■領土交渉は中断(水入り)の時期にはいった。 望月 喜市
作戦を練り直せ「4島(兎)を追うものが1島(兎)も得ず」
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Ⅰ. メドベージェフ首相の国後訪問まで
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メドベージェフ首相は7月4日、国後島を訪問した。この訪問は、日ロ間に様
々な評論を呼び興し、それがこだまの様に反応しあった。一口でいえば領土交渉
は中断状態に入ったと言える。これは「棚上げ」ではなく「水入り」である。ロ
シアの「独立新聞」は次の様に書いている。「棚上げ」はロシア語では「放った
らかす(положить под сукно)」、すなわち「忘れる」を意味
し、「水入り」は幾らかの時間を経て勝負に戻ることを想定している。
なぜ交渉が中断状態に陥ったのか諸要因を探るとともに、再開への手掛かりを
考えてみよう。
野田首相は6月18日、G20首脳会議(メキシコ・ロスカボス)でプーチン
大統領との初会談に臨んだ。そこでは北方領土交渉の「再活性化」で一致したと
伝えられるが、「交渉の再活性化」の言葉は見当たらないというのが真相のよう
だ。「プーチン氏は、当面は協議を外務省に任せる意向を示し、政治決断による
交渉進展を期待する日本側にくぎを刺した」(D120620)という。
東郷和彦元外務省欧亜局長は「6月18日の首脳会談では、プーチン大統領の
発言から、領土交渉を本格的にやろうとする熱意は感じられなかった。野田首相
の発言などからは、日本側の「気合」も感じられなかった」(D120624)と
いう。
この点についてビクトル・クジミンコフ、ロシア極東研究所上級研究員は「領
土問題の交渉解決には(政治基盤の安定した)強い政治家が必要だ。ロシア側は
野田首相をそうした人物とはまだみなしていない」(Y120620)と指摘し
ている。こうしたロシア側の冷めた態度は、6月2日、森氏派遣を打診した野田
首相に対し「国内事情で大統領の都合がつかない」とやんわりと断ってきたこと
にも明白に表れている。
ここまでが、メドベージェフ首相の国後訪問までの状況だった。
注:「ロシアのトップとして北方領土を訪問したのは、メドベージェフ氏が初め
てではない。ソ連解体の前年90年5月のロシア人民代議員大会でロシア最高会
議議長(実質的なロシア共和国の元首)に選ばれたボリス・エリツィンが、その
90年の8月にナホトカの住民集会に出席したあと国後島に飛んでいるのだ。し
かも、島を視察したときにエリツィンは、日本に与えたリップサービスをすっか
り忘れて、「こんな美しい土地をだれにも渡すことはない」と語った。酔った勢
いだったかもしれないが、このことをマスコミも外務省も忘れているかにみえる。
」(中澤孝之元時事通信員による)
メドベージェフ首相、3日にも択捉訪問(D120626)(要約)
ロ首相筋は25日、メドベージェフ首相が北方領土を含むサハリン州を「訪問
する予定だ」と述べ、択捉入りの計画を認めた。早ければ7月3日の訪問に向け、
択捉島市街地清掃などの準備が進む。領土交渉の「再活性化」という、日ロ首脳
会談での合意直後に浮上した「寝耳に水」(日本外務省筋)の計画。
ロシア側は、協議入りを前に実効支配の現実を突き付け、日本側の譲歩を引き
出す狙い。一方の日本側は、訪問を容認できない原則的立場と、交渉進展への期
待との間で板挟みとなった。ロ外交筋は、メドベージェフ氏の択捉訪問は「首相
自身の考えだ」と述べ、プーチン大統領とは無関係と強調する。しかし外交の全
権は大統領が握っており、対日関係に直結する択捉訪問を「メドベージェフ氏が
単独で決めるとは考えにくい」(日ロ外交筋)。
まずロシアによる領有の正当性を日本に認めさせた上で、最大でも歯舞、色丹
の2島引渡しで決着を目指す姿勢を変えていない。ロシアの実効支配という圧倒
的な優位を明確にしたうえで交渉に入り、日本を譲歩に追い込む。もし日本側が
非難するなら交渉を再び棚上げにすればよい。日本側が反発すれば、先の首脳会
談でできた「領土問題解決へのいい流れ」(外交筋)が白紙に戻る可能性もある。
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Ⅱ. 訪問を露首相開始(120702~04)
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メドベージェフ首相は2日、ウラジオストク入りし、5日までの極東訪問を開
始した。ウラジオストクでは、APEC首脳会議の準備状況視察や、極東シベリ
ア発展に関する政府会合を開いた。3日、サハリン州のユジノサハリンに到着。
「クリール諸島(千島列島)社会発展計画(07~17年)」に関する会議に出
席後、択捉訪問は天候悪化のため国後訪問に急きょ変更し、古釜布(ユジノクリ
リスク)の港湾などインフラ整備の進捗状況を視察した。
ゴロジェツ副首相、イシャエフ極東発展相、クライニ漁業庁長官など10閣僚
が同行した。首相は国後入りする直前「クリール諸島ははロシアの最果ての地だ
が、(生活水準が)最も引き離された地域にしてはならない」とのべ、本土並み
に島の生活水準を引き上げるべきだとの考えを示した。これとの関連で、国後訪
問前に立ち寄ったサハリン州での会議で、色丹島での病院と住宅建設計画につい
ても言及。国後では「島のスポーツの機会を拡大する」と表明した。
この件では7月11日、自らが党首である与党統一ロシア関係者とのモスクワ
郊外での会合で、「クリール諸島(北方領土を含む千島列島)はロシアの極めて
重要な一角だが、資金投入があまりにも不十分だ」と指摘して、島々の開発に強
い意欲を示した。建設管理などについて同党に依頼した。プーチン氏の2島引渡
し発言に含まれる色丹での施設建設に言及したのは初めてである
(D120712)。
色丹島をめぐってはこれまで、ロシア政府の「クリール諸島社会経済発展計画」
に基づき、ヘリコプター用空港を建設していることや、北朝鮮労働者を受け入れ
て住宅建設を進めていることが明らかになっている。
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Ⅲ. ロシアは次の様に反発した。(モスクワ共同)
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日本外務省が「極めて遺憾」と批判したことについて、ロシア上院のシニャキ
ン外交副委員長は3日、インタファクス通信に対し、ロシア内政に対する「容認
しがたい干渉だ」と述べ、強く反発した。副委員長は「南クリール諸島(北方領
土)はロシア領。首相は領内をいつでも訪問する権利がある。日本側の立場は全
く受け入れられず、ロ日関係の善隣的性格と相いれない」と強調。さらに日本の
政治家は第2次世界大戦で連合国側に無条件降伏したことを思い出すべきだとも
主張した。
一方、プシコフ下院外交委員長は同日、地元メデイアに対し、批判に批判で応
ずることは「賢明でない」と指摘。問題を大きくすることは「理性的でない」と
述べ、メドベージェフ氏が大統領だった2010年に同島を訪問した後のような
両国間の非難の応酬を避けようとする雰囲気もつよい。
【モスクワ共同】ロシアのプシコフ下院外交委員長は7月11日の記者会見で、
メドベージェフ首相の北方領土・国後島訪問後、日露関係がぎくしゃくしている
ことについて「日本側の抗議に対し、ロシアは十分抑制的に対応した」と指摘、
問題は日本の反応にあるとの考えを示した。委員長は「抑制的対応」の例として、
首相が「日本の反応は全くどうでもいいことだ」とコメントしたことなどを挙げ
た。しかし、日本ではこの発言が強硬姿勢の表れと受け止められている。
委員長はまた、「静かな環境の下」で領土交渉するとの6月の日露首脳会談で
の合意と、今回の国後島訪問との間に「矛盾はない」と主張。矛盾は対ロ関係発
展を望みながら領土問題で抗議し、神経質に反応する日本側にあると強調した。
さらに、同氏は国後島に対する日本の抗議により、「(ロシア首脳の)島への訪
問が増えるだろう。神経質な反発は悪影響しか与えない」と述べ、日本側をけん
制した。
クライニ長官は5日の記者会見(モスクワ)で、国後と択捉に1億6千万ドル
(約128億円)を投じ、最大で8つの水産養殖施設(択捉に6~7カ所、1カ
所を国後)建設する計画を発表した。こうした事業は地政学的にも、雇用機会創
出など社会的にも重要だと述べ、同島の一層の“ロシア化”が必要だとの考えを
示した。ロシアの新聞は「最も重要な事が起きた。クリール諸島から労働人口の
流出が止まったことだ」との首相の言葉などを実務的に報じた。
この時期に合わせ、ロシア国防省は5日までに、オホーツク海を含む極東地域
で、太平洋艦隊を中心に計7千人が参加する大規模な軍事演習が進行中だと発表
した。同省によると、演習は6月末から7月初旬にかけ8日間続く。演習区域は
オホーツク海南部とサハリン州、ウラジオ周辺。軍艦40隻、その他艦船20隻、
飛行機・ヘリ計40機が参加し、海上目標への発砲や対空射撃などの訓練が予定
されている。同省は、石油ガス施設へのテロ対策など「極東の安全保障確保」が
目的と説明。「仮想敵国は定めていない」と強調。
アナトーリー・コーシュキン氏(ロシア政府系シンクタンク「戦略研究センタ
ー」の上級専門官)は(「ネザビーシマヤ・ガゼータ:独立新聞」7月11日付
け)で、次の様に書いている。「島々を引き渡した場合、そこにロシアを狙う軍
事基地が出現する恐れがある。ロシアが南クリル(北方領土)から出て行き、そ
れらの島を日本の管理下に引き渡せば、そこに日米軍事同盟の新たな前進配備線
が作られる。そういったことは起きないと、いくら確約されても、ロシア軍がド
イツから撤退したあとの経験が証明している。「北大西洋条約機構(NATO)
を東方に拡大しない」ことが約束されていたのだ。」
「日本は基本的には東アジアの市場への投資と開発をやり尽くした。この地域
の諸国は経済的な自立を達成し、最近までそうであったようには、もはや日本の
支援を必要としていない。困難に直面している日本経済を支えるためには、開発
が待たれているロシアの極東とシベリアの天然資源が一段と重要性を増している。
特に、原発の操業停止の結果生じている日本の電力不足を補うために、この地域
に広大なエネルギー網をつくることが可能である。」
こうした、ロシア側の一連の行動や評論は、4島に関する日本への配慮を全く
かなぐり捨て、「本土並みに千島を開発する。そのために必要なら、国の資金を
一層投入するばかりか、中国、韓国などの外国資本と労働力を誘致する。日本が
望めばこうした共同行動への参加を歓迎する。島問題の最終解決は当分先のこと
だ。なにより交渉相手の日本側の政権基盤は現在のところ脆弱だ。基盤の安定し
た政権であると確信できるまで、本格交渉は不可能だ。」といった情勢判断がロ
シア側中枢部に定着したとみてよいだろう。
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Ⅳ. 日本側の反応
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ロシア側の厳しい主張に対し、日本側の反応はどうか。
今回のメドベージェフ首相の国後島訪問についての日本側の反応は、政府、外
務省、マスコミ、評論家・知識人、返還運動推進団体など、立場の相違で、表現
はまちまちであるが、一様にネガチブであった。
★官房長官が遺憾表明 訪問は「日ロ関係に水差す」(D120704):藤村
修官房長官は7月4日の記者会見で、ロ首相が3日に国後島を訪問したことに対
し、「日本の立場と相いれず、極めて遺憾。日ロ関係の前向きな雰囲気づくりに
水を差すものだ」と述べ、強い不快感を示した。
野田総理は、国会答弁で「4島訪問は日本の立場と相いれない」とのべ、佐々
江賢一郎事務次官は、アファナシェフ駐日ロシア大使を同省に呼び「国後島は日
本固有の領土であり極めて遺憾だ。懸念を表明する」と抗議した。これに対して、
大使は「ロシアの首相の4島訪問はあくまで国内問題だ」との立場を伝えた。
★元島民や返還運動関係者の声:千島歯舞諸島居住者連盟宮谷内亮一・根室市部
長(69)は、「前回(2010年11月のメドベージェフ大統領(当時)の国
後訪問)も不安定な日本の政治を見透かすように来た。実効支配を見せ付けて領
土交渉を有利にしようとする戦略に見える。政府に毅然とした対応と領土交渉の
加速化を求めたい」と話した。
同連盟の小泉敏夫理事長は「腹がにえくりかえる。(高齢の)我々島民には残
された時間がない。強力な領土交渉が出来るよう、一日も早い政治の混乱収拾を」
と要求。長谷川根室市長「ロシアは本気で2島返還で決着をつけようとしている。
このロシア側の行動を阻止できない野田佳彦首相と玄葉光一郎外相に抗議する。
しかし騒ぐのではなく、領土問題を前進させることが第一だ」と述べ、冷静な対
応が大切だとの認識を示した(M120704)。
★この問題に終始熱心に取り組み、沢山情報を伝えている北海道新聞では、社説
で次の様に書いた。
〈社説〉北方領土訪問(D120629)(要約):メドベージェフ首相が択捉
島を訪問すると伝えられている。6月中旬のプーチン大統領と野田首相との会談
で、「話し合っていく用意」を表明し、領土交渉の「再活性化」で一致したばか
りだ。メドベージェフ氏が北方領土を再訪問すれば対話の機運はまた冷え込む。
経済交流にも悪影響を及ぼしロシアの利益にもならない。両国関係を前進させる
ため、北方領土入りを自制するようロシアに強く求めたい。
両国間に戦後刺さったままのとげは抜くほかない。日本に揺さぶりを掛けるよ
うな首脳の領土訪問は信頼関係づくりに逆行する。実効支配の現実を示し日本の
譲歩を狙っているとの見方もある。政府は毅然と対応してほしい。外務省は北方
領土訪問情報を知らなかったという。ロシア政府とのパイプがやせ細っていると
すれば心もとない。訪問を思いとどまるようロシアに強く迫るべきだ。
★一般市民の声:政府は領土交渉具体策を作れ
「国後を訪問したメドベージェフ首相は、現地で地元住民に対し『領土は一寸た
りとも渡さない』と語ったという。返還を切望する日本の国民感情を踏みにじる
行為であり、激怒を禁じえない。『戦争の結果、獲得した領土』とロシアは主張
するが、係争中の土地であることは間違いない。ロシアは今後も政府要人らの訪
問を繰り返し、実効支配を強める考えだ。断じて認めるわけにはいかない。だが、
日本が中長期的な外交戦略を欠いたまま、相手側の変化を欠いたまま、相手の変
化をただ待っていても、それは期待外れに終わるだけだ。政府は、日ロ双方の国
益を直視し、領土交渉の具体策構築を図るべきだ」(D120714:佐藤賢一
(88)根室市)。
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Ⅴ. 筆者の積極的主張
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(1)日本の各分野の見解について:最後に引用した佐藤賢一氏の意見がもっと
も代表的な日本の民意であると思う。しかし、ロシア政府要人の訪問が、実効支
配を強めることになるだろうか。実効支配はもっと深いところで毎日進行してい
るのではないか。つまり4島の日本抜きの開発は毎日進行しているのだ。
この事実を見ないで要人の訪問に怒りをぶっつけても、言葉は悪いが「犬の遠
ぼえ」でしかない。要人の訪問は、島民の生活水準の引上げに貢献している。そ
れを止めろという権利は無い筈。では、具体策としてどうしろというのか。僕は
この際、島の共同開発に日本も協力すべきだと思う。
そうしても実効支配の深化を強化することにはならないし、経済的利益は中韓
の資本にさらわれるのを唯みている手はない。返還運動のリーダーに言いたいの
は、政府に向かって陳情するだけでなく、自らの主張を国民に向かって発信すべ
きだ。僕自身、リーダーにメールを送っても返事を頂いたことはない。日本人は
冷静に討論することが下手だ。返還運動青年部の声を聞きたいものだ。
(2)強く自制を要求しても、要人訪問を阻止できないのは自明だ。今度の場合
でも、日本の抗議を聞き入れ訪問取り止めをすれば、「自国が統治している領域
に要人が入域を止める」ということになり、いわば内政問題への干渉を認めるこ
とを意味するのだから、ロシアがこれを受け入れる筈がない。つまり、日本の抗
議は確実に無視される。それでも抗議するのは、日本外交の無力さ、外交戦略の
下作を内外に露呈すること以外何ものでもない。
(3)現在、領土問題を解決して平和条約を結ぶ、という展望は不透明で、この
先何年かかるかわからない。この状態で、解決するまで島の開発をストップせよ、
という言い分は無茶で、島民を初めロシア側の反発を買うばかりだ。「いやスト
ップせよとは言わない、せめて、日本のメンツ(?)をたてて、要人の訪問だけ
はやめてくれ」とでも言いたいのだろうか。要人訪問がなければ、開発速度はそ
れだけ緩慢になる。開発の重さは日本のメンツより重いのだ。
(4)発想を180度転換せよ。「日本の領土と自認している地域に、ロシアは
資金を投入して、島のインフラ整備を懸命にやってくれている」と考えられない
だろうか? つまり将来日本が受取ることになる島を整備し、島の資産価値を汗
水たらして引上げてくれているのだ。この際、メドベージェフ氏の4島訪問を歓
迎するとまで言わないまでも、せめて黙認することにしたらどうか。
ついでに、日本の資本の4島開発への参加を奨励し、根室との自由貿易や、元
島民がロシアのビザを取得して島にわたることも黙認するのだ、そうすれば、柔
軟になった外務省の方針を歓迎するロシア側との、4島交渉が加速化し、平和条
約の締結いう日ロ外交の共通のゴールが近くなるに違いない。
まとめ: 政府筋も返還運動論者も、4島返還では交渉がまとまらないと実感し
ているのだ。
森氏は次の様に言う「プーチン氏は、大都市と極東シベリアとの格差を埋め極
東をロシア経済の牽引役に押し上げたいと考えている。資源に依存するだけでな
く、製造業を極東に根付かせたい。そのために技術力のある日本から学びたいと
いう気持ちがある。ことし3月にプーチン氏が「引き分け」という日本語を使っ
て領土問題解決に意欲を示したように、解決のためには双方が少しずつ我慢する
しかないだろうと思う。」
民主党の議員諸氏も、4島論でなく妥協論を展開したいが、世論の反発を恐れ
て手がでないままになっている、という。運動論としては、回り道でも、日ロ交
渉の歴史的経過を学習し、不法占拠論や固有の領土論の根拠法「特促法改定」を
卒業し、“ロシアは怪しからん”“ロシアは嫌いだ”という国民感情を解きほぐ
していくことが必要であると考える。[2012年7月17日]
総合的な論考は「昨今の日本を巡る領土問題について」
(2010年11月12日の極東研主催の討論会の報告)
http://www.ne.jp/asahi/kyokutouken/sono2/101112touronkaitei.pdf
を参照されたい。(筆者は北海道大学名誉教授・NPO法人ロシア極東研代表)
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