編集後記


 11月18日安倍首相は解散を決めた。オルタは急遽『大義名分なき解散・総選挙でいいのか』として元朝日新聞政治部長羽原清雅氏に論じて戴いた。11月2日東京・新宿中央公園で『差別のない世界を子供たちへ』をスローガンに主催者発表で2800人が参加するヘイトスピーチに反対するデモ『東京大行進2014』にビデオ取材を兼ねて参加したが列の中に荒木重雄氏を見つける。デモの詳細は下記へ。 
http://tokyodiversity.org/2014/ 。「のりこえねっと」http://www.norikoenet.org/

今月号の編集はヘイトスピーチに焦点を当てたが「オルタ」としては、1年前の117号(2013.09)で有田芳生議員の『奴らを通すな!―日本版レイシトと闘うために―』を載せた。果たして、この1年で日本社会は、人間として最も恥ずべきヘイトスピーチ・ヘイトクライムの動きにどう対処したのか。たしかに東京・新大久保、大阪・鶴橋などでの「在特会」が組織する「差別デモ」は殆どなくなり、地方都市に拡散した。これは、理不尽な彼らの行動に反対する世論や市民の「カウンターデモ」(しばき隊など)力、ようやく動き出した一部の行政、そして国会での「人種差別撤廃基本法」提出の準備等が進み彼らを包囲したからだ。

 1980年代にアメリカで使われ始めた「ヘイト・スピーチ」(差別煽動表現)という言葉は数年前まで人びとに馴染の少ないものだった。日本での「在特会」を軸とする活動は2006年第一次安倍内閣の発足と軌を一にして動き出し、さらに2012年の第二次安倍内閣再発足とともに激化する。彼らはまさに安倍内閣の親密なお友達なのだ。そしてアベノミックス幻想で内閣の高支持率が続く間は共に浮かれて街中に悪罵を喚き散らした。ところが2013年10月7日京都地裁での京都朝鮮人学校襲撃事件に対する「人種差別であり違法」であるという明確な有罪判決及び2014年7月大阪高裁判決でこれが維持されたことは彼らに致命的な打撃となった。この時、国民は司法の健在を実感し、明らかにこれを契機に世論の潮目は変わった。海外からの日本への眼も厳しさを増し、それまで言論の「自由」と「法規制」との間で揺れた人々の心は国際基準の法規制に傾いた。

法規制の先頭に立つ有田芳生議員に『私たちは危険で恥ずべき時代に生きている』を、少壮の社会学者関東学院大学講師明戸隆浩氏に『あらためて今、「ヘイトスピーチとは何か」を考える』を鋭く提起して戴き、国際基準に立ち遅れている日本の現状打破に立ち向かう師岡康子弁護士には『ヘイトスピーチと法規制』について、さらに朝鮮族出身中国人の北陸大学教授李鋼哲氏には「東アジア人」の立場から『「三国人」と多文化共生社会へ』を論じて戴いた。【運動資料】では人材コンサルタント辛淑玉さんなどが取り組む反差別国際ネットワーク『のりこえねっと』の説明を川原栄一氏にお願いし、さらに『国連人権委員会パンフ』・『人種差別撤廃委員会提出NGOレポート』等諸資料を紹介した。
オルタ執筆者の石田奈河子(米国在住)・江田五月(参議院議員・元法相)・上村ゆう美
(京都・中国文学者)・谷合佳代子(大阪・エルライブラリー館長)・林郁(作家)・福岡愛子(社会学者)・リヒテルズ直子(オランダ在住・教育研究者)・前島厳(東海大名誉教授)・仲井斌(元専修大学教授)各氏からヘイトスピーチについて【侃々諤々】で個人の意見を自由に論じて戴いた。【私の視点】ではTVによく出演される日中技能者交流協会理事長凌星光氏に『中国の整風運動と中日・両岸関係への影響』で習近平の政策を論じ【書評】は『こんにちは、ユダヤ人です』を作家の小中陽太郎氏に評して頂いた。

【日誌】10月23日妙心寺・仏教に親しむ会。竹中・浜谷。24日自宅・仲井富。25日自宅・
田中多喜男。28日神保町・石尾・凌星光。29日生産性本部・労働研究センター研究会。29日自宅・浜谷。11月1日明大前・「白石かずこ詩朗読会」。2日新宿・反ヘイトスピーチ・デモ。専修大学・ウクライナ問題シンポジューム・蓮見雄立正大学教授・石郷岡建元毎日編集委員。4日区民検診・学士会館・山田陽一出版記念会。6日自宅・岡田充氏励ます懇談・初岡・荒木・篠原・苫米地・浜谷・山口・藤生。8日NEASE・NET32回政策セミナー・『北朝鮮の現状吟味と日朝関係への新視角』・小牧輝夫大阪法経大客員教授・美根慶樹元日朝正常化交渉担当大使。11日参議院会館・『集団自衛権と日米ガイドライン』半田滋東京新聞論説委員。・衆議院会館・プログレス研究会・白井聡・懇親会。13日衆議院会館・NDの会・『安倍政権2年間の安保・外交政策を振り返る』・「虚像の抑止力」出版記念シンポ・屋良朝博・半田滋・マイク・モチズキ・柳沢協二・猿田佐世・懇談会。
                (加藤宣幸記)
◎今月の動画;
  ①『神奈川から東アジアの平和を拓く』野中広務・柳沢協二・我部政男・朱建栄
  ② 反ヘイトスピーチ「東京大行進2014」
③『仏教に親しむシリーズ』(3)天台宗の教え  荒木重雄
◎フレーズ; 
『差別のない世界を子供たちへ』


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