【メイ・ギブスとガムナッツベイビーの仲間たち】

(12)サングルポットとカッドゥルパイの冒険⑦ ポッサムの災難


吉川 佐知子

 服の事ばかり考えていてカッドゥルパイの事はすっかり忘れていました。カッドゥルパイは長い間サングルポットを待っていましたがとうとう待ちくたびれて眠ってしまいます。眠りながら夢をみていました。誰かが呼んでいる――眠りながら声の方へ向います。

 “カッドゥルパイ来て”
 カッドゥルパイは目を開けているのに眠り込んだまま進みます。小川に出ました。足が水にふれた時すっかり目覚めます。
 “助けて助けて”弱い声がします。
 “どこにいるの?”とカッドゥルパイ。
 “私ここよ”ともっと弱い声です。

 カッドゥルパイが木の枝や草をかきわけて登って行くと大きな木の根元に出ました。そして恐ろしい光景を見たのです。
 鉄製の罠がかけられ、ふくろねずみのポッサムが罠にはさまっています。痛みに苦しめられながらカッドゥルパイをみつめています。

 “なんとかわいそうなポッサム! 誰がそんな事をしたの?”とカッドゥルパイ。
 “人間よ”“私の家のドアの前にしかけてあったの”
 カッドゥルパイは悲しくて言葉も出ません。せめて水でもと小川で水を帽子にくんで来て飲ませようとしますがポッサムは目を閉じてしまっています。
 “ポッサム死んじゃ駄目だよ 死んじゃ駄目だよ”
 でもポッサムはじっとしています。

 森の中の小さな生物達の物語をギブスは愛情をそそぎながら書いていきます。

 (詩人)

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