■ 俳句                       富田 昌宏

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   霜柱踏むでせらるる牛の市   

  遺骨なき兵士の墓や霜柱

  築百年の母屋浮かせて霜柱

  薬喰いみな一病をもつ齢(よわい)

  温泉(ゆ)の宿で駄法螺吹き合う薬喰

  肩書きを捨てて柚子湯に侵りけり

  冬夕焼格子戸古き酒造蔵

  惚け除けの地蔵の顔や冬うらら

  余生とは嫌いな言葉落葉掃く

    注)薬喰=寒中鹿の肉を食うこと

         (月刊俳誌「渋柿」代表同人)

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