【沖縄の地鳴り】

チョイさんの沖縄日記~辺野古埋め立て土砂問題


<私は7年前に家族全員で沖縄に移住してきました。このブログは、辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録です。>

◆参議院外交防衛委員会で糸数慶子議員が中谷防衛大臣に埋立土砂の問題を追求
  2016年05月10日 | 沖縄日記・辺野古

 今日(5月10日)開催された参議院外交防衛委員会で糸数慶子議員が米軍基地周辺の学校への空調維持費補助の廃止についてと辺野古新基地建設事業の埋立土砂の問題について中谷防衛大臣に質問をされた。

 辺野古の埋立土砂については、合計2,100万㎥のうち、県外からの岩ズリが1,640万㎥、辺野古ダム周辺とシュワブ陸上部からの土砂が400万㎥、海砂が60万㎥と言われている。しかし、防衛局が提出した埋立承認願書では、「ダム堆積土砂や浚渫土を含む建設残土、リサイクル材等を優先して使用することとします」(埋立承認願書2-29)と記載されている。この問題については今まであまり取り上げられてこなかったが、「建設残土、リサイクル材」などの詳細を明らかにさせる必要がある。

 糸数議員の質問に対して、中谷防衛大臣は次のように答えた。(⇒以下は、解説)

・「願書に記載した内容に変更はありません。海を浚渫した土砂や建設残土は埋立に使用します。建物を解体して発生するコンクリート殻については、破砕機で処理して本事業内で再生路盤材等として再利用します。」

⇒ 浚渫土や建設残土の使用は認めたが、どこからどのようなものを持ち込むのかについては説明していない。

・「今回の事業で解体が必要となる米軍兵舎は約100棟。発生するコンクリート殻は約52,000㎥です。」

⇒ また、陸上作業ヤードで使用されるコンクリート殻を破砕した再生路盤材の量は約800㎥にすぎないことも明らかになった。発生するコンクリート殻は52,000㎥もあるのに、具体的な用途はほんのわずかである。外には出さないと断言しているのだから、このままでは海に投下されるのではないかという疑問が出るのもと当然だろう。

⇒ 今まで防衛局は、辺野古新基地建設事業でシュワブの陸上部に建っている米軍兵舎は60棟が解体されると説明していたが、今日、初めて約100棟もの米軍兵舎の解体が必要となると認めた。

・「昨年5月に県に回答したとおり、解体工事に伴い発生したコンクリート塊については、再生路盤材等として陸上の仮設作業ヤードや仮設道路、建物回りの道路・駐車場や飛行場関連施設等の活用を考えています。」

⇒ これに対して、糸数議員は、「仮設道路はほとんどが海の上に造成される。仮設道路にコンクリート殻を利用するということは、海にコンクリート殻を投げ込むこととなる。コンクリート殻は絶対に海に投下しないということを明言せよ」と迫ったが、中谷防衛大臣は、「コンクリート殻は石材として海に投入したり、埋立材とする予定はありません」と答えるだけで、最後まで、海の中に造成される仮設道路にコンクリート殻は使わないとは認めなかった。

 時間が少なくて十分追求することはできなかったが、辺野古新基地建設事業で今まであまり取り上げられてこなかった、「建設残土、リサイクル材」の問題、そして米軍兵舎解体工事で発生するコンクリート殻が海に投下される恐れ等について政府を追求された糸数議員に敬意を表したい。

 この外交防衛委員会の質疑の模様は、参議院HPより見ることができる。
  http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

◆<検証>持ち込まれるケーソンは38個、そのうち三重県からは大型ケーソンが13個! 残りは奄美大島か?
  2016年05月03日 | 沖縄日記・辺野古

 4月18日、名護市で開かれた辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の学習・交流会では、「辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会」からも報告があった。大浦湾の深場に護岸を造成するための大型ケーソンは、三重県津市で製造されるのではないかと言われている。そのことを知った三重県民らが、「沖縄を苦しめるな!」と反対運動に立ち上がられた。西日本各地での辺野古への土砂搬出反対の住民運動とともに、心強い限りだ。学習会以来、私からも工事の設計図書を送るなど、連絡を取り合っている。

 ただ、三重県の方からは設計図書等を見るのは難しいという声も寄せられているので、以下、ケーソンについて簡単に説明したい。

 辺野古新基地建設事業では、大浦湾の深場には大型ケーソン(ハイブリッドケーソン)が設置される。ケーソンとは鉄筋コンクリート製の巨大な箱を沈め、中に土砂・砂等を詰めて護岸とするものだ(図1・図2)。

(図1)ケーソンの標準断面図(工事設計図書)
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(図2)工作物の配置及び施工延長
画像の説明

 (図2)の大浦湾側の、C-1、C-2、C-3護岸、遇角部護岸、係船機能付護岸の総延長1,406mが38個のケーソンを使った護岸となっている。このうち、深場のC-1護岸、C-3護岸のほとんど(13個)が大型ケーソンで、1個当たり、長さ:52m、高さ:24m、幅:22mというとてつもなく巨大なものだ。三重の市民グループの方は琉球新報の記事(2015.2.1)をもとに、三重で製造される大型ケーソンは6個と考えておられたようだが、実際には13個もの大型ケーソンが製造されると思われる。

 防衛局がすでに発注した「シュワブ(H26)ケーソン新設工事(1工区)」、「同(2工区)」の設計図書では、上図のC-1護岸、C-2護岸の工事のみで全容は不明だったが、埋立承認申請当時の審査資料の中にケーソン工事の全容を示す図書が見つかった(図3)。全38個のケーソンの制作、運搬、据付等の工程が示されている。

 それによれば、大型ケーソンの制作期間は5~10ケ月、海上運搬が1ケ月半、据付が1ケ月と想定されている。また、据付の1年半前には制作に着手することとなっている。今回も、あるいはすでにケーソンの制作が始まっていたのかもしれない。海上運搬距離は773海里(1,432m)とされているから、やはり三重県での制作を想定しているようだ。

(図3)ケーソンの制作から据付けまでの工程表
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