メールマガジン「オルタ」第4号 (04.10.20)            

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■5、刊行物紹介 『ユーラシアの地政学』 石郷岡 建 著              岩波書店  1700円+税
───────────────────────────── 「地政学」とは「政治学」と「地理学」とを合わせた造語だが今の若い人たち には比較的に馴染みが少ない。しかし評者のような戦中派には「ハウスホッ ハー」(ドイツ陸軍少将・ミユンヘン大学教授・地政学研究所長・駐日大使館 武官としても滞在)の名とともに「ゲオポリテク」(地政学)は軍靴の響きと シンクロナイズし、鮮烈な記憶として蘇える。それは第二次大戦中、ナチスや 日本軍部が、その侵略戦争を合理化する「学問」として盛んに利用し、戦後は それらの壊滅につれ「地政学」は擬似学問として猛烈な批判の対象とされたか らである。  この書は最近になって「学問」としての再評価が始まった「地政学」の可否 を論じているわけではない。まさに「地理学と政治学の結合した学問で地理学 を基礎に世界における国家の政治的地位を研究する」学問としての地政学の手 法でソ連崩壊後のロシア・中央アジア諸国の動向を考察したものである。

 とくに、アフガン・イラク・チエチエンに見るイスラム原理主義問題・カス ピ海をめぐる資源争奪戦の背景など広範なユーラシア大陸全域の紛争地点をく まなく歩き、肌に感じて分析しているのがこの本の強みである。これは著者が モスクワ・ウイーン・カイロ支局などで特派員として長く活動した成果でもあ る。研究者が机上で書いたものにはない臨場感が読者に迫ってくる。朝鮮半島 ・中国問題をふくめ、ユーラシア大陸に日本がどう向き合うのか。北東アジア の平和確立にいかに貢献するのか。日本の国家戦略が問われている今、この書 の一読を薦めたい。

 著者は雑誌「世界」の世界論壇ロシアを担当する他に『さまざまのアフリ カ』(三一書房)『ルポ・ロシア最前線』(三一書房)『ソ連崩壊1991』 (書苑新社)などの著書がある。                               (N.K)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■6、投稿「オルタ3号を読んで」
        元社会党国際局長  河上 民雄 ─
───────────────────────────── メールマガジン「オルタ」3号を読み「イラク人虐待と『BC級戦犯』」は時宜 に適し、また鋭い論稿と思いました。 余談ながら、かって社会党委員長飛鳥田一雄氏はBC級戦犯の弁護士をつと め、実践的英会話を学んだと話されていたのを憶えています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■7、俳句 富田昌宏
───────────────────────────── 父の日や六腑の健を父に享く

農協の名入りの亡父の夏帽子

竹皮を脱ぐ傍らの名刀展

防空壕ありし暗さへ竹落葉

裏見滝から人生を肯定す

麦秋の真只中の無人駅

振分けに吊す玉葱軒翳る

相触れて音なかりけり水すまし

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■編集後記
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◎今回はロシア特集です。プーチン大統領の登場以来、社会の混乱がおさまり つつあるロシアですが、チェチェン問題等問題は山積していますが、私個人は ロシアの将来を楽観視しています。むしろ、アメリカの将来のほうが不安に なってくるのは私だけでしょうか。(I.O)

◎『オルタ』もついに3号雑誌のジンクスを破り、4号を出せた。少しずつ読者 も増えてきている。今月の4号はロシア特集として毎日新聞社の石郷岡さんに は力のこもった長文の書き下ろしを、帰国したばかりの竹中一雄氏には長時間 を、それぞれ戴いた。石郷岡論文の分載も考えたが北東アジア問題アプローチ の基調論文だけに一挙掲載し、レギラーの「につぽん問答」「NPO紹介」など をお休みにした。また、早房長信氏からは「臨死体験」について寄稿があった がこれも次号にゆずることになった。折角の論文をバックナンバーでも見られ るようホームページの制作を急ぎたい。(K.N)



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