【編集事務局便り】183

◇今月は、2月の沖縄の県民投票の結果を踏まえ、【沖縄の地鳴り】2本をトップに掲載させていただきました。また【データ・にっぽん】でも、「――政府の沖縄県辺野古新基地建設にたいする 県民投票結果と米軍基地の現状」をとりあげていただきました。また「悪化する日韓関係の根にあるもの」について羽原氏から分析をいただきました。井上氏から、中国研究の最新の書3冊をご紹介いただきました。

◇連載いただいてる記事もそれぞれ新たな発見が多く毎回原稿をいただくのが楽しみです。

◇先月紹介いただいた「沖縄スパイ戦史」(http://www.spy-senshi.com/)の大竹財団での自主上映へいきました。沖縄の海を埋めた米戦艦をみるだけでも戦慄を覚えたが、壮絶な沖縄南部の地上戦に加え、その陰で15、6歳の少年兵たちが「護郷隊」として北部ではゲリラ戦に駆り出されていたこと、一方、波照間島では、空襲などでは傷つかなかったにも関わらず、悪性マラリアの蔓延していた西表島へ島民が移住をしいられ、島民の約1/3がマラリアで死亡したという。知らないことばかりだったが、知らないでは済まされないことだと思いました。生き残った人が事実を伝えなければいけないと語る、高齢になった元「護郷隊」の方々や島民の方々を丹念に追い続けた三上知恵監督、大矢英代監督に、心から敬意をいだきます。

自主上映は以下のサイトに掲載されていますので、ご覧いただく機会があればと存じます。
http://www.tofoo-films.jp/spy-senshi/#area1

◇そろそろ東京も桜が開花する様子です。あらためて、現在の平和な日々が、過去の様々な歴史の上になりたっていることを思い返しながら、味わいたいと思います。皆様からのご投稿や近況などお待ちしております。
(M.K)

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◇最近少し気になるアレコレ(Ha.K)

*2月にはペンス米副大統領が中心になってのベネズエラへの内政干渉が顕在化し、アメリカ政府はグアイドを「暫定大統領」と承認し、米国からの「医薬品・食料などの緊急人道支援物資」の搬入も阻止したとマドゥロ大統領を「非道の独裁者」と非難し、「米国はあらゆる選択肢を行使する」と軍事介入もあり得るとのニュアンスで脅しをかけた。コロンビア国境からの「人道物資」搬入を強行する中で、物資を運んだトラックを炎上させるなどしてベネズエラ軍の寝返りを煽り立てたが、国境守備部隊は動じず、グアイドをたてた米国側の「政権転覆」の試みは成功しなかった。その後20日近く経って、ニューヨークタイムズがこの国境での「マドゥロ大統領による非人道的行為」による「援助物資炎上」事件に関する修正記事を掲載し、「ビデオ解析の結果、モロトフカクテルを投げてトラックを炎上させたのはベネズエラ政府側でなく、暴徒によるもの」で、しかも「物資には、マスクなど衛生用具はあったが薬品は含まれていなかった」と事実関係の報道を180度変更した。懸念するのは2回目の大統領選挙に立候補したサンダース上院議員が、今回のベネズエラ問題では、「人道的危機にあるベネズエラは人道支援物資を受け入れなければならない」などと発言していたことである。サンダースの米国内での「各種格差の解消、国民皆保険制度の確立」などの政策と違い、国際政治分野では「世論」の流れに逆らわないようでもある。サンダース議員が「今回は、大統領選に勝利し、米国を抜本的に変える」と宣言しているが、勝利を意図して志を曲げるようにならないようにと願っている。前回はサンダースを支援するために民主党全国委員会副代表の座を下りたガッバード下院議員も予備選に立候補しているが、彼女の「政権転覆戦争」レジーム・チェンジ戦争への態度は鮮明で一貫しており、反戦世論をどのくらい集めらられるか注目したい。

*44人が立候補したウクライナ大統領選が3月31日に迫っている。このところV.ゼレンスキーという41歳のコメディアン(役者・プロヂューサー)が各種世論調査で25%以上を集め一位を固め、二期首相を務めたティモシェンコ女性首相(2位、16−18%)と現大統領パラシェンコ(3位、14−15%)の二者が三週間後の決戦投票への進出を競っている状況である。面白いのは、このゼレンスキー氏は大学生時代から旧ソ連圏で最も人気のあった大学対抗政治風刺歌謡コンテストに何度も出て以来の人気者であり、2015年から2017年までウクライナTV(1+1)にて毎週放映された社会風刺連続ドラマ「公僕として」(Sarvant of People)、副題「次期大統領の物語」の大統領役を務めて大人気で、近くシーズンⅢの放映が始まる予定だが、選管がこれが本人の選挙キャンペーンの一環と認定するかどうか懸念されている。ゼレンスキーは、この連続風刺コメデイの題名通りの政党を設立登録し、その公認候補としての出馬した。

 公約は、大統領はじめ全ての議員、役人は、公僕であり、公明正大で国民に奉仕する者であり続けるための「保証制度」を作り、新制度のもとで次の新しい世代に国政を任せられるようにしたいとしている。
当然、現政権を含む既得権益者側からの「創造的な妨害」も予想されるが、決選投票に向けて「どうすれば国民の負託を受けられるか」、「どうすれば、国民の信頼を得られるか」と有権者への問いかけをインターネットでも続け、同時進行の視聴者参加番組仕立てになっており、「またどうせ口先だけで同じだ」「正直なコメデイアンだが、政治の素人だ」などの傍観的であった国民も覚醒してきて面白くなったようだ。三月にはもう少し詳しく報告したい。

(閲覧500万回のYoutube版でも見れる https://www.youtube.com/watch?v=_DXc_KyXdiU)

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