■国際シンポジウム趣意書

「平和の海を求めて――東アジアと領土問題」

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「尖閣」「竹島」の領土問題をめぐる日本と中国・台湾、また韓国との対立
は、根深い歴史問題を背景に、双方のナショナリズムを引き起こし、突発的な事
態が発生する恐れすらでています。とりわけ尖閣諸島(中国名・釣魚島、台湾
名・釣魚台)の周辺では、公船の対峙や航空機の接近、レーダー照射問題など、
緊張がエスカレートしています。竹島(韓国名・独島)についても、状況の打開
は容易ではありません。

日中関係は政府間のハイレベル対話や交流がストップし、国交正常化以来、最
悪の事態に陥りました。民間レベルでも、メディアを通して高まる「領土ナショ
ナリズム」が、相互作用によって炎上する悪循環を招いています。相互依存が深
まる経済関係をはじめ、環境、エネルギーなど、国境を超えた共通の取り組みが
重要度を増していると誰もが理解しているにもかかわらず、この悪循環から抜け
出せないのは、この地域に相互の信頼が培われていないからです。誰も近づけな
い、そのままでは「ゼロ以下の価値」の島を、どのように地域全体にとって有益
な島へと変えていくか、私たち生活者(市民) の知恵と行動が問われています。

私たちは、同じ東アジア地域に生きる者として、領土ナショナリズムを引き起
こす悪循環を一日も早く止め、平和的な対話による問題解決に向かうよう、互い
に努力をしなければなりません。そのために、まずは日・中・韓・沖・台の国・
地域の市民・知識人が対話の広場に集うことを提案します。「争いの海」を「平
和の海」に変え、和解と共生の東アジアを創りあげるために、ぜひ英知を出し合
いましょう。

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