【沖縄の地鳴り】

オリバー・ストーン監督、沖縄を語る「米国に真の変化が生まれれば」

沖縄タイムス 2016年5月9日


【平安名純代・米国特約記者】米国の映画監督オリバー・ストーン氏(69)は8日までに、米カリフォルニア州で沖縄タイムスの単独インタビューに応じた。外交政策「米国第一」を掲げ米大統領選挙の共和党候補指名が確実になったドナルド・トランプ氏と、軍産複合体の利益を代弁するヒラリー・クリントン氏の下で、米国の軍事優先主義がより強まる可能性に警鐘を鳴らし、米軍基地が集中する沖縄の過剰負担の軽減や名護市辺野古の新基地建設計画を阻止するには、米国が軍事力縮小に向けた真の変化を生み出す必要があると主張した。

 ストーン氏は3年前に初めて訪れた沖縄の印象について、「新たな基地が造られようとしている辺野古は美しい湾のある美しい街だったが、米軍ヘリが飛び交う普天間飛行場は醜い基地だった」と回顧。米軍基地が集中する沖縄は「まるで第2次大戦時のような、何か別の時代のもののように映った」と表現した。また、訪問を通じて肌で感じた在沖米軍基地問題の複雑さを憂慮した上で、米国自身が米国内の基地を整理縮小できずにいる状況と重ね合わせ、「戦争経済の成長は止まることがない。米軍基地の問題は非常に難しい」と語った。
 辺野古の移設計画を巡り、かつてマケイン上院議員ら有力議員らが見直しを主張していたものの、現在は容認に転じている点について、肥大化した米国防総省と裾野に広がる軍需産業の構図が背景にあると指摘。米国は民意よりも軍事を優先していると述べ、「官僚主義に陥った米国は本来の姿を見失ってしまった」と批判した。

 一方で、米軍占領で政治家が従順になったため、日本では強い指導者が生まれず、独立したリーダーシップも成長しなかったなどと指摘。「日本は統制された民主主義」だが「米国も民主主義の概念より、安全保障の概念に支配されており、ある意味で統制された民主主義」と両国の現状を批判した。
 また中国の軍事力を誇張する安倍晋三政権について「民衆を恐怖でコントロールしようとしている」と批判。一方で、恐怖を拡散したトルーマン大統領以降、米国は常に「軍隊を増強し、安全保障国家を維持するために恐怖を必要としている」と述べ、辺野古を守るための闘いを続ける沖縄への支援を表明すると同時に、米軍基地の整理縮小を実現させるためには、米国自身が真の変化を生み出す必要があると主張した。


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