■ 俳句                 富田 昌宏

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白梅や出を待つ赤きトラクター

梅が香や阿吽の像のこぼす笑ミ

町の名も人も移ろい梅二月

二ン月や鶏舎にはかに騒ぎ出す

古雛を飾りて妻は介護の身

日の光はじき返して辛夷(コブシ)咲く

蜊蚪一つ字余りのごと列につく

蛇穴を出て積ン読クをなじりけり

血圧計にらむが日課冴え返る

笹鳴や美女眠りいる石の室

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