【編集後記】 

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◎「オルタ50号記念の集い」については「オルタのこだま」で富田氏が詳し
く書かれているので譲り、私からはご出席下さった執筆者・読者の方々に改
めて感謝の意を表したい。富田さんが云われるようにメールマガジン「オル
タ」は私の非常に親しい友人でもあった故久保田忠夫君が『人間・国家・戦
争』の問題意識を追求しようとした雑誌「余白」の精神を継承したものに違
いは無い。もし異なるとすれば「余白」が印刷・紙媒体であるのに「オルタ」
はペーパーレスのデジタルメデイアであることであろう。

「オルタ」の50号は80名を越える執筆者のボランタリーの結晶だが、もしア
ナログメデイアであれば、たちまち紙・印刷・発送代などに追われ到底実現出
来なかったと思う。勿論、残念ながら旧友知己のなかにはメールをやらない世
代の方も多く、所謂、「デジタル・デバイド」という壁のためお読みいただけ
ない制約もある。その反面、海外の知人たちにもリアルタイムで送信され、ど
こにでも転送でき、ホームページではバックナンバーを誰でも見ることが出来
る。これからの「オルタ」は、もっと編集に工夫をこらすとともに、デジタル
メデイアの特性を活かし、皆様の手でピリットした市民メデイアに育てて頂き
たいと思う。

◎「日本知識人のアジア観」は「オルタ50号記念の集い」での河上民雄先生
の記念講演を記録したもので、先生が聖学院大学大学院における講義をもと
にまとめられた近著『勝者と敗者の近現代史』のなかから福沢諭吉と勝海舟
、近衛文麿と石橋湛山に絞ってお話いただいた。何分にも時間が短く意を尽く
して頂けなかったのは残念だが、それでも重要な史実の指摘の中から、私たち
に確りとした歴史観を養うことの大切さを教えられている。深く受け止めたい
と思う。

◎「連帯経済」という馴染みの少ない言葉に違和感を持たれる読者も多いいと
思われるが、地球上を荒らしまわる自由放任の資本主義経済システム(「経済
グローバリゼーション」)にたいするもう一つの経済活動としての非営利経済
システムの総称としてこれを理解したい。マニラでの「第一回アジア連帯経済
フォーラム」に出席された横田克己さんにその報告をご寄稿頂いた。横田さん
は1970年代から生活クラブの創始者岩根邦雄氏とともにその創立に参加し、
神奈川を中心に今日の生活クラブを築かれた私たちの古くからの知己である。
現在も生活クラブ生協名誉顧問、福祉クラブ生協特別顧問、中間法人生活サ
ポート基金理事長、参加型システム研究所所長など幾つもの社会団体にかかわ
り八面六臂の活躍をされている。報告によれば「第2回アジア・フォーラム」
は日本で開かれるとのことなので「オルタ」としてもより関心を深めたい。

◎「オルタ」俳句欄は伝統ある俳句結社「柿ノ木」の重鎮である富田昌宏氏に
よるものだけに読者の評価も高い。これに並んで今月号から川柳欄をつくる
ことになった。作者兼選者は横風人(横田克己氏)で、横風人はやがて「オ
ルタ」読者の参加システムを作って川柳文化を大いに盛り上げたいと念じてい
る。皆さんからの積極的な投稿を期待したい。
                          (加藤 宣幸 記)

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