大原雄の『流儀』

NHK会長らの居座りを許すべきではない

大原 雄

 NHKの会長になった籾井勝人という人物は、従軍慰安婦、靖国神社参拝、国際放送、特定秘密保護法などに関する会長就任会見(1・25)での発言内容問題、お粗末さもさることながら、基本的に、「権力との距離感」の取り方が判っていなくて、言論表現機関、報道機関の責任者として不適格だと、思う。言論表現の自由とは、何よりも「権力からの自由」でなければならないからだ。

 未だに居座ったままになっているNHKの不適切な会長と2人の不適切な経営委員(百田尚樹、長谷川三千子)を退任させることが、NHKにとっても国民にとっても大事なことだ。3人とも共通していることは、1)安倍政権がNHKに送り込んだ人物であるということ。2)権力との距離感の取り方が、言論表現、報道機関としてのNHKの責任ある立場にふさわしくないということ。基本的に資質に欠けていると、思う。

 不祥事が相次ぎ、NHKの経営感覚がお粗末だという時なら経営者出身の会長もまだしも、言論表現機関、報道機関としての見識が問われる時には、そういう資質のある人を会長にすべきだろうし、資質に欠ける人をいつまでも会長にしておくべきではない。NHK内部で出世して来た人物(内部では、「NHK官僚」と呼ぶ)に適切な人が居るとは必ずしも限らないが、広く言論界から選出しなおすべきだろう。

 3・11のNHK経営委員会席上で、上村達男委員長代行=早大教授が、改めて、「NHKのトップとして、(籾井発言の)中身そのものが間違っている」と批判しているという。経営委員会で、会長発言を真っ向から批判する意見が出されたのは初めてという(ただし、籾井会長は委員会欠席)。経営委員会の詳細は、未だ判らないが、この議事録は、いずれ、NHKのホームページ(経営情報)で、公開されるだろう。

 (筆者はジャーナリスト・元NHK記者・日本ペンクラブ会員・前理事)


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