【編集事務局便り】267

■今月はフランスの鈴木宏昌氏から「貧富格差の拡大と超富裕税(ザクマン税)の提言」の詳細なレポートをいただきました。世界のデジタル化が進むに従い、富の偏りが生じてきた世界の中で、「一般的に『平等』と『公平』に敏感な国民」である「フランス」で論議された「ザクマン税」の提案は、多かれ少なかれ各国でも、検討されるヒントになるものとも思われます。皆様からの投稿を毎月ありがとうございます。

■高市首相とアメリカ・トランプ大統領の会談が行われた。日本時間20日0時半から始まった冒頭の大統領執務室での会見は、無難に、あるいは、想定される最も良い形でなごやかに終了したように思う。現在の米国大統領はどの文脈で苛立ちはじめるかわからない相手だ。賛否はあるとは思うが、まずは、にこやかに相手とむきあい、相手をたて、感謝を伝え、共同の利益があるパートナーであることを伝える。少なくとも、ウクライナ大統領との会談のように決裂した様子を世界に発信することにはならず、穏やかに実務会議へ移行したことで安堵した。ホワイトハウス前のトランプ大統領との「ハグ」は、女性首相ならではの関係のとりかたで、「うまく」利用できた感じがする。よいアイスブレイクになった。男性陣ではなかなかできない。さて。本番の交渉結果は20日午前中には判明するとのこと、発信後になるので、その結果をまちたい。

■この3月に、当オルタ広場は、引き継いだメールマガジン「オルタ」の創刊から数えて満22周年を迎えた。
 先月「回想のライブラリー」の感想を書きながら、2004年オルタの創刊当時のことを思い出していた。その前年、2003年3月20日にブッシュJr.が大量破壊兵器保有を口実にイラク侵攻を始めた。その翌年、その教訓を「忘れまい」という思いを込めて3月20日を創刊日に選び、オルタは生まれた。
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(創刊の挨拶より:2004年3月20日)
  

〈前略〉
 最後の力を振り絞り、編集し発行しようと執念を燃やした同人誌とは何か。
 それは創刊号で終刊号の『戦争・国家・人間』と題する特集でした。この三つの命題は「余白」のタイトルが持つ「静」の響きとは馴染まないが今日を生きる私たちの生き様に深く迫ってきます。一人の人間として生きるとは何かを問い返してくるのです。
 生きるとは、「戦争と動乱の世紀」から「新世紀」に入見極めるかのように始まったアフガン・イラク戦争。「帝国」の振る舞いにひたすら追随する政府。政官癒着・既得利権のしがらみで動きのとれない閉塞社会。さらに戦後半世紀かかって築き上げられた「非戦」システムの確実な破壊。などなどに対し沈黙を守ることなのかと。
 私たちは市民としての自覚と彼の遺志もくみこみ小さい声を上げつづけようと決め、そのメディアとして、紙媒体としての「余白」続刊か新たにWEBメディアを選ぶかを検討しましたた。
https://www.alter-magazine.jp/index.php?go=l85JCd)

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 先月20日発信からわずか1週間後に、22年前と同様に正当性を疑われる理由で米国の「攻撃」が開始されるとは思いもよらなかった。
 本年2月28日、米国とイスラエルが「切迫した核の脅威がある」という理由でイランへの攻撃を開始した。イランの最高宗教指導者をはじめ主要閣僚の暗殺、そして大規模攻撃。イランも周辺各国へ反撃を広げ、開始から20日、事態は収束の見通しもなく続いている。「切迫した核の脅威」には疑義がある。あのときの「大量破壊兵器保有」と同じ構図に見える。そのうえ、議会の承認もなく、国連の決議もない。大国は武力で自分たちの利益を守ることだけに走るのか。
 3月20日を創刊日に選んだのは、「忘れまい」という思いからだった。あれから22年。忘れまい、という理由は、まだ消えていない。

■今月の生成AI(Claude):今月は、生成AI(Claude)で「フランス便り」の図表を作成して、著者に確認いただいた上で挿入してみました。図表があったほうがよいと思った文章を章毎にClaudeに読み込ませて「解説の図表を作って」と頼んで作成したものです。鈴木氏からは「私が参考にした文献やグラフが挿入されて、うまく日本語になっているので驚きました。素晴らしい編集能力で脱帽です」とコメントをいただきました。Claudeのチャットで描かれる図表は、現在、ChatGPTやNotebooklmで生成される「いかにもAIっぽい」画像ではなく、シンプルで使いやすいものになっていて、オルタ広場の中でも十分つかえるものになっていました。

・「校正」でも、徐々にClaudeの力を借りるようになりました。
普通に「校正をしてください」と伝えると、
1. 誤字・脱字・送り仮名の確認
2. 固有名詞(地名・人名・書名)の正確さの確認
3. 表記の揺れの確認
4. 事実誤認の確認
を主に確認するのですが、人力校正で、いくつもの「漏れ」を見つけました。そこを指摘すると、オルタ広場はジャンルが幅広いので、それぞれのジャンル別に指示を分けたほうがよいという提案。
そこで、<ジャンル別チェック項目>を追加。
1. 歴史・神話系:典拠・引用元(古事記/日本書紀など)の正確さも確認
2. 時事・政治評論系:固有名詞・数字・日付の事実確認も含めて
3. 海外レポート系:地名・人名・現地事情の確認も含めて
4. 文化・エッセイ系:表記統一と読みやすさを中心に
さらに以下の、<編集方針>を追加してみることに。
・指摘は「要修正」「要確認」「任意」に分けて整理する
・筆者の意図か誤りか判断が難しい場合は「要確認」とする

来月からは稼働するはずですが、最終的な人間のチェックと、執筆者の方々には確認をお願いすることになります。引き続きよろしくお願いいたします。

*ちなみに文章作成時も、Claudeを優秀な編集アシスタントとして利用している。「忘れまい、という理由は、まだ消えていない。」<-この表現もClaudeの知恵を採用した。なかなか粋な表現だ。

■東京も19日に桜の開花宣言。暖かさを待っていたように、61輪もの桜が一気に咲いた。遠い中東の状況を気にしながらも、しばし桜の花にうかれる日々を過ごしそうだ。(MK)

(2026.3.20)
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