北の大地から 南 忠男
--北海道民 ・政権交代 ・政治改革に強い意欲--
~北海道新聞の世論調査から~
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●「民主党中心」の政権を望むが「自民党中心」をはじめて上回る
民主党のゴタゴタ騒動で再度逆転(共同通信の全国世論調査)
10月27、28の両日に実施した共同通信社の全国電話世論調査によれば、政権像について、「民主党中心」が42.4%と39.8%の「自民党中心」を2.6ポイント上回り、逆転したと報道されていた。その後の両党の党首会談でいわゆる「大連立構想」が語られたことと、民主党の役員会での反対意見の噴出により小沢民主党代表が辞任を表明した直後(ゴタゴタの最中)の11月5,6の両日実施した同社の全国緊急電話世論調査では、同じ政権像について、「自民党中心」が40.7%と、「民主党中心」の35.5%を5.2ポイント上回り、再び逆転したと報じられた。
これは今回の民主党のゴタゴタ騒動が、同党の政権担当能力の評価につながり、国民世論が敏感に反応したものと見られる。
●海自給油反対・政権交代・政治改革に強い意思表示
~北海道新聞の全道世論調査から~
冒頭に紹介した共同通信社の行った10月27、28両日の全国世論調査に先立つこと丁度1週間の10月20、21の両日北海道新聞が全道世論調査を実施し、集計結果を23日の朝刊に掲載した。この北海道新聞の世論調査では、「海自給油反対」「政権交代と政治改革」に対する道民の強い思いが示されている。さきにも述べたように、共同通信社の10月27、28日の調査と、同社の11月5、6日の調査では、両党の党首会談と民主党内のゴタゴタを挟んでの調査であり、民主党に対する評価が異なることは当然である。収拾後の調査(11月8日以降)もいずれ行われるであろうが、民主党に対する評価が上がるのか、下がるのか興味のあるところである。~筆者は、今回の民主党のとった収拾の方法、結果を含めて厳しい見方をするものである。~
しかし、10月20,21日の北海道新聞の調査と、10月27、28日の共同通信の調査では調査時点での政治状況に特別の変化もないので、両調査を比較することで、全国平均と北海道の住民の政治意識の間に大きな温度差のあることを読み取ることができる。以下、両調査の主要項目について比較し見る。
◎福田内閣の支持率
◆道民の世論調査(北海道新聞) 支持する 44.0%
支持しない 41.2%
◇全国の世論調査(共同通信社) 支持する 50.2%
支持しない 29.6%
◎テロ対策特別措置法案(海上自衛隊の給油活動継続)
◆道民の世論調査(北海道新聞) 継続反対 52.2%
継続賛成 42.0%
◇全国の世論調査(共同通信社) 継続反対 42.9%
継続賛成 46,4%
◎政権像・政権交代
◆道民の世論調査(北海道新聞) 民主党中心 50.2%
自民党中心 38.8%
◇全国の世論調査(共同通信社) 民主党中心 42.4%
自民党中心 39.8%
◎支 持 政 党
(◆道民・北海道新聞) (◇全国・共同通信)
自民党 31.6% 35.5%
民主党 36.2% 31.1%
共産党 6.0% 2.4%
公明党 2.4% 3.1%
社民党 1.8% 2.0%
支持政党なし 13.2% 23.9%
以上の比較で北海道民の政権交代・民主党中心の政権への強い思いを実感することができるであろう。
緊急の課題である、海上自衛隊の給油活動の継続や新テロ法に対しても反対する世論が多数であること。また、福田内閣の支持・不支持が拮抗していること(逆転の可能性も観測されること)、も大きな特徴である。
また、民主党の支持36.2%だけでなく、共産党の支持6.0%は全国調査と比較すれば大きく上回っている。更に重要なことは、「支持政党なし」が13.2%で、全国調査より、10,7%も少ない。これは道民の政治意識、政治活動参加への意識が非常に強いことを示している。
このように北海道民の政治意識を高揚させた背景は、小泉・安倍両政権の元で生活が痛めつけられ、中央と地方の格差がますます拡大された結果であるのは間違いないが、参議院選挙での与野党逆転、その結果を受けて衆議院の解散・総選挙で自民党政権を打倒するのだという、民主党の強い決意と姿勢が道民の支持を受けたことに間違いない。
安倍政権の末期、党首会談の申し入れに対して、国会で、国民の前でオープンの議論をすれば良いので密室談合には応じない。足して2で割るような妥協はしないこと等々を鮮明にした基本姿勢が道民の強い支持を得たものと理解できる。しかしその後の民主党のゴタゴタ騒動がどんな反響を呼ぶのか心配である。
(11月11日記)
(筆者は旭川市在住・元旭川大学非常勤講師)
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