俳句                  富田 昌宏

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代掻の牛を追いたる人も喜寿 (自省)

地下足袋の鞐(こはぜ)ゆるめて三尺寝

炎昼や忘れものめくわが五体

打つ釘のまたもくの字に極暑かな

石切りし音をまじえて草刈機

黒南風(くろはえ)やひびの入りたる遭難碑

先頭の蟻に大志のある如し

青柿や宅急便の不在票

白牡丹真珠の雫こぼしけり
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