るよう求める」と主張している、という。 

 ★ 機密都市・秘密都市・閉鎖都市

もう一つ、贅言;「機密都市」は、「秘密都市」、「閉鎖都市」などともいう。第二次世界大戦中や第二次世界大戦後に、アメリカや当時のソビエト連邦(現ロシア)などの国家は、核兵器や化学兵器の開発を急いでいた。兵器の秘密を保持し、開発をしていること自体を秘密にしたり、また軍事基地の秘密を守ったりする目的で作られた人口の街を「閉鎖都市」と呼んだ。アメリカが核兵器開発のために「秘密都市」を作っていることを当時のソビエト連邦が察知し、それを模倣した、とも言われる。

閉鎖都市は、核兵器や化学兵器の開発などといった国家秘密にかかわるような、特定の目的のために造成された都市というか、軍事基地であった。そこに住む住民は、主として核兵器や化学兵器の製造、あるいは何らかの軍事活動に従事している者やその家族であった。通常、都市というのは出入りが自由であるが、閉鎖都市は多くがフェンスで囲まれており、検問所やゲートが設置され、軍事基地のように出入りが厳しく制限されている。

閉鎖都市は、その都市の存在を地図に掲載することを禁じられた。都市の上空は、飛行が制限された。閉鎖都市につながる道路は、封鎖された。その都市がこの世に存在することすら、できる限り秘密にされた。閉鎖都市が、「秘密都市」と呼ばれる所以である。現在の、ロシアやCIS諸国には、多くの閉鎖都市がある、という。

贅言;CIS諸国とは、1991年12月、ソビエト連邦の消滅とともに、連邦を構成していた諸共和国によって形成されたゆるやかな共同体。
ウクライナやジョージアは、NATO加盟の意思を表明しているが、実現していない。2014年、「クリミア併合」によってウクライナとロシアの間の関係が極度に悪化し、ウクライナはCISからの脱退を表明した。
本部はロシアの同盟国・ベラルーシの首都・ミンスクにある。

ミンスクと国境を隣り合わせとするチェルノブイリ原発・廃炉は、1986年の事故当時を含めて、建設以降の原発の正式名称は、「V・I・レーニン記念チェルノブイリ原子力発電所」。

レーニンと直接の関係はない、という。「共産主義とはソビエトの権力と全国の電化である」というレーニンの言葉にちなんで名づけられた、という。放射性物質汚染により発電所の看板の交換が困難なため、看板は今もこの名前のままである。かつて、ロビー前の広場にはレーニンの胸像があった、という。ソビエト連邦という社会主義国家の時、ウクライナ国内には、レーニンの胸像は、5,500体もあったという。それは、今では、一体もない。チェルノブイリ原子力発電所の胸像の首は、その後、胴体から切り離されて、チェルノブイリの倉庫に「保管」されている、という。切り取られたレーニン像の物語については、いずれ述べることになるであろう。

★★ 2022年2月24日~3月31日

すでに、見てきたようにウクライナ戦争の報道の中で、チェルノブイリ原発・廃炉をめぐる報道は少ない。

 ★ ロシア軍、チェルノブイリ占拠

ロシア軍はウクライナ侵攻した2月24日、その日のうちに旧ソビエト連邦のチェルノブイリ原発・廃炉を占拠し、ウクライナ側を抑圧しながら「管理」を始めた。ロシア軍の侵攻の目的は原発かと思うほど、ロシア軍の対応は早い、というのが、私の最初の印象。

 ★ チェルノブイリ原発周辺で森林火災1万ヘクタール

ウクライナ議会の人権オンブズマンは、27日、ロシア側の行為により、チェルノブイリ原発周辺の立ち入り禁止区域で31件の森林火災が起き、焼損面積が1万ヘクタールの以上に上ると発表した。火災は周辺の使用済み核燃料などの貯蔵施設に達する可能性(恐れ?)もあるという。ロシア軍が立ち入り禁止区域を占拠しているため、火災を抑えることができない状況になっているという。ロシア軍に直ちに占拠をやめるよう訴えた、という。ウクライナ議会は、これに先立ち、ロシア軍侵攻より3日前の21日の時点で、「おそらくロシアの砲撃か放火」により、(原発周辺の)7ケ所で火災が起きていると発表していたという。 

 ★ ロシア軍チェルノブイリ原発管理から「撤退」へ?

国際原子力機関(IAEA)は、3月31日、ロシア軍が占拠していたチェルノブイリ原発の管理がウクライナ側の作業員らに引き渡されたと発表した。朝日新聞4月1日付夕刊より引用。

同原発にいたロシア軍部隊は北方のベラルーシ方面に向かって出発した、という。撤退か再編成か。

一方、ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは、3月31日のSNS投稿で、同原発周辺の立ち入り禁止区域で塹壕を掘っていたロシア軍兵士らが『相当量の放射線』を浴びて体調不良になったと主張した、という。

 ★ 2012年/一幕芝居「チェルノブイリの月」

一幕芝居「チェルノブイリの月」。この芝居は、原作・ジョセフ・パイデン/主演・ウラジーミル・ブーチン/ほか客演に集金平、マコロンなど実在の政治家を想定した登場人物が多い一幕ものの芝居。

舞台の幕はすでに上がってしまい、舞台は進行中。背景の書割には、白い大きな月が出ている。想定された大道具は、田舎の食堂のようである。
脚本家のパイデンは、まだ、舞台の袖で、芝居台本を書き続けている。演出家のXは、脚本家の遅筆を待っていられず、自分のイメージで上演を続けている。

X:「ウクライナでは、1986年のチェルノブイリ原発事故で、国民は、祖国やふるさと、住み慣れた街から追われた。」

大統領役の役者:「2022年2月、ロシア軍の軍事侵攻。ウクライナ国民は、祖国やふるさと、住み慣れた街から追われた。ウクライナの国民は、36年の間に、2回も国を追われたことになる。ああ、悲劇の民よ!」

ブーチン、集金平、マコロンなどの主な役者たちもそれぞれ演技を続けているから、芝居は、終わりそうもない。

贅言;ウクライナ語は、ヨーロッパ語族スラブ語派東スラブ語群に属する。ロシア語や白ロシア語と共通の起源を持つ。12世紀から13世紀以降独自に発達を遂げたため、ロシア語に似ているという。ウクライナ語とロシア語は同じ文字(キリル文字)を用いる。歴史を見るとウクライナは独立した国家・言語を持っている、と専門家は言う。

東スラヴ人の国家だったキエフ大公国(キエフ・ルーシ)が12世紀から13世紀にかけて崩壊。ウクライナの地は16世紀までリトアニア大公国およびポーランド・リトアニア共和国の影響下にあり、特にポーランドが領土の「ポーランド化」を進めたため、ウクライナ語にかなりの量のポーランド語の語彙(ごい)が取り込まれた。

一方、ロシアの前身にあたるモスクワ大公国、そしてロシア帝国では東方地域との接触や移民、そして西欧各国からの技術や文化の輸入があって、今のロシア語が形作られた、という。

言語の系譜だけを見てもウクライナとロシアほかの国々は、一筋縄では理解が困難な関係にあるということが判るだろう。民族、言語、文化、民俗など歴史的経緯を解きほぐさないと、国家の主権、国民の人権尊重へ向けたウクライナの理解が深まらないのかもしれない。 (次号に続く)

 (ジャーナリスト(元NHK社会部記者))

(2022.4.20)
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