【オルタの視点】

安中聡の善戦と原発再稼働路線の自公敗北の新潟知事選挙

仲井 富


◆◇ 知事選で4万5千票の安中聡候補とは何者か、五泉市に訪ねる

 私は新潟知事選挙は敗北と予想していた。唐突な女性問題による米山知事の辞任によって、今回は無理だろうと思っていた。しかし蓋を開けてみると、確かに自公の押す花角当選となったが、その内容はむしろ原発再稼働に県民の大多数は反対であることを証明した選挙結果だった。その理由は泡沫候補と思われていた安中聡候補の4万5千票獲得に注目したからだ。
 2014年泉田知事当選の選挙で、泉田72万票にたいして、共産党候補の樋渡氏が約6万票を獲得したが、単身立候補した安中聡氏の約4万5千票は意外だった。安中聡とはなにものか知りたくなった。

 私は一月の加藤宣幸さんとの新潟野党共闘の取材でお世話になった福岡愛子さんと連絡して、7月12日、安中氏の地元五泉市を訪ねることにした。するとメールマガジン『オルタ広場』編集部の加藤真希子さんも同行したいという。その理由は、かつて戦後の社会党創生期の1946年、加藤宣幸さんは新潟県のオルグに行き、一緒に行ったのが後に加藤夫人となる茂代さんだった。茂代夫人にプロポーズしたのが五泉市だったという。何やら因縁を感ずる五泉市行きだった。安中氏は五泉駅まで出迎えてくれ、駅前の喫茶店に2時間ばかり懇談した。

 安中聡氏は、1977年12月6日に新潟県五泉市で生まれの40才。新潟県立加茂農林高等学校農業科卒業、立正大学文学部史学科夜間主コース卒業。2003年4月、小野裕次郎(当時 民主党の世田谷区議会議員)事務所スタッフとして活動。 大学の先輩に頼まれて、単純作業をした程度だったが、未届けのスタッフへの報酬を支払ったという公職選挙法違反容疑で警察に逮捕された。しかし、安中氏は、一貫して無罪を主張して最高裁まで争った。2004年9月 最高裁で上告棄却され、罰金50万円の刑が確定したが、罰金50万円の代わりに、東京拘置所で50日間の労役をして出所した。

 2005年からは2008年までは派遣社員として働き、2010年郷里五泉市に帰った。2010年の参院選で立候補も落選。2011年五泉市議選に当選、つづいて2015年の市議選でトップ当選、2期目半ばの2018年五泉市長選に出馬するも落選。そして今回の新潟知事選に挑戦した。
 「警察・検察の恫喝行為を含む取り調べを知るに及んで、このような行為が繰り返され、裁判所もそれを容認するようでは、日本に未来は無いと考え至りました」と自らの政治参加の原点を語っている。

 安中氏は自身のブログで県知事立候補の記者会見の全文を掲載している。原発再稼働論について、要旨以下のように述べている。

 ――現在は原発の安全性の議論になっているが、安全性の確認は、原発の再稼働目的以外は有益とはならず、言ってしまえば、原発を再稼働するために、原発反対派を原発賛成派にやんわりと取り込む為のプロセスを経ているように見える。極論して、原発事故が今後100%起きないという保証が出来るわけではなく、原発を廃止することこそが県民の万が一のリスクを回避することに繋がる以上、安全性の確認は、無駄な議論であると考えます――(末尾 安中聡ブログ 県知事選立候補記者会見全文参照)

◆◇ 争点隠しと自公隠しで知事選に勝ったが得票全体では敗北

 新潟県知事選挙は6月10日投票の結果、再稼働を封印して、米山前知事の三つの検証を経て決めるという、自公推薦の花角元副知事が辛うじて当選した。投票前日の6月9日、新潟日報に掲載された選挙広告はまるで反原発派を思わせるものだった。「脱原発の社会をめざします」と大書していた。原発再稼働論を封印して、44万部の発行部数を誇る地元新潟日報に「脱原発の社会を目指します」というスローガンで脱原発派の有権者をも取り込んでの勝利だった。

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  脱原発を高らかに謳う花角陣営の全面広告~投票前日6月9日=新潟日報

 投票率は58.25%と、前回を約5ポイント上回った。( )内は前回2017年10月の知事選結果。

 花角英世  無所属・新、当選、546,670(49.6%)(森民夫  465,044 45.9%)
 池田千賀子 無所属・新、   509,568(46.2%)(米山隆一 528,455 52.2%)
 安中聡   無所属・新、    45,628(4.1%)

 花角と池田の票差は32,102票だった。私が注目したのは、安中聡という無所属候補の得票だった。当初は殆んどマスコミから注目されず、いわば泡沫候補扱いだった。しかし彼の政策を報じた朝日新聞新潟版6月6日号が、地方版の大半を候補者アンケートに使って、3人の候補者の政策を聞いていた。設問の一つは柏崎原発再稼働、池田、安中両氏は明確に反対。花角氏は、どちらともいえないと回答した。花角氏もいちおう前知事の三つの検証を評価し支持するとしているが、再稼働それ自体に明確に反対とは言わない。もっとも原発に厳しい態度を取っているのは安中氏だった。(朝日新聞新潟版 2019.6.6 参照)

 原発再稼働を進める自公政権の候補者が、米山前知事の三つの検証を経て決めるという「争点隠し」と「県民党」なる自公隠しで37,102票差で当選した。しかし原発再稼働反対で45,628票を獲得した安中氏の票を加えると反原発陣営の得票合計は555,196票で、花角氏を8,526票上回る。両者の得票数は、前回勝利した米山知事の得票数528,455票をも上回った。

◆◇ 最大の票田新潟市ではほぼ互角の闘いに

 主要な都市部での得票数を見ると、最大の票田新潟市内では花角178,726票、池田161,179票、安中14,090票で両者を合計すると175,269票でほぼ互角である。強いて挙げれば中央区の花角約43,000票に対して池田約34,600票、安中の2,600票を加算しても約37,200票で約6,000票差となる。また池田は西区で約34,000票、安中2,800票で花角の約32,000票に約7,000票差をつけている。巻原発を中止させた西蒲区は、花角約12,000票にたいし池田約14,000票、安中約1,000票と3,000票差で勝利した。
 大差が付いたのは佐渡市、前回の米山・森の対決では約12,000対14,000票だったが、今回は花角約21,000票対池田9,000票、安中約700票で約11,000票差となった。出身地ということでの大差だ。

◆◇ 柏崎・長岡・では再稼働反対派が初めての勝利

 さらに注目すべき結果が示された。まず第一に原発再稼働に熱心な自民党出身の桜井柏崎市長の下で、脱原発派の得票が初めて上回ったことだ。特に原発立地市の柏崎市で花角は、直近の2017年10月総選挙における自公の比例区得票約26,000票にはるかに遠い約22,000票だった。池田は立憲、希望、共産、社民などの比例区合計約22,000票を上回る約24,000票を取った。安中の得票を加えると約25,000票となる。県知事選挙で原発反対の野党票が自民公明などの原発推進派の得票を上回ったのは、1969年柏崎原発立地決議以来初の出来事だろう。

 新潟第二の大都市である長岡市では、前回候補者の森民夫の地元で米山に約1万票の差をつけたが、今回の知事選では花角約61,000票に対し、池田約64,000票に加え、安中約5,000票で計69,000票と約8,000票の大差で逆転した。池田氏が勝利した11市区町村のうち、原発立地市の柏崎市及び周辺の上越市、長岡市などは池田氏が制した。原発事故が起きれば否応なく破滅する柏崎市民と近隣自治体は花角氏の再稼働隠しを見抜いていた。

 新潟日報の新潟知事選選挙結果 候補者別市町村別得票によると、全市区町村37市区町村のうち26市区町村を花角氏が制した。しかし安中氏の得票を加算すれば、三条市・加茂市・十日町市・燕市・五泉市・魚沼市・田上町など7市町村で逆転し、花角19市区町村、池田・安中で合計18市町村に上る。また新潟市など県下20市のうち、新潟、長岡、柏崎など18市の市長が花角支持を表明したが、このうち長岡、柏崎を含めて13市を池田・安中の得票が花角を制した。花角陣営は新潟・佐渡・新発田など7市で勝利したに過ぎない。(新潟日報2018・6・12参照)

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  新潟日報2018・6・12 新潟知事選選挙 市町村別得票

◆◇ 再稼働反対の県民の35%22万人が花角に投票

 再稼働反対の有権者数は、6月10日、新潟日報社が実施した県知事選の出口調査によれば、原発の再稼働に「反対」43.4%「どちらかといえば反対」16.9%、計60.3%に上る。総投票者数約111万人のうちの約67万人が「再稼働に反対」、「強いて言えば反対」と回答している。そのうちの約42万人が池田に、約22万人が花角に投票した計算になる。
 投票日前日の6月9日、花角陣営は新潟日報に全頁広告を掲載した。堂々と「原発のない社会をめざします」大書し、あたかも反原発候補かと錯覚させるような「再稼働隠し」は成功した。にもかかわらず池田、安中の合計得票は花角を上回った。

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  県知事選 出口調査からみた投票動向~6月10日実施、新潟日報社

 花角知事は、再稼働に際しては、自らが辞任して県民に信を問うと言明している。3年後か4年後か不明だが、再稼働の自公に支援された花角知事が信を問う県民のうち、今回、花角知事に投票した27万人がどう動くか。私は7月12日、五泉市に安中氏を訪ねて話を聞いたが、安中氏は重要な問題を指摘した。

 ――沖縄で辺野古反対で沖縄県知事に当選した仲井真知事が突如として自民党国会議員団とともに辺野古基地賛成に転じた。そして知事権限による辺野古基地の工事を容認した。花角はこれと同じことをやるだろう。即ち花角は一定の期間後、柏崎原発再稼働容認の手続きをして、県知事を辞任する。そしてまた新しい知事を担いで、だましを続けるのが権力側の常套手段だ。辺野古米軍基地反対で野党に勝利し、あっという間に裏切った仲井真知事は元通産相の役人だった。元海上保安庁の役人の花角は天下り先に栄転して役割を果たす。――

 まさに正鵠を得た指摘である。沖縄の民意を無視する安倍政権の無法は、同じく新潟でも悪代官・菅官房長官の「粛々と」の一言によって、県民大多数の願いは蹂躙されるだろうという指摘は正鵠を得ている。

◆◇ 小泉元首相・中村喜四郎議員の原発ゼロと花角応援の上田埼玉県知事

 小泉元首相や当選14回の茨城県の中村喜四郎代議士など、保守政治家の直々の応援も大勢を互角にすることに貢献した。文春オンライン“角栄・最後の弟子”中村喜四郎が振り返る「大接戦の新潟知事選」常井健一は以下のように報じている。(2018/06/14 週刊文春 2018年6月21日号)

 ――中村喜四郎衆院議員(69)が4回も新潟入りしたことは永田町関係者を驚かせた。
 中村氏と言えば、田中角栄元首相の秘書を経て、27歳で政界入りし、40歳で初入閣。竹下派(当時)のプリンスと見られていたが、1994年、ゼネコン汚職事件による逮捕で離党後、無所属となった。その間、有罪確定で失職し、収監された時期もあったが、刑期を満了すると再び当選。選挙は14戦無敗と、無類の強さを誇る。
 保守系の中村氏だが、近年は「反安倍」の立場を鮮明にし、今年になると竹下派の弟分であった岡田克也氏が率いる旧民進系の衆院会派「無所属の会」に参加した。
 「今回は会派の選対委員長的な立場で陣頭指揮に当たりました」(無所属の会関係者)
 告示前日、中村氏は県内に講演に来た小泉純一郎元首相に池田氏と握手させ、最大の争点だった原発問題での共闘を演出した。
 一方、野党が苦手とする地上戦も展開。師匠・田中角栄元首相に関係する地元有力者たちにも秋波を送り、保守票の切り崩しを試みた。
 「「自民党は無理に無理を重ねて政権運営している現状に全く自浄能力を働かせられない。野党も国民の批判を吸収できず、無意味な路線対立を繰り返している。国民の声は、政治に反映しにくくなっている」――

 4度も新潟入りし、角栄ゆかりの地元有力者や相手陣営の幹部たちと接触し、保守票の切り崩しを試みた。地元新潟のさまざまな保守勢力や保守政治家の影響力の強さが今回の脱原発派過半数得票の背景にあることを忘れてはならない。
 7月15日、小沢一郎の政治塾で小泉氏が講演した。恩讐を超えて自民党出身の政治家が脱原発と原発ゼロを目指して共闘することを確認した意義は大きい。

 一方、産経新聞の報道によれば、花角陣営は政治家の表立った応援を避けたが、全国知事会の会長上田清司埼玉県知事が、最終日の6月9日応援に駆け付けた。上田清司知事は「同じ知事仲間として一緒にやっていきたい」と声を張り上げた。夕方には、同駅万代口で大決起集会を行うなど気勢を上げた。(産経新聞2018・6・10)
 2017年12月22日、埼玉県議会は「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」を採択した。この知事にしてこの議会ありと頷ける。かつて田中角栄の秘書だった自民党のホープ中山喜四郎議員が原発再稼働反対の先頭に立ち、かつて民主党のホープだった上田知事は、いまや安倍総理の髭の塵を払う全国知事会会長となった。

 各地の酷暑と大災害の連発、新潟知事選で勝利したかに見えるが、安倍政権への支持率は5カ月連続で不支持が支持を上回っている(JNN世論調査8月4日、他)。働き方改革法、カジノ法などいずれも自公維新の与党三党で強行したが、有権者は安倍政権の権力主義と不誠実さにうんざりしている。野党と保守リベラルの結束と共闘こそが来年7月の参院選勝利の大前提である。

<参考資料 安中聡ブログ 新潟県知事選立候補記者会見全文>

●安中聡ブログ 新潟県知事選挙への立候補記者会見について(平成30年4月23日)
https://blogs.yahoo.co.jp/annaka_satoshi/15852195.html

 本日は、大変お忙しい中、私、安中聡の記者会見に、お集まり頂きまして、誠にありがとうございます。
 さて、単刀直入に申しますが、私、安中聡は、米山知事辞職に伴って行われる新潟県知事選挙に立候補することを表明致します。

 何故知事選に立候補するかという理由についてですが、私は、私を支援してくれたり、何処にも相談することが出来ず、私に頼るしかなく相談をしてくれた人達のために、新潟県において人権が守られ、日々の生活において人間として当たり前に生活することが叶うようにするため、立ち上がりました。

 私が、最初に参議院選挙に出てから数年、政治家として多くの人と接し、様々に勉強をしてきた上で確立した、政治理念とするものは、大きく分けて二つあります。

 一つ目は、
●人権を守ること。
 そして、二つ目は
●立場の弱い人達の助けとなること。
です。

 私は某地方自治体で市議となって色々と政治について勉強してきました。
 そして、地域が小さくなればなるほど、行政から仕事をもらって生活している人が増え、利権構造から脱却できないということを知りました。
 利権構造の問題の最たるものは、自分で考えて正しいとは思えないことであっても、周囲との関係を重視するあまり、それに合わせなければいけないというものです。

 私が市議として議会にいた時もそうでした。
 市民のために行政や議会を監視するという役割を果たそうとして、行政等が行ったり行おうとしている政策の問題点を指摘し、改善方法を提示し、オカシイことをオカシイと反対すれば、『協調性が無い』だの『あいつは狂っている』だの影で喧伝されるのです。

 私は市民の代表との自負があったからこそ、そのような圧力に負けずに戦いましたが、自身の生活等が密接に関わり、守るべきものを持っている国民に、同じようなことを求めるのは酷であることは理解しています。
 しかし、だからといって、オカシイことをオカシイと言えない世の中が、人権が尊重されていると言えるのでしょうか?
 現在、日本で大きな問題になっている、セクハラやパワハラ等の問題も、根本は同じなのであります。

 また、自身の人権を守るために弁護士に相談したりすると、『暴力的だ』『話し合って済む問題を大袈裟にしている』等と、弁護士に相談すること自体を人間的に問題あるとして『人間としての存在が否定される』社会が人権を尊重していると言えるのでしょうか?

 私は、それは全く違うと考えています。そして、そのような周囲の圧力によって、誰にも相談できず、自身の人権を抑圧されたまま生活している立場の弱い人達のために、ともすればそのまま自殺を含めて亡くなってしまう方が出ないようにするため、私が死ぬまで戦うことが、私に課せられた使命であると考えております。

 私はこの二つの政治理念の元に、知事になって、県民のために働く所存であります。

 さて、知事に立候補するに当たって、県民の皆様に訴えたいことは、二つです。
 一つ目は、
●原発への反対、原発を廃止するための政策を策定し、実行すること。
 二つ目は、
● 米山路線を継承すること。
です。

 私を支援して下さる方の米山元知事に対する評価は、女性問題を別にすれば、概ね高評価であり、『県内の経済は上向きつつあったのではないか?』『やろうとしていることに間違いは無かった』『実に勿体無い』というものがほとんどでありました。
 私もそう思います。

 私が経験したことを申しますれば、私が落選した市長選の後に、ある県民の方から、除雪について県に働きかけてもらえないだろうか、と相談を受け、2月13日付で請願法に基づき、請願を出しました。
 すると、3月8日付で『知事から回答を行うよう指示があったため、回答する』との担当部署からの請願への回答がありました。
 私は別の請願や陳情ですが、内閣や国会、私が住んでいる地域の某地方行政、某地方議会に請願や陳情を同時期に出しておりましたが、一切返答が返って来ませんでした。

 この事実を鑑みれば、これだけでも、米山元知事は県民のことをしっかりと考えていると、感心しましたし、評価出来る点だと考えております。

 従って、県民から一定の評価を受けている政策もあり、また、大きな問題となっている政策が見当たらない以上、それを継承することが県民のためになると判断した次第であります。
 それに、もし仮に、米山路線の中に問題点が見つかったのであれば、その声を受けて再検証をすれば良いだけの話でありますから、私は米山路線を継承して、県政運営をしたいと考えております。

 次に、新潟県にとって最大とも言える問題、原発政策についてですが、これは反対すべきものであります。そのため、原発を廃止するための政策を策定し、実行します。

 新潟県で福島原発クラスの事故が万が一にでも起きた場合、新潟県は壊滅します。
 放射能は直接海には出ず、気流に乗って山脈で雨となって地表に降り注ぎ、新潟県内の土地や水が汚染され、直接影響のある地域の農業・工業等は壊滅的な被害をこうむります。
 例え、放射能による直接の被害をこうむらなかった地域が存在したとしても、放射能汚染への恐怖が広がり、新潟県内の土地や水を使って行われている農業・工業は甚大な被害をこうむりますし、そうなれば人口減少問題云々以前の話となり、新潟県は壊滅し、破綻します。

 人間や動物、植物は水がなければ生きていけないのに、放射能によって汚染されれば、新潟県は人が住めない土地に早変わりします。

 仮に県民が安全に避難できたとしても、被災者支援体制が十分だったとしても、元の暮らしに戻れないという、その事実に変わりはありません。そのような危険を、未来を担う子供や孫達に背負ってもらう事が県民のためになるとは絶対に言えません。

 また、福島で原発事故が起きて自民党政権が対処にあたっていますが、原発そのものも、事故によって被害に遭われた方への対応も十分ではありません。

 仮に金銭的補償が万全であったとしても、お金で放射能問題を無かったことには出来ないことは、福島原発の事故で証明済みであります。
 そして、県民の皆様が福島原発の被災者に対して抱く感情、それ自身が、新潟県で万が一の原発事故にあった際に周囲から新潟県民が抱かれる感情になるのです。
 そのような思いを県民にさせるわけにはいきません。

 従って、新潟県が原発事故に巻き込まれても、日本政府に万全の保障が期待できるとは言えず、福島原発事故の被災者の方全てが元の暮らしに戻ることができないという前例がある以上、原発は廃止するべきです。

 さらに付け加えれば、現在は原発の安全性の議論になっているようですが、安全性の確認は、原発の再稼働目的以外は有益とはならず、言ってしまえば、原発を再稼働するために、原発反対派を原発賛成派にやんわりと取り込む為のプロセスを経ているように見えるのみであります。

 極論して、原発事故が今後100%起きないという保証が出来るわけではなく、原発を廃止することこそが県民の万が一のリスクを回避することに繋がる以上、安全性の確認は、無駄な議論であると考えます。
(但し、原発の解体中に事故が起きる可能性については考える必要はあります。再稼働するための安全性確認の議論は確かに必要無いですが、原発を解体する際に事故の可能性があれば、安全確認の議論は必要となります。従って、原発解体を安全に行うために必要な検証部分については、引き継ぐことになります。)

 加えて、現在の自民党政権が管轄する国の行政機関『財務省』ですら、改竄が行われている事実があります。
 また、遥かに小物ながら、私が市議であった某地方自治体では、行政や議会の多数派を占めている議員にとって都合の悪くなりそうな文書はそもそも作成しない手法を取っているのか、文書での回答を求めても、無視されるか、口頭で説明されるに留まっております。

 このような事実を踏まえた上で、原発には、国や県を始めとする地方自治体や企業等、多くの利権が絡んでいることを考えれば、
 原発の安全性に関連するデータや書類が改竄されていないと言えるでしょうか?
 都合の悪い事実が伏せられていないと言い切れるでしょうか?

 そもそも改竄は発覚したから改竄と言えるのであって、誰も気付かなければ、指摘しなければ事実として扱われてしまいます。

 多くの国会議員が監視していたはずの、自民党政権下の国の行政機関『財務省』ですら改竄が行われていたのに、多くの利権が絡んでいる原発関連資料に改竄は一切存在しない、都合の悪い事実は一切伏せられていないと、本当に言い切れるでしょうか?

 その一方、原発事故の可能性、福島原発クラスの事故の可能性を0%に出来ず、万が一でも原発事故が起きれば、新潟県は壊滅することは疑いないという事実を鑑みれば、原発を再稼働することが、県民の皆様の子供達、孫達の利益になるとはとても信じられません。

 従って、県民全体のために、原発を廃止するための政策を策定し、実行します。

 その他、
①日本では人口減少だけれども、世界では人口増加傾向である以上、将来において食料争奪戦争になる可能性がある。従って、農業を拡大し、来るべき食料争奪戦争への準備と勝利に向けた政策。
②貿易や外国人の教育留学の受け入れ態勢を促進し、各国の日本への経済等の依存度を高める政策。
③電力会社のみならず、新潟県内において、原発に代わる新しい電力供給への研究(例えば仮に、妄想の粋かもしれませんが、自然放電エネルギーの蓄積研究のようなもの)の推奨政策。
④海外や他県の情勢も知らずに貿易を含めた経済活動を行うのは、羅針盤を持たずに航海に出るのと一緒で、危険であるため、日本のみならず、世界中から様々な情報を収集、分析し、県民に利用してもらう部署の創設。
 等、主張したいこともあります。
 しかし、万が一の事故によって、新潟が壊滅する危険性のある原発反対への争点がズレる可能性があるため、以上を以て、立候補表明に代えさせていただきます。
 本日はありがとうございました。

 〒959-1756 新潟県五泉市刈羽丙965-2
 安中聡事務所 0250-58-4851(FAX兼用)

 (世論構造研究会代表・オルタ編集委員)

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