メールマガジン「オルタ」 87号(2011.3.20) 

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◎ 大震災に被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
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がんばれ福島・宮城・岩手そして茨城!!

-忘れられた被災地茨城からの通信-         濱田 幸生

◆【被災3日目】私は無事です。余震は今でも来ますが、たった今、電気が通じました。3日ぶりです。思わず、夫婦でバンザイを叫びました。こんなに電気がありがたいと思ったのは初めててす。生涯このような激震は初めてでした。まさに地面が波うつ。建物が左右にふられる。地面は亀裂し、口を開ける。茨城でも深度4でした。


激動する中東情勢をどう見るか               榎 彰

未曾有といわれる東日本の台風、津波の被害は、福島の原子力発電所を直撃し、世界のエネルギー事情も一変させ、ひいては国際間の枠組みにも甚大な影響を与えるものと思われる。そのニヶ月前から、チュニジアをきっかけに、世界のエネルギーを制する中東を中心に、インターネットに触発さえたデモによる変革の嵐が吹き荒れ、遠く中国にまで波及し、いまだに余震は続いている。いったいなにが起きているのか。 


杉花粉症対策の抜本対策                力石 定一

スギ人工林において、急傾斜面、屋根筋、水辺のような地盤の弱い箇所では、スギが浅根性であるため、暴風にたたかれた際に崖崩れを起こす危険がある。このような危険箇所に関しては、普通の間伐をおこなうにとどめ、樹間に常緑広葉樹のポット苗を捕植し、人工林の枝打ちをおこなう。自然植生である常緑広葉樹は「隠樹」なので、樹間で我慢強く成長を遂げてゆく。 


地球環境問題へのアプローチ(3)            阿野 貴志

ご先祖様の数から人類としての関係性、進化系統樹を考えた場合の生物としての関係性をご理解頂いた段階で、今度は、物質レベルでの関係性について考えてみたいと思います。宇宙は誕生から137億年とも言われており、130億年以上が経過したと考えられています。一番最初は、超高温・高密度のエネルギーの塊がビッグバンという大爆発を起こし、膨張しながら冷却する過程で現在の宇宙が形成されたと考えられています。エネルギーの塊ですから我々を作っている原子とか分子というような粒子すら存在しなかったわけです。 


≪連載≫ ■海外論潮・短評(44)

~ソーシャル・メディアの政治的パワー~  初岡 昌一郎

IT技術の発達が、新しい社会的なメディアの隆盛をもたらしている。最近のチュニジアやエジプトの政治的変動に見られるように、マスメディアが政府に支配されている独裁政治国では、パソコンや携帯電話の普及によって促された新メディアが世論と政治行動を先導している。
≪連載≫ ■A Voice from Okinawa(20)

~ヤンバルの森にヘリパッド~               吉田 健正

鳩山前首相の「方便」発言に続いて、ケビン・メヤ米国務省日本部長(Director of the Office of Japan Affairs)の沖縄(日本)占領者意識丸出しの「講義」が、1945年以来米軍基地を押し付けられてきた沖縄住民を怒りに駆り立てている。今回は沖縄本島北部の軍事訓練場を世界自然遺産に登録して自然を守るべきという主張を書いていたが、急遽、これら二つに関する思いを追加することにした。
  
≪連載≫ ■宗教・民族から見た同時代世界

~エジプトの将来を決する二大勢力~            荒木 重雄

チュニジアに端を発する民衆革命の波は、中東の大国エジプトで増幅され、中東・北アフリカ一帯を巻き込んで広がった。そのエジプトでは、30年に亙って強権をふるったムバラク大統領の退陣後、軍最高評議会主導による新体制づくりがすすんでいる。「民衆革命の勝利」「インターネットが新たな歴史を開いた」と欧米や日本の政府、メディアは謳い上げたが、今後の展開には幾多の難問、課題が予想される。さまざまな要因があるが、ここでは決定的な影響力をもつであろうムスリム同胞団と軍の動向に注目しておきたい。    
■落穂拾記(1)

~いまもくすぶる「60年安保」~                          羽原 清雅

オルタ」の1ページとして、連載を誘ってもらいました。ありがたいことでした。 大ニュースの陰に忘れられていった出来事のなかには、世相を語り、価値判断の変化を示し、また喜怒哀楽を黙殺されたり、誤解されたり、さまざまな扱いがありました。5、60年もすれば、人も出来事も忘れられていきます。派手な動きを見せた政治家、財界人でさえ、若い世代には知識の一部にもなっていません。それが、歴史というものでしょう。しかし、小ニュースとはいえ、教えられるところは多々あります。     


■【横丁茶話】

無縁社会ということがいわれる                西村 徹

無縁社会ということがいわれる。NHK「日本の、これから」という番組でも取上げられていた。民放の場合に見られるような扇情的なケンカ番組ではない。時に自分の価値観を押し売りしようとする発言者も皆無ではないが、およその人は異なる意見にも、感情移入を図ろうとするだけの節度を保っていて、落ち着いて見ていることができる番組である。キャスターを含めて、ここに登場する人たちの寛容と謙抑に、私は敬服することが多い。 


■【私の視点】

北方領土への外資流入問題を考える         望月 喜市

北方領土を管轄するサハリン州はすでに2010年4月の時点で韓国の首都ソウルで北方領土を含む同州への投資説明会 を開いていた。北方領土について、レニウムやチタンなどの希少金属が豊富だなどとし開発・投資を呼びかけた。 韓国側は約140企業が出席した(A110118)。 

東京都における表現規制問題と新しい社会運動の萌芽 岡田 一郎

「オルタ」誌上で度々触れてきた東京都青少年の健全な育成に関する条例の改定問題は、12月15日の都議会本会議で都が提出した改定案が可決され、一応の決着がついた。しかし、都が改定案の成立を強行したことで、これまで築かれてきた行政と出版社の信頼関係は破綻し、それにともなって様々な問題が噴出しはじめている。本稿では、改定案の何が問題か、なぜ成立したのか、改定案の成立が今後、我々にどのような影響を与えるのかについて考察する。


■【北から南から】
中国 深センから 

『東日本大地震をうけて、中国の様子』 佐藤 美和子

深センで毎日、日本の地震のニュースを見ています。オルタ原稿を書かなきゃと思いつつ、しかし何を書けばいいのかとパソコンの前に座っているだけの時間をたくさん過ごしました。私は関西出身のため、身内や友人に被災者は幸いにもいませんでした。それでも、祖国がこんなにひどい災害に見舞われているというTVニュースの映像を見ていると、体も心も強張り、ただただ呆然としています。  


■【エッセー】

~ゆれる移民の国アメリカ~
(1)プロローグ  アメリカ移民の起源         武田 尚子

「いったいピルグリム・ファーザーズは移民と呼べるのかしら?」と私が質問したとき、サンクスギヴィング・デイの晩餐のあと、くつろいでいた数人の友たちは、まず笑い出した。それから、レオが言った。「うん、それはいい質問だ。考えてみよう。」「移民というのは一つの国から別の国に移って定住する者のことだと思うが、まずこの定義はどうだろう?」弁護士らしい彼の発言に、誰も反対はしなかった。


■【本の紹介】

『追憶の旅』(公達浪人事柄控)             前島 厳

『荒廃する世界のなかで』               小川 正浩

『門司港発展と栄光の軌跡』             荒木 重雄

『NHK、鉄の沈黙はだれのために』         木下 真志


俳句                 富田 昌宏


川柳                  横 風 人


【編集後記】

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