【編集後記】87

【編集後記】 

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◎東北関東大震災に罹災された方々に心から御見舞申し上げます。

◎地震・津波と大自然の猛威におののいた私たちに追い打ちをかけたのは、かね
てから恐れられていた原発事故だ。私たちは、いずれにも大きな衝撃をうけた
が、これを生活意識の全般的な転換、さらには新しい構想の国つくりの契機に活
かさなくてはと思う。
   
◎毎号『農業は死の床か再生のときか』をご寄稿戴いている濱田幸生氏は茨城県
行方市で地震に直撃を受け罹災された。17日早朝、濱田氏はこの生々しい状況を
送信して下さった。心から感謝するとともに。オルタはこの情報を皆様と共有
し、現地の方々と気持ちを一つにしたい。

◎いま、中東で起きていることの本質、歴史の潮流をしっかりと認識するために
かって共同通信ベイルート支局長として活動し、現地事情に詳しい榎彰東海大学
教授に『中東情勢をどう見るか』をお願いした。また毎号『宗教・民族から見た
同時代』を寄稿される荒木重雄氏からは『エジプトの将来を決する二大勢力』と
して、日本のマスコミがあまり伝えない「エジプト革命」におけるムスリム同胞
団とエジプト軍の役割について、ムスリム同胞団に対する根強い民衆の支持、軍
には米国から毎年13億ドルの軍事援助が注がれているなどの指摘があった。

◎春の足音が近づくにつれて街にはマスク姿が増え、目を赤く腫らしている人も
多い。今年は例年の数倍の量だという。国中が毎年繰り返される杉花粉症に悩ん
でいる。根本対策はないのか。力石定一氏の提言を載せた。

◎【私の視点】には望月喜市氏の「北方領土への外国資本流入問題を考える」と
岡田一郎氏の「表現規制問題と新しい社会運動の萌芽」を頂いた。オルタとして
も反対を声高に叫ぶだけでなくオルタナテーブを模索していきたい。

◎【書評】(1)は脳性小児麻痺の著者竹村陽子氏が入力補助用具を使い一字づ
つ打ちこんだ『公達浪人事柄控』という時代小説を前島厳氏が(2)は小川正吾
氏が市場原理主義が引き起こす不安と混乱に対する政府の役割の再考を訴える『
荒廃する世界のなかで~これからの「社会民主主義」を語ろう』を(3)はオルタ
執筆者羽原清雅氏の『「門司港」発展と栄光の軌跡~夢を追った人・街・港~』
を社会環境学会会長の視点から荒木重雄氏が、そして木下眞志氏が永田浩二氏の
『NHK、鉄の沈黙はだれのために~番組改変事件10年目の告白~』を評してい
ただいた。

◎今月から新たに羽原清雅氏の『落穂拾記』が始まる。氏は朝日新聞政治部長か
ら同社西部本社代表を歴任し、現在は帝京平成大学教授、新宿区教育委員長を務
める。長年にわたり政治記者として培った広い視野と練達の筆で描きだされる世
界には大きな期待をしたい。 武田尚子さんのエッセーはアメリカという「国の
かたち」を根源的に問う移民問題を『移民にゆれるアメリカ』として今月から連
載することになった。

◎2月24日、堺に執筆者の西村徹、木村寛両氏を訪ね、6年余にわたる毎号のご寄
稿を感謝したが、西村先生が血管系の大手術後にもかかわらずお元気な様子に安
堵した。

◎大震災発生で参加予定だった大河原雅子事務所での『「新しい公共」と林業再
生』の研究会。福井県立大中沢孝夫教授の『グローバル化と中小企業の人材育
成』をテーマにしたソシアルアジア研究会。『異文化理解を考える~高校教育の
現場から民族・国家へ』という大東文化大第一高校上野振宇・木下光弘両氏によ
る社会環境学会セミナーなどが相次いで中止になった。

◎都合により石田奈河加子さんの「マジソン便り」、川西玲子さんの「玲子さん
の映画批評」は休載します。  

              (加藤 宣幸 記)

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