■【オルタのこだま】                     

藤田若雄30周年記念集会         阿部 健

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 「ファシズムは初発からキバをむきだしてくるものではない。退廃の中に批判
精神を衰弱させてから登場してくる。」と語った藤田没後30年、その言葉が現
実化しつつあります。藤田若雄の思想を継承し、発展させるために、集会を持つ
ことにいたしました。これは「藤田若雄30周年記念集会」の呼びかけ文の冒頭
である。教育基本法の改悪、憲法9条改悪を目指した国民投票法案の成立など、
あれよあれよと思っているうちに、何の摩擦もなく戦後民主主義の価値あるもの
が否定されていく事態の下にこの集会を開いた。

 日時は2007年3月25日(日)午後1時から5時、場所は東京都文京区シ
ビック・ホールの4階会議室B、参加者数は40名だった。
 藤田については、本メール・マガジン29号(2006.5.20)で、既に木村寛氏
が「藤田若雄の足跡をたどって―労働組合研究と無教会キリスト教」という論考
を載せているので、お読みになった読者もいらっしゃるだろう。当日も木村さん
がそのコピーを20部用意して呉れたので、会場で配布させて貰ったが、あっと
言う間になくなった。会そのものは、時事的なものではなく、報告の「信仰的誓
約集団論に拠る藤田若雄の承継者としての『ディアスポラの会』30年の軌跡」
(下澤 悦夫氏)、「『戦闘的平和論』と残りの者」(大河原礼三氏)を中心に
した討議であった。前者は30年にわたって「長老派」的に仲間との集会を維持し
てきた実践を藤田の主唱した誓約集団の形成と主張したもの、後者は平和運動な
どにもかかわりつつ、国際的にも認められている「平和的生存権」に立った平和
論の必要性を主張したものだった。

 この集会の参加者は、藤田が生前に主宰していた無教会キリスト教の元集会員
が中心であったが、30年ぶりに会う人もいて、今後、何らかの緩やかなネット
ワークが必要との意見も聴かれた。
(筆者は財団法人社会経済生産性本部社会労働部内 労働研究センター研究員)
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