中国公船の接近の意図は何か ー2つの文書と3つのキーワードー

岡田 充

尖閣国有化から1年           

 日本政府による尖閣諸島(中国名 釣魚島)の三島「国有化」から9月11日(2012年)で丸一年。尖閣周辺海域には、中国の公船が毎日のように現れ、海上保安庁の巡視船と並走ゲームを演じている。メディアはそれを「中国当局の船が尖閣周辺の領海や接続水域を航行するのは○×日連続」などと報道。イチローの4000本安打記録じゃあるまいに…。中国公船は「9・11」以前は、一部例外を除けば12カイリには入らないようにしていたから、中国の対応は「国有化」を境に明らかに変化した。

問題は接近の意図である。中国が力ずくで尖閣を奪おうとしているという不安を抱く読者は多いのではないか。それが引き金となって日中戦争に発展するのではと、最悪のシナリオを描く人もいるかもしれない。現に、安倍晋三政権を支える識者は、中国の「武力行使」を念頭に、自衛隊が防衛出動しやすいよう「出動要件を見直したい」(柳井俊二・元外務次官インタビュー「行使容認の答え出てる」共同通信 2013年8月23日配信)と公言する。こうした報道が大きく報じられれば、中国が武力で「尖閣を奪おうとしている」と不安を抱くのも無理はない。

だがちょっと待って欲しい。公船接近をもって、「奪おうとしている」という結論を引き出すのは、飛躍というものではないか。いったいこの1年、尖閣問題をめぐって何が変わり、そして何が変わっていないかをまず冷静におさえてみよう。そして、公船接近のように「変化したもの」の背後にある意図は何かを正確に把握しなければ、対応を誤ってしまう。相手の意見に耳を傾け、何を求めているのかを受け止める努力なしに、「領土ナショナリズムの魔力」から自分を放つことはできない。

習近平発言のポイント

最初に、中国の尖閣政策に変化があったかどうかを検討しよう。比較するのは2012年9月10日、中国外務省が「国有化」への基本的立場を明らかにした声明。それに2013年7月30日、習近平総書記が中国共産党政治局の学習会で述べた発言である。

まず習近平発言。政治局集団学習会で習は、海洋権益をめぐる対立について「『主権はわが方に属するが、争いは棚上げし、共同開発する』との方針を堅持しなくてはならない」と述べた。同時に「国家の核心的利益は犠牲にできない」とも述べ、海洋権益を断固として守るよう指示したという。発言のポイントは(1)主権は我々に属する(2)領有権争いは棚上げする(3)共同開発―の3点。尖閣と明示的に指しているわけではないが、尖閣や南沙諸島をめぐる領有権争いに対する中国の基本姿勢と考えてよい。

ではこの基本姿勢はこの1年で変化があったのだろうか。昨年9月10日の中国外務省声明をもう一度読み直してみよう。声明のポイントは二つ。第1は「領土主権の侵害は座視せず、日本が我を通すなら重大な結果は日本側が引き受けねばならない」という強硬姿勢。第2に「双方の共通認識と了解事項に立ち返り、交渉によって係争を解決する道に戻るよう強く促す」という対話姿勢である。硬軟両様だ。中国公船の常時接近という新たな変化は「領土主権の侵害は座視せず」という強硬姿勢の具体的表れであり、国有化への“報復”と言ってもいいかもしれない。

第2の「共通認識」と「了解事項」とは何を指すのだろうか。声明は「両国の先輩指導者は大局に目を向け、『釣魚島問題をそのままにし、今後の解決に待つ』ことで重要な了解と共通認識に達した」と書く。だから「共通認識」「了解事項」とは、領土争いを「棚上げ」して、交渉によって争いを解決することを意味する。

こうしてみると、外務省声明と習発言の内容に大差はないことが分かる。「共同開発」は後述する。習発言について新華社のネット版「新華網」は、8月2日付け論評で「棚上げと共同開発は、鄧小平が1970年代末から何度も提起しており目新しい内容ではない」とする一方、「その前提となる『主権はわれわれに属する』は往々にして無視しがち。習主席が特に強調したのは、中国の海洋利益を侵害しようとする国家の企みを徹底して断つことにある」と解説した。

論評はさらに「争いのある場所については、われわれは座ってゆっくりと話し合えること、争いを横に置き、平和共存の原則から争いのある場所を共同開発できることを世界に向けて発信した」と説明している。これを読めば、「公船の常時接近」の意図は、中国の領有権を実際行動で示すことにあり、「武力で奪う」ことにはない。なぜなら続いて、争いを棚上げして交渉を通じて解決することをうたい、「落としどころ」として共同開発を展望しているからである。

「核心利益」は「武力行使」と同義ではない

 この説明だけでは、中国の意図は納得できないという読者もいるだろう。外交文書では、いくらでもきれいごとを並べることができるし、中国は尖閣諸島を武力行使も辞さない「核心利益」(「核心的利益」と表記することも)に当たると言い始めているではないか―と。

そこで中国の意図を読み解くため、三つのキーワードを用意する。「核心利益」「棚上げ」「共同開発」である。まず「核心利益」。次の新聞記事の3本見出しをみてほしい。

◎日本に「核心利益」明言  尖閣で中国軍、議員団に  安倍政権揺さぶり 
これは、共同通信社が8月19日、北京発で「特ダネ」として配信した記事の見出しである。中国軍系のシンクタンクの軍人が、訪中した日本の超党派国会議員との会談で、尖閣諸島について、武力行使も辞さない問題に使う「核心的利益」の対象と明言していたというのがニュースのポイント。その位置付けとして記事は①尖閣国有化以降、中国側が日本側に直接、尖閣を「核心的利益」と明言したのは初めて②尖閣や歴史問題で鋭く対立する安倍政権に揺さぶりをかける意図―の2点を挙げた。

いったい記事のどこがニュースなのだろうか。記事にはリード部分で「武力行使も辞さない問題に使う『核心的利益』の対象」という形容詞がついている。つまり、「核心利益」と明言したことは、中国が武力で尖閣を奪いかねない強硬姿勢の表れと筆者とメディアが判断したからニュースになったことが分かる。検討しなければならないのは、その判断が正しいかどうかである。

「核心利益」については本稿「海峡両岸論第19号」(2011.02.20)「中国の核心利益を解剖する 米中共同声明と南シナ海」で、中国当局や研究者の論文を紹介しながら、その定義を詳述した。直近では「21世紀中国総研」HPの「師弟対談」第7号(2013.05.11)で、桜美林大の高井潔司と北海道大の西茹が、「核心利益」に関するメディア報道を俎上に乗せた。特に、中国外務省の副報道局長が記者会見で「核心的利益に属する」と答え、メディアが大きく取り上げたことを「欠ける慎重な報道姿勢」と批判している。これだけ大手メディアのミスリードを指摘しているのに、なぜ同じ誤りを繰り返すのだろう。われわれの発信力の弱さを痛感せざるを得ない。

内政と外交を混同する報道

徒労感はあるが、再度説明する。結論を先に言えば、「核心利益」には二つのカテゴリーがある。第1のカテゴリーは、台湾やチベット、新疆ウイグル両自治区など内政上の主権を「核心利益」と呼ぶ場合。この場合「核心利益は、国家の存亡にかかわるため後退、協議、取引は許されない」とされ、武力行使を含むあらゆる強硬手段をとってもこれを守るのである。(中国社会科学院世界経済政治研究所国際戦略研究室の薛力副主任)。

第2のカテゴリーは尖閣、南沙諸島など、外国と領有権争いがあるケース。この場合の説明は、回りくどく曖昧である。先の中国外務省の副報道局長は記者会見=修正バージョン=で次のように説明した。「中国は断固として、国家主権、国家の安全、領土保全などを含む国家の核心利益を擁護する。釣魚島問題は中国の領土主権問題に関わっている」(「中国坚决维护国家核心利益,包括国家主权,国家安全,领土完整等。钓鱼岛问题涉及中国领土主权」)。内政と外交ではそもそもレベルが異なる。尖閣では先の外務省声明と習発言で紹介したように、棚上げと交渉による解決を呼び掛けているのだから、「後退、協議、取引は許されない」第1のカテゴリーとは違うことは明白であろう。

尖閣国有化が顕在化した2012年5月13日、北京での日中首脳会談で、温家宝前首相が野田首相に「(中国の)核心的利益、重大な関心事項を尊重することが大事」と述べたと報道された。この時も多くのメディアは「尖閣諸島は中国の核心利益」と大きく報じた。ただ発言をよく読めば、尖閣を明示的に「核心利益」と呼んだわけではない。先の外務省副報道局長の修正発言と全く同様の表現である。

こうしてみれば、メディアが第1と第2のカテゴリーを分けずに、「核心利益」を「武力行使」と同義として使い、その結果「中国は武力で尖閣を奪おうとしている」という誤ったシグナルを読者に伝え続けていることになる。では、中国はなぜ明確にカテゴリー区分けをしないのか。

三つの理由が考えられる。第一に日本メディアの誤解に乗じて、核心利益を使うことで、中国の強い意思を伝えることができる。同時に中国国内の強硬な領土ナショナリズムの突き上げをかわす効果もあるかもしれない。そして第三は、明確に定義することは、政策選択の幅を自ら狭める結果をもたらす。尖閣周辺海域で、日本の公船と衝突するような事態が発生した場合、結果的に武力行使を伴う可能性は否定できない。

最初に取り上げた「特ダネ」報道に話を戻す。この記事は二重の意味でミスリードしている。第一は「核心利益」を「武力行使」と同義として扱い、ニュース価値を高めようとしたこと。第二に「尖閣国有化以降、中国側が日本側に直接、尖閣を『核心的利益』と明言したのは初めて」という位置付けの誤り。発言したのは軍系の民間シンクタンク研究者にすぎない。中国政府や軍を代表する当局者ならともかく、民間研究者の発言をもって「中国側が明言したのは初めて」と書くのは、ニュース価値を高めるためだけの「粉飾」と言われても反論できまい。日本の議員との座談会での話が大きく扱われ、この研究者はさぞかし本望であろう。この記事は中国メディアも転電しているから。

棚上げする「現状」は変化した

さて二番目のキーワード「棚上げ」に移る。外務省声明と習発言は、領有権争いを棚上げし、交渉による解決を共に呼び掛けている。では「棚上げ」すべき現状はこの一年、変化しなかっただろうか。ここが重要ポイントである。これも「海峡両岸論」第36号(2013.04.14)「尖閣は日中が共に『実効支配』 首脳会談の早期実現は困難」で既に書いたが、大手メディアでは共通認識になっていないから、改めて繰り返そう。

在京の中国外交筋は昨年来、首脳会談開始に当たって「日本側が領土問題の存在を認めること」が「必要条件」としてきた。同時に、領土問題の存在を認めても、昨年9月から常態化している「公船の尖閣接近は止めない」とも明言する。そこで外交筋に「棚上げ方針は生きているのか」と質すと「棚上げ方針に変更はない。ただ中国船が領海に入るという新たな現状が出発点」と答えた。かみ砕いて言えば、尖閣は日本だけが実効支配しているのではなく、「日中が共に実効支配」しているという認識である。国有化までは、例外(2008年末)を除けば、中国公船は領海に接近しなかった。日本の実効支配を暗黙だが事実上認めていたのである。

だとすれば「棚上げ」すべき現状は、2012年9月11日以前と以後では変化したことになる。大変化である。先に「公船の常時接近」の意図は、中国の領有権を実際行動で示すことにあると書いたが、中国側による「実効支配の実績作り」でもあった。別の中国筋は今年春筆者に対し、中国の要求として①日本側が領土問題の存在を認める②不測の事態が起きないよう12カイリ内には双方とも公船を入れないことで合意すべきーと語った。「実効支配しているのは日本」という立場の日本にはとても受け入れられない要求に違いない。

しかしこれもやはり、日本の一方的実効支配を否定した新たな「現状」に基づく要求である。中国のパトロール常態化は、尖閣の「共同管理」が狙いと言ってもよい。日本のメディアで、中国のこの主張を初めて報じたのは、共同通信(6月21日配信)の「尖閣12カイリ、不進入要求  中国『領有権問題認めよ』 首脳会談開催の条件に 日本政府は拒否」という記事が初めてである。「首脳会談開催の条件に」という部分を除けば、ほぼ正確に伝えている。「首脳会談開催の条件」にしたという裏付けは、中国側からはとれていないからである。「不進入要求」という新たな要求を報道していないメディアは多い。野田政権の国有化は、「日本の実効支配に対する暗黙の容認が否定された」という意味で、高い代償を払わされたことになる。

メディアは中国公船の領海内へ立ち入りを「領海侵犯」と報じるが、国際法上は「領海侵犯」ではない。海上保安庁の発表をそのまま伝えているにすぎない。外国船舶は、軍艦であれ商船であれ「無害通航」である限り、他国の領海へ無断で入ることが認められている。国際法上は、国家の領海に対する管轄権は排他的なものではない。「進入」が即、「侵犯」と解釈される「領土」や「領空」とは異なる。

安倍政権も水面下で共同開発検討

 習発言の3番目「共同開発」は、日中関係を展望する上で極めて示唆的である。首脳会談開催の糸口すら見つかっていない現状で、習がなぜあえて「落としどころ」とも考えられる共同開発に触れたのか、正直なところ意外感を持った。

先に述べたように、中国側は首脳会談開催の条件として「領有権問題を認めること」を要求している。これに対し日本側は、谷内正太郎・内閣府参与(元外務次官)が6月の訪中で、「領土問題の存在は認められないが、外交問題として扱い、中国が領有権を主張することは妨げない」という打開案を中国側に提示した。しかし、中国はこれに納得せず「入り口」で足踏み状態が続いている。そんな中で習近平が、次のステップとも言える「共同開発」に触れたのは、先走りというものではないかという印象を抱いたのである。

しかし、この春から夏にかけて安倍政権も水面下で、尖閣海域で日中の資源共同開発を模索する動きを複数のパイプを通じて進めてきた。中国側も、習発言以来、共同開発の可能性を探り始めている。取材源との約束で、具体的に書くことはできないが、安倍政権内部の動きを幾つか紹介する。
 
ある外交関係筋は、「実質的なチャンネルは王毅外相と谷内しかいない」とした上で首脳会談開催に向けた「入り口」について次のように筆者に述べた。

(1) 領土問題の存在を認めろと中国側は言うが、「領土問題」の意味はあいまい。ただ外交問題があることは認める必要がある。打開策は、お互いが静かになること。静かにならなければ何もできない。(「外交問題がある」とした谷内工作は奏効せず)
(2) 棚上げする「現状維持」について、中国側は「いつの現状か」という。現状維持は現状維持でいいではないか。それで国民世論を納得させ、指導者同士が話し合えばよい。

(3) 重要なのは2008年に合意した東シナ海ガス田開発の再起動。

東シナ海を「平和、友好、協力の海」にすることで合意したが、第1段階から第2段階に移る。第2段階では、尖閣の領海の中で共同開発すればよい。領有権を棚上げして共同開発するのは、鄧小平の考えの具現化だ。谷内参与もかつて「将来はそうすべきだと考えていた」と言っていた。

「2ちゃんねる」の「ネトウヨ君」が聞いたら、「安倍チャン、シナに擦り寄るのか!」と、罵倒しそうな内容。別の民間外交筋の構想はさらに具体的だ。この筋は、尖閣周辺の「共同開発・管理3段階論」を構想している。第1段階は共同のルール作り。第2段階は共同開発。そして第3段階として「共同管理」に移行するという内容だが、谷地参与も共同開発には反対しないという態度だったという。

しかし、首脳会談実現の展望は明るくない。ロシア・サンクトペテルブルクの「G20首脳会談」で、日本側は「立ち話会談」を目論んだが、北京の反応は冷淡。中国共産党の序列4位の 兪正声・全国政治協商会議主席は8月30日、北京で横路孝弘・前衆院議長ら民主党議員に対し、日本側が尖閣の領有権争いの存在を認めるまで、日中首脳会談に応じないとの姿勢を示した。さらに中日友好協会の唐家璇会長も30日、北京で日本のメディア訪中団と会談し、首脳会談について「(かえって両国の)対立点が浮き彫りになる」と述べた。

北京は「持久戦」の構えだ。

メディア・リテラシーを高めよう
「核心利益」「棚上げ」「共同開発」という三つのキーワードから、中国の公船接近の意図と対日政策の変化をトレースした。公船接近の意図が「武力で奪う」ことにはないことが理解できたと思う。同時に、多くのメディア報道を引用しながら、われわれに内在する思い込みや偏見が、多くの場合メディア報道に起因することも明らかになったと思う。

「メディア・リテラシー」(media literacy=情報を批判的に読み取る能力)を高めなければ、相手(中国)の意図を読み誤る。メディアに片足を残す身としては、恥ずかしい限りだが、「メディア・リテラシー」を高めるには、誤報、虚報にたくさん触れる以外に方法はない。

最後に紹介するのは、米有力議員、共和党のマケイン上院議員が8月21日、安倍首相と会談した後、記者会見した際のミスリードである。「朝日」は翌22日付朝刊(東京第3版)4面で、安倍・マケインがにこやかに握手する写真の横に、次のような見出し(3段格)で報じた。

「中国の主権侵害言及 マケイン氏 尖閣『日本の領土』」
記事はこう書く。「マケイン上院議員は21日、東京都内で記者会見し、尖閣諸島を『日本の領土だ』としたうえで『中国は、日本が尖閣諸島に対して持っている根本的な権利を侵害している』と述べた。 マケイン氏は『尖閣諸島に対する日本の主権は明確だ。この点は論議の対象とされるべきではない』と日本の立場を全面的に支持する考えを示した」。

記事を読んだ矢吹晋・横浜市立大名誉教授から「マケインは本当にこんなことを言ったのだろうか」と問い合わせのメールが入った。尖閣や米国について詳しくないフツーの読者が読めば、「米国は尖閣の領有権は日本にあると明言したのだな」と勘違いするに違いない。「マケイン=米国」であり、発言主体が政府当局者か、それとも保守系の一議員かなど、細かい点に注意は払わない。もしオバマ政権の然るべき当局者がこの発言をしたら文句なく一面トップ級のニュースだ。

なぜなら米歴代政権は①米政府は(尖閣の)施政権を日本に返還した②領有権については特定の立場はとらないーという「施政権」「領有権」分離で一貫しているからである。マケインは、米政権の基本政策と全く異なる立場を表明しているのだ。従って「マケインが米政府の立場とは異なる意見を表明した」と書かねば読者の誤解を招いてしまう。「朝日」の筆者は、ワシントン総局長を経験したことのある編集委員。駆け出しの記者ならともかく、米国専門記者がそれを知らないわけはない。
では、マケイン発言の共同通信の記事を紹介する。比較して読んで欲しい。

「尖閣は日本領」と発言 
   マケイン上院議員 
米共和党のマケイン上院議員が21日、岸田文雄外相と外務省で会談した後、沖縄県・尖閣諸島について「『日本の領土だ』というのが米議会と米政府の立場だ。中国にも伝える」と記者団に発言する一幕があった。

米政府は尖閣の主権に関し「日中両国のどちらの立場も取らない」との見解に立っており、マケイン氏の発言はそこから踏み出した格好だ。日本政府内からは「日本側主張に沿った発言で心強い」(政府高官)との声や「『尖閣は日本の施政権下にある』と言うべきところを、間違って口を滑らしただけではないか」(外交筋)との見方が出ている」。

こちらは、マケイン発言が米政府とは異なる見解であること、その理由として「口を滑らせたのでは」という外務省筋の見方をちゃんと紹介し、読者が誤解しないよう配慮している。意地の悪い見方はしたくないが、「朝日」記事は、意図的なミスリードをしたのではないかと勘ぐりたくなる欠陥原稿である。                 (了)
            (筆者は共同通信客員論説委員)
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