≪コラム≫【あなたの近くの外国人(裏話)(42)】

東京ベイインターナショナルスクールの完全コロナ対策イベント

坪野 和子

  間もなく解除される予定の二回目の緊急事態宣言。痛し痒し…。解除の方向と
なった翌日、高速バスの料金がいきなり1,000円上がりました。

 さて、私、先月、休載させていただきました。少し…と「かなり」の中間で参
っています。コロナ・パンデミックがはじまったほぼ1年前、私はポジティブで
した。その当時、ビジネス日本語クラスは、すでに2月中旬からインドIT企業
のクライアント会社からオンライン授業に切り替わるようにと、お達しをいただ
き、それ以前からパキスタン人生徒たちにオンラインでも教えていたので、いろ
いろと試みができると思っていました。ここまで長期化するとは思っていなかっ
たので、ある意味わくわくしていました。甘くみていました。

 一時、緊急事態宣言解除されて教室授業をはじめましたが、警備の鍵の要領を
忘れていたり、暗くて転んでしまって、その間に警備が来てしまったりと、不測
のミスを起こしてしまいました。さらにこの間、世話をしていたパキスタン人留
学生のスピーチの指導、スリランカ人の会社の書類の手伝い、インド人教え子の
在留資格延長のためにみんなが書いてくれた嘆願書の校正と私自身の嘆願書、ま
るっきりボランティアでやっていました。

 そして二回目の緊急事態宣言中、私は、教えるための日本語と配偶者(関西人)
とのコミュニケーションのための日本語しか話していません。買い物のレジでは
マニュアル通りの言葉しか聞こえてきません。さらに私の英語は「日本人なのに
インド英語」と言われていたにもかかわらず、日本語英語化してきました。母語
である日本語も客観的におかしくなっていました。

3月初めに高校に2回出校し、先生がたや事務職員、日本人生徒の日本語ネイティブと話しをして、自分の日本語が戻ってきました。英語はまだおかしいのですが。その出校で、私の学習対象者である生徒たちの心から喜んでいる顔を見て、自分を必要としている人間の存在が自分にとっていかにかけがえのないものかを感じました。そして、直接のコミュニケーションがいかに大切か、人と会って話したり、顔や身体の動きでお互いの空気を感じ合ったりする非言語コミュニケーションがいかに大切か肌で感じました。

1. 東京ベイインターナショナルスクールの学園祭のお知らせ電話がきて

二回目の緊急事態宣言が出てそんなに日にちが経っていないところに出席の打診がきました。日本人定番「もう少し考えさせてください」という返事をしました。行かないほうがいいかなと最初考えましたが、途中からむしろこういう時に行ったほうがいいのではないかと考えが変わりました。

外部の人を入れずに関係者のみのイベント。本来なら入学希望者の家族など外部の人たちにも観てもらいたいイベント。校内で行うはずが近くのホールを借りて密を避けて行うイベント。わが子を見たい保護者たちのためのイベント。頑張っている姿を保護者に観てもらいたい園児・児童。そういう様子をわが目で見てその場を共有すべきではないかと。…行くことにしました…それを理事長に伝えました。

2.完全コロナ対策で幼稚園+小学校1年生クラスの発表

 会場の亀戸駅前のホール。階上につくと受付で3人の男の子たちが消毒・検温・記名を担当していました。「子どもは何年生ですか?」…え?日本語?あまりに流暢だったので戸惑ってしまいました。後で知ったのですが、日本人片親、日本生まれのインド人、ネパール人。特にネパール人の子はネイティブと言っていいでしょう。こういうバイリンガルたちは日本にとって貴重な人材となるはずです。外国に持っていかれないようにしたいものです。

 第一部は、日本でいうところの幼稚園と小学校1年生までの発表。会場に用意されていたのか、学校で用意したのかはわかりませんが座席にはソーシャルディスタンスのための紙が貼られていました。
画像の説明
画像の説明
世界共通、我が子が一番。

画像の説明
本来、学園祭・定期演奏会・卒園式の3回のイベントを凝縮しての開催。
画像の説明
画像の説明
画像の説明
インターナショナルスクールならではのダンス。各国の言葉を歌いながら。
画像の説明
幼稚園の卒園式。
第一部終了しました。私自身が可愛い子どもたちの姿を大いに楽しみました。

3.小学校の部…児童だけでなく先生も成長していた

休憩みたいな2時間を過ごしました。久しぶりに外食をし、本屋に行きました。なんだか解放感がありました。再び会場へ。この2部制は正解だと感じました。まずはゲストグループによる和太鼓のパフォーマンス。そして2年生から6年生の発表と表彰が行われました。

画像の説明
様々なジャンルのレパートリー。「きよしのズンドコ節」まで。

画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明

南中ソーラン。私が中学教員だったころ、学校の荒れを止めるのに必死だった教育現場でロック調にアレンジされた民謡と一世風靡セピアのダンスをミックスした生徒ウケのダンスを知って感動したことがあった。これをインターナショナルスクールで指導した学級担任は私のパートナーティーチャー日本人。この1年で彼女の先生としての指導力が上がっていることがわかりました。あまり英語ができなかったのですが、言葉を越えた児童への思いが完全に通じています。英語もうまくなっていました。

若さのすばらしさを実感しました。…実は彼女は私より優れているのは、絵を描いて示したり、アクションを通して児童へのケアを行ったりする能力があるのです。昨年度の選曲「花笠音頭」と同じく、日本の小中学校の運動会・体育祭定番です。昨年度以上に児童が活き活きと踊っていたのを観て「教育は教師と学習者の信頼関係」だとあらためて実感しました。彼女はこれが日本の学校教育での定番になった背景は知っていないかもしれません。2年目に選んだこの楽曲は荒れがあるのではないけれど、コロナ禍で不安を持っている児童たちには最適な選曲だと感じました。

画像の説明
画像の説明
インド系インターナショナルスクールならではのヨガ・パフォーマンス。
後で日本人の保護者が感動していたことを私に伝えてくださいました。保護者の方のお子さんはこの学年ではないのですが、すべての学年でヨガの授業があります。

4.ヤスミーン校長の教育理念
画像の説明 
画像の説明 
今、やっていることだけでも、最先端。
ですが、彼女は、もっと先を考えています。

5.私のために行って良かった
私のビジネス日本語クラスの生徒が児童のパパで、パパがマスクを外して挨拶してくださいました。奥さまは、彼のお母さんかおばさんかお姉さんみたいだと(日本人年齢不詳)思っていて、お子さんたちは「パパの先生」。ご一家に会えました。お子さんのためにマスクのプレゼントをしました。泣きたい…感動しました。子どもたちの姿、私が癒された。そんな一日でした。
次回、ジェンダー問題。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップバックナンバー執筆者一覧