【沖縄の地鳴り】

「オール沖縄」が勝利した沖縄県議会選挙

平良 知二


 沖縄県議選(6月5日投開票)で、翁長知事の与党勢力が現有議席から3議席増やし、安定多数を確固のものとした。定数48のうち与党27、野党21、差が6議席に広がり、翁長知事は「大勝利である」と喜んだ。知事は「25議席で勝利」と見ていたようで、その意味では「大勝利」と言える。

 期間中、知事は与党候補の応援に駆け回り、街頭マイクで辺野古新基地反対を訴えた。与党系の各候補は「オール沖縄」を合言葉に新基地反対を強く押し出し、全体的に辺野古新基地問題が前面に出る選挙戦となった。7月の参院選も見据え、「オール沖縄」を強く意識しての戦いであった。野党系の候補者は普天間基地の閉鎖・返還は叫ぶものの、辺野古新基地についてはほとんど触れなかった。

 数字的には前回2012年の選挙でも当時の野党系(いまの与党系)は27議席を取っており、その4年前の08年選挙でも26議席を獲得していた。08年選挙は当時の与野党の議席が逆転した選挙で、仲井真知事には痛恨であった。今回の議席数は直近の過去2回の選挙と大きな変動はない。しかし、翁長知事が「大勝利」と自負するように、焦点の辺野古新基地問題を前面に打ち出し、反対を強く訴えて県民の賛同を得た議席だけに、意義は大きい。「オール沖縄」の積極性が選挙戦をリードし、翁長知事は辺野古新基地問題で県民から信任されたと意を強くしている。

 菅官房長官が選挙結果を「地域の事情」とし、「辺野古移設が唯一の解決策」とワンパターン発言をしているが、内心穏やかではないだろう。参院選に波及するからだ。

 選挙前、元海兵隊員による女性遺体遺棄事件が起き、県民に衝撃を与えた。全国的なニュースとなり、改めて米軍基地に対し厳しい目が注がれた。「伊勢志摩サミット」直前であり、日米両政府はいつも以上の対応に走らざるを得なかった。しかし、対策としては民間地域での米兵監視のパトロール強化で終わっている。

 基地被害を減らすためには、基地そのものを姐上に乗せるしかあるまい。今回の事件を見て改めて感じる。にもかかわらず、日米両政府は新基地建設にまっしぐらだ。「沖縄の負担軽減」を言いながら。こんな矛盾はない。消費増税再延期の安倍首相会見をテレビで見たが、身勝手な論理であった。この政権は憲法にかかわる安全保障問題でもみられたように、身勝手すぎる。根本的な打開策は「オール沖縄」が目指す地平にあるだろう。次の参院選が大きなヤマ場となるはずだ。

 (元・沖縄タイムス編集局長)


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