■警戒される?日本の若者      岩田 尚子

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 この春の連休前“関東の大学ではしか流行か?”のニュースを聞いて、1987
年生まれの次男の母子手帳を出してみました。
あくまで私の記憶が正しければですが、次男がはしかの予防接種を済ませた数
ヶ月後、「予防接種の回数を減らして保護者の負担を減らす・・」“という目的
のために、“新三種混合”という名の麻疹とそれまでの三種混合のワクチンを一
緒にしたワクチンが登場し、それを接種するようになっていったと思います。 
 しかし、そのワクチンは従来のものより副作用を起こした子供さんが多く報告
され“新三種”は一年もしないうちに姿を消し、当時住んでいた福岡市の“市政
だより”、新聞等にも「三種混合と麻疹は以前のように別にして、必ず接種する
ように・・」との注意、警告の文は幾度となく掲載されたと記憶しています。

 次男のはしかの予防接種日は昭和から平成へと年号が変わって間もない1989
年1月18日と記録されていました。この時期こそが、日本のバブル全盛期だっ
たのでしょうか?
 私にとっては、まさに“育児に追われて・・”の日々でした。言葉もなく、排
泄もなかなか自立しない最重度の障害を持つ長男の下着の洗濯と中耳炎を繰り
返す次男の病院通いで。その中で予防接種を受けさせることは親の義務だと思っ
ていました。また、長男が通った障害児通園施設で、予防接種を受けたくても、
それができない疾患を持って生まれる子供がいることも知りました。

 今年ほどではないにしろ、数年前のはしかの流行時に、「はしかのために英語
圏などでは日本の幼児は警戒されて・・」との記事が雑誌に載っていたこともよ
く覚えています。

 この度の“はしか”の報道で大きな疑問を感じていることがあります。「今時
の大学生は体力がなく、やわで・・」等、若者批判ばかりが目立ち、3割が未接
種(麻疹予防接種)だと報道はしても、親の責任、義務を問う声が殆ど聞かれない
ことです。5月下旬にカナダに修学旅行に向かった女子高生の一人が、到着後す
ぐにはしかを発症して入院し、その一行は全員“抗体検査”が終了するまで隔離
されたことを報道したTV局がごくわずかだったことにも首を傾げるばかりで
す。夏休みに“短期語学留学”等を計画している大学生も多いのではないでしょ
うか。注意を促すために「抗体検査をして、それを英文で書いてもらってから海
外へ・・」と何故TVで呼びかけないのだろうか。アメリカなど、「はしかは制
圧済み」と言われる国々からは、先に書いた幼児だけでなく日本人は今回の高校
生のように、若者も警戒される存在となるのでしょうか。

                さいたま市       岩田尚子

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