【オルタのこだま】

オルタ119号のコメント

                    武田 尚子


 浜田幸生氏の、郵政民営化の嘘を、興味を持って拝読いたしました。此の問題について私が無知であるために、コメントというより、機会あらば教えていただきたいという気持ちで、これを書かせていただきます。

 小泉、竹中氏のいい加減な問題への取り組み方はさておき、日本での郵政民営化は、浜田さんの論考によれば<米国の年次要求書にそった金融開放の中での受け身の開放>だったのですね。

 私は本当に政治の素人で、質問を差しあげるのさえ、いささか忸怩たるものが有るのですが、勇気を出して伺います。5つの質問があります。

1.米国は、こうした年次要求書またはそのほかの形で、その後に出てくるフランスやスエーデン、イギリス、ニュージーランドにも金融開放をもとめたのでしょうか?

2.どのような資格で、米国はそんな要求を此処に掲げたような諸国にすることができるのでしょうか?

3.郵政事業の不調というのは、新しいテクノロジーによる通信ネットワークの世界的な拡大と加熱が、昔なじみのはがきや封筒による個人交信に大きく取って代わったということが、その根っこに有るように思います。勿論、郵便事業につきものの小包などの郵送が、文中の佐川急便やDHLに取って代わられた部分も大きいのでしょうが。それともこれは、あまりにも単純な観察なのでしょうか?

4.米国の圧力を受けたにせよ受けないにせよ、諸国が郵政の民営化に踏み切ったこと自体に、そうした時代の変化に適応する必要を認めていたという、暗黙の証はみられないのでしょうか?
 残念ながら、ほとんどがその方向を謝ったように見られますが。

5.<コミュニテイのおへそであった郵便局>をもう一度取り戻すことは、願ってもないことですが、此のとうとうたる時の流れの中で、果たして可能なことなのでしょうか?

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 NYの郊外に暮らす私のコミュ二テイでも、2011年頃から、土曜日の郵便配達廃止の声が高くなりました。一生、郵便を配達しつづけて歩くことが自分の最高の健康法だといっていたおしゃべり好きのおじさんも沈痛な表情で、近い未来の変化を心配していました。幸い、土曜日の無配達案は否決され、おじさんも元気を回復しました。

 少なくとも、インターネットにほとんど頼らない高齢者のためにも、水茎もさわやかな年賀状のうつくしい伝統のためにも、生きつづけてほしい懐かしい郵便局ではあります。

 お忙しいところ、幼稚な質問をさせていただきました。
 よいお年を祈念いたします。

 (筆者は米国・ニュージアーシー州在住・翻訳家)


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