【自由へのひろば】

東日本大震災の記憶を語り継ぐ「きぼうの桜物語」創作にご協力を!

長谷川 洋一

 東日本大震災の記憶と教訓を後世に伝えるためには、シンボリックな有形遺産と、風化しない無形遺産の両輪が必要であろう。
 オルタ159号(2017年3月20日)にも掲載されたとおり、一般財団法人ワンアースは、超巨大な桜(宇宙桜・注参照)の苗を津波到達点に植え、伝説とともに後世に残す「きぼうの桜」事業を着々と進めている。2017年3月には、岩手県洋野町、宮城県七ヶ浜町、福島県福島市と楢葉町に宇宙桜の巨樹の苗が植えられ、盛大な植樹祭が行われた。津波到達点上に、遠方からも見える巨大な桜が在れば、「あそこまで逃げよ」という、子供にも理解しやすい伝承を、長期にわたり確実に残すことができる。また、単なる植樹ではなく、宝物である宇宙桜の苗を贈呈してくれた苗元地域との住民どうしの相互交流を推進し、広域文化圏の形成を目指している。

 これで、数千年風化しない有形遺産は出来つつあるが、それらの意味を伝承するための無形遺産がぜひとも必要と考えられる。
 そのためにワンアースはまず、合唱曲「きぼうの桜」を制作した(村田さち子作詞、しゅうさえこ作曲)。三十一世紀の未来へ向けた平和な地球を謳い上げたこの曲は、きぼうの桜植樹祭に際し、各地の子どもたちによって歌い継がれている。
 さらに、きぼうの桜をモティーフに、広く市民社会から物語を募集し、防災の教訓を含んだ物語を創生して後世に残すこととしたい。優れた作品は、きぼうの桜の命とともに、千年、二千年愛されるであろう。
 あのかぐや姫伝説も、千年前の何らかの椿事をモティーフに創作された可能性があるが、今回の活動も、それに続くものとして三十一世紀まで残していきたい。

 このような考え方から、公益財団法人三菱財団殿の助成を戴いて、プロアマを問わず、広く物語を募集することとした。

 オルタの諸兄、若葉を抱く金子光晴ではないが、今日はどうかペン先の舌鋒を丸め、千年後の地球の子孫たちへ贈る物語を紡いでみてはいかがだろうか。さらには仕事仲間やご家族、御尊孫にも創作をお薦めいただきたい。特に次世代を担う少年少女たちにこそ、きぼうの桜物語の作者になっていただきたいのである。

 (一般財団法人ワンアース 代表)

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【募集内容】
 テーマに沿った日本語の文(小説、物語、童話、散文、詩など 文字だけで表現出来る作品であれば何でも可)。未発表のオリジナル作品で、長さ制限は無い。募集資格制限無し。プロアマ問わず、年齢性別国籍不問。応募要件をご承諾いただける方に限る。

【テーマ】
 ここは31世紀の地球
 東北の海岸に巨大な桜の列があることは、世界中の人が知っている。
 この桜たちはどうやら宇宙から来たらしい。
 なぜここに宇宙桜が植えられたのかは、先祖代々、ある物語によって伝えられてきた。その物語とは・・・

 このあとに読み聞かせるお話を、創作しましょう。

【タイトル】 きぼうの桜 (サブタイトルは自由とします)

【お約束】
 ・東日本大震災の記憶と教訓を伝える内容を織り込みましょう
 ・ただ悲しいだけの物語ではなく、希望あふれる内容にしましょう
 ・かぐや姫のような、美しく豊かな空想を織り込みましょう

【応募メリット】
 ・先着100名様には、きぼうの桜テーマソングCDを差し上げます(お一人様1回限り。送付先住所氏名の明示が必要)
 ・作品に優劣は付けません。
 ・選考委員によりいくつかの作品が「注目作品」として選ばれ、表彰されます
 ・表彰式は2017年夏頃、東北地方の都市で開催予定
 ・注目作品を中心に、皆さまの作品は、ワンアースホームページに掲載されるほか、今後ワンアースが実施する各種イベントで紹介されます。
 ・東北各地に実際に植えられる「きぼうの桜」の告知事業等に採用されることがあります

【募集期間】
 2017年3月1日から5月末日(消印有効)

※ 詳しい募集要件は一般財団法人ワンアースホームページを御参照ください。
  http://www.the-one-earth.org/jp/

[注・宇宙桜について]
 2008年、日本各地で少年少女らの手によって集められた千年級の巨桜・名桜(日本三大桜を含む)の種が、若田光一宇宙飛行士とともに国際宇宙ステーション「きぼう」に長期滞在し、地球帰還後にその極一部が発芽して「宇宙桜」が生まれた(当時の事業名は『花伝説・宙へ!』)。同事業を発案した長谷川洋一が、2015年に一般財団法人ワンアースを設立した。宇宙桜の苗は稀少な宝物だが、ワンアースの呼びかけに応え、東北復興のためならば、と各地で苗を増やし贈呈準備をしている。
 宇宙桜は、樹齢千年級の、本邦を代表する名桜の直系実生(みしょう)なので、適切に養育すれば、西暦三千年以降(次の大津波が来るとき)まで生き続けると考えられている。また、30年で大樹に、100年で雪山のような巨樹(枝張り20から30メートル)になるため、宇宙ステーションからも十分視認出来る。津波到達点上に植えれば避難の指標に、復興のシンボルになり、やがて伝説や物語などの文化も醸成されよう。また、三春滝桜の例に明らかなように、観光資源としての期待も大きい。


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